ジュディマリの鉄板ソングを聴き、自宅に居ながらお店のメニューが楽しめるオススメレシピで夏を味わう『聴食の楽しみ方』Vol.4
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『聴食の楽しみ方』
近年、エンタメに対する楽しみ方が多様化している。動画サイトでの配信やSNS上でのコラボ企画など様々。SPICE編集部でも一味違った形でエンタメの紹介をできないかと、「音楽」と「食」を組み合わせた連載を始動! 本企画は京阪神のグルメ最新情報を発信し続け、現在も関西のテイクアウトできるお店紹介などを発信するなど、関西のカルチャー好きから信頼を得る京阪神エルマガジン社の月刊誌『Meets』編集部に協力を頂き、音楽ライターオススメの音楽とともに、その音楽に合うお店をご紹介している企画。今月は自粛生活特別編として、京阪神のライフスタイルマガジン『SAVVY』編集部にも協力を頂き、お店ではなく「自宅でお店の味が楽しめるレシピ」と、それに合う音楽をご紹介! 音楽を楽しみながら、レシピを参考に絶品料理を自宅で味わおう!
映画評論家、芸能ライター。SPICE、Lmaga.jp、REAL SOUNDなどで執筆するほか、専門学校で映像プロデュースの講師も担当。映画、音楽、テレビ、漫画、お笑い、スポーツなど考察対象は幅広い。
①つなぐ食堂の鉄板スパ×JUDY AND MARY「LOVER SOUL」
オリーブオイル、赤ワインを使用している鉄板スパでピンときたのが、2020年上半期でもっとも優れた映像作品といえる、6月21日に放送されたSPドラマ『スイッチ』(テレビ朝日)だ。
人が切り替わる(スイッチする)瞬間を描いた、坂元裕二脚本作。特に、何度か出てくる食事シーンは笑いどころとして印象的。食卓に複数のオリーブオイルが並べられ、食べ物によってオイルをチョイスするよう指定され、駒月直(阿部サダヲ)、蔦屋円(松たか子)が混乱と煩わしさを感じる場面。はたまた、赤ワインを飲みながら互いの恋人にポエムを強要されるところ。
別れて7年経っても腐れ縁が続くふたりは、こういった食事スタイルを迫られたとき、いろいろとうまく切り替えられない。そんな彼らの出会いをあらわす楽曲として登場するのが、JUDY AND MARY「LOVER SOUL」。高校時代の悲劇の事故で偶然出会い、気持ちの深いところで結びつくふたりの心象をあらわし、“ひとつに重なっている”からずっと離れられないことを描く。同曲が流れるシーンは感情が大きく揺さぶられる。
ちなみに坂元脚本ドラマは『最高の離婚』『それでも、生きてゆく』などでもジュディマリの曲を使用。つまり“テッパン”なのだ!
・つなぐ食堂の鉄板スパ[京都・出町柳]
世界の総菜をテーマとした出町柳の食堂。地元・名古屋の喫茶店で誕生した鉄板ナポリタンから着想を得たこちらの鉄板スパ。近頃は安価でも購入できるスキレットを使えば、自宅でアウトドア気分もあがる!
②ルスティコのレモンのパスタ × abelest + Mastarrja「食事」
ダメだなあ、ダメだなあと分かりつつ、食べるものには全然気をつかっていないです、僕は。もちろん、美味しいものは好きだし、外ではそれなりに良いものを食べている。でも自宅でひとりっきりで食事をとると、途端にルーズになって朝昼晩をチョコレートのコーンフレークで済ませたり、朝食をアイスクリームにしたり。
せっかくほぼ毎日、筋トレをやっているのにこれじゃあ効果薄。そんな自分がいま向き合うべき曲は、福岡のトラックメイカー/ラッパー、abelestが2019年にリリースしたEP「健康」に収録されていた「食事」ですね。
<注射打たれるくらいなら死んだ方がマシ>とまではいかずとも、病院へ行くのが怖いし面倒くさいし、<マネージメント自分できるわけない>ので、だったら食事の際は裏表示を見てビタミン、乳酸菌を摂らなきゃ。ついついサプリだけで補おうとしちゃうんだけど、あくまでそれは栄養補助。サプリで<おいしいなあ、満腹ワールド>な状態になっちゃうとヤバい。健康ドラッグ中毒。
やっぱり普段の食事を見直して根幹から気をつけなければなりません。たとえばこのパスタのように一工夫してレモンを入れてみるとか。やっぱりサプリからではなく、食材から摂るビタミンは大事。とはいってもこの「食事」という曲自体は、すごくカラダに悪そうで最高にトリッピーな曲なんですけど。
・ルスティコのレモンのパスタ[神戸・県庁前]
シンプルイズうまい!を体現する、神戸のイタリアン。爽やかビジュアルのレモンのパスタは、二日酔いの休日のランチなんかに、見た目からシャキっとさせてくれそうだ。
③酒場檸檬(お菓子教室シトロン)のハムとレモンマーマレードのクレープ × くぴぽ「夏が嫌い」
このクレープの料理人・山本稔子さんはなんでも甘いものが苦手だったらしい。
かくいう僕も嫌いなものが多いけど、あれだけ無理だったわさび、アスパラ、アボカドなどが少しずつ食べられるようになった……そればかりか、好きになっちゃった。単なる食わず嫌いだったり、本当に美味しいものとの出会いだったり、さまざまなキッカケで「味わいの記憶と感情」は変化する。
そこでパッと浮かんだのが、「大阪で一番売れてないアイドル」くぴぽの新作『ニャンニーチュアン』(『らんま1/2』が着想元のタイトル)の収録曲「夏が嫌い」だ。タカユキカトー(ex.ひらくドア)作曲の実直で素朴なメロディ、くぴぽのリーダー・まきちゃんが共同作詞した歌詞内容が染み渡る同曲。
夏は日焼けしてブルーになるなど、夏が嫌いな理由がいろいろ綴られているが、ただ誰もが経験したことがある夏特有の朝の雰囲気を描写し、<君のキスを思い出す>と美しくも切ない記憶を呼び起こすことで、たとえ嫌いなままであっても新しい感触が芽生えるという、その小さな可能性やきっかけに言及。
夏に食べたアイスクリームや君とのキス……、つまりこれは「味わいの記憶と感情」に触れた歌だ。嫌いは嫌いのままでも良い。ただ、そこにもこれから生きる上でのヒントは転がっている。
・酒場檸檬(お菓子教室シトロン)のハムとレモンマーマレードのクレープ[京都・四条烏丸]
京都で人気のレモンをテーマとした酒場「酒場檸檬」。こちらを手がけるのは料理研究家でもある山本稔子さん。その山本さんが主催する「お菓子教室シトロン」で、夏にぴったりの酸っぱいクレープを。
文=田辺ユウキ
今回紹介したお店情報
『聴食の楽しみ方』特集
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