『CASSHERN』『ラスト・ナイツ』の紀里谷和明監督が新作『新世界』の制作を発表 クラウドファンディングを実施
-
ポスト -
シェア - 送る
映画『新世界』
映画監督の紀里谷和明氏が、新作映画『新世界』の制作を発表。6月10日(水)より、パイロット映像制作のためのクラウドファンディングプロジェクトをMakuakeにてスタートさせた。
映画『新世界』は、映画『CASSHERN』『GOEMON』『ラスト・ナイツ』などで知られる紀里谷和明監督の新作。紀里谷監督が長年、構想を温めてきた企画で、近未来の日本を舞台に、織田組の信長や武田組の信玄ら戦国時代の人物をモチーフにしたギャングたちが覇を争う姿を描くという。
映画『新世界』
映画『新世界』
クラウドファンディングでは、同作のパイロット映像(約90秒)の制作を行うための制作応援サポーターを募集。1,300万円を集めることを目標としている。制作は、紀里谷監督が代表をつとめるKIRIYA PICTURESとCGプロダクションのエヌ・デザインが担当。2020年8月から、約2、3ヶ月の期間で、基本的に全てリモートで制作を行うことを想定しているとのこと。また、Zoomなどを活用した打ち合わせ自体を配信するなど、制作プロセスも公開するという。制作期間中に、状況を報告したり、質問を受け付けるオンラインイベントなども定期的に開催する予定とのこと。
なお、クラウドファンディングプロジェクトを皮切りに、『新世界』の制作の賛同・協力者を広く募り、将来的には長編制作を目指すという。現在、ストーリーが公開されている。
ストーリー
全国を襲った大規模な震災が引き金となり、国のシステムが崩壊した近未来の日本。スラムと化した街には犯罪者が溢れ、8年にも及ぶギャングの縄張り争いが全国各地で激化していた。中でも浅井組、徳川組、今川組、斎藤組を傘下に収める最大のギャング・武田組組長・信玄は、今や警察はもとより政界にまで影響を及ぼすほどの力を手にし、影から国をコントロールする存在となっていた。
理想の新世界を求め覇権争いに身を投じる織田組の若き組長・信長は、襲いかかる今川組を返り討ちにすると、続いて斎藤組への奇襲にも成功する。これを機に、武田組の「奴隷」として生きて行く事に葛藤を覚えていた徳川組組長・家康は、幼なじみでもあった信長からの誘いに応え、武田組を裏切り共に歩む事を決意する。
信長の命により浅井組組長・久政の息子、長政に近づいていた妹の市であったが、ある時長政と一緒にいる所を信玄の息子勝頼に襲われ誘拐されてしまう。市の命と引き換えに信長を手中に治めようと企てた信玄であったが、市に恋心を抱く長政の裏切りにより失敗に終わるばかりか、勝頼の命を奪われてしまう。長政をも味方につけ信玄を追い詰めたかに思えた信長だったが、思いもよらぬ言葉に凍り付く。『お前の本当の親を殺したのは...私だ』蘇る幼き日の記憶。血みどろの部屋。絶命している母親。倒れている父親らしき男を滅多刺しにしている...若き日の信玄!
その場を去る信玄。追えない信長。『天下統一』に魅せられた男達の想いが交錯して行く。
紀里谷監督のコメントは以下のとおり。
紀里谷和明
映画と呼ばれるものは、莫大な制作費がかかります。その為、その資金を拠出する映画会社は「ヒットしそう」な作品を制作したがります。映画はビジネスなので、その気持ちはよく分かりますし、否定するつもりもありません。
しかし、ここがいつもぶつかる問題なのですが、ビジネスの世界が求めるヒットする安心感と、私が作りたい、と思うものの間には大きな溝があるのです。それは私だけではなく、多くのクリエイターが抱えるジレンマではないでしょうか? 事実、「マーケットのニーズにそぐわない」という理由で却下された脚本がいくつも存在します。この「新世界」も、その脚本の一つです。
それに加えて、「ヒットしそうと思われるものが、確実にヒットするのか?」という疑問もあります。実際には、予想通りの結果を生み出している作品は少数です。逆に「ヒットしない」と思われていた作品が、出来上がってみたら長きにわたってオーディエンスに愛されているという事実もあります。
要は、「作ってみない限り、その作品がヒットするのかしないのかなど、誰にもわからない」のです。
では、なぜ、ビジネスサイドが考える不確実なロジックに従って、クリエイターは創作しなければならないのでしょうか?多くのクリエイターは、そのロジックに苦しめられ、 自らの創造性を犠牲にしています。そもそも芸術とは可能性の提案であり、これまでなかったものを作るのが、その本分であると私は信じています。よって最初は理解されなくて当然なのです。しかし、それではあまりにもリスクが高すぎる、というのがお金を出す方の言い分です。
繰り返しますが、誰が悪いわけでもないのです。
要は、仕組みに問題があり、それに代わる新しい仕組みが必要だと思うのです。
この問題の解決策をこの数年考えてきました。そして一つの答えに到達しました。ここではその構想の全貌を明かすことはできませんが、制作から発表までの全てを根本から考え直すものです。もしこの試みが成功すると、もっと自由な創作の環境が出来上がると確信しています。
今回は、その構想の第一ステップとして、クラウドファンディングによるみなさんの協力をお願いします。クラウドファンディングによる制作資金の調達には限界があります。 よって、今回制作できる作品は90秒程のトレーラーだと思ってください。
たった90秒?と思われるかもしれません。しかし、それはとても大きな第一歩です。 その先に広がる大きな物語と重要な試みの大切なステップなのです。
折しも今回のコロナウイルスの発生で、映画どころか、世界を取り巻く環境は困難なものとなっています。しかし、その困難をチャンスとして生かすことができると私は信じています。全ての業界において、新しいシステムの確立が求められています。
その新しい世界に対しての一つのビジョンとしてこの「新世界」を皆さんにお届けしたいと願っております。
みんなで新世界を作りましょう。
紀里谷和明