移動演劇桜隊原爆忌法要、今年も目黒・五百羅漢寺で~新「桜隊」メンバーよりコメント到着

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2020.8.8
原爆碑の前で僧侶の祈祷(目黒・五百羅漢寺)2020.8.6 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

原爆碑の前で僧侶の祈祷(目黒・五百羅漢寺)2020.8.6 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

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原爆投下から75周年という節目の今年2020年8月6日、東京・目黒は五百羅漢寺にて「移動演劇桜隊原爆忌法要」がしめやかに執り行われた。この法要は、1945年8月6日に広島に滞在していたために原爆の犠牲となった移動演劇の劇団、「桜隊」の9名を偲び、「移動演劇桜隊平和祈念会」により毎年行われているもの(「桜隊」については8月3日のSPICE記事= https://spice.eplus.jp/articles/273454 を参照のこと)。

原爆に散った桜隊9名(丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどり、森下彰子、羽原京子、島木つや子、笠絅子、小室喜代) (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

原爆に散った桜隊9名(丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどり、森下彰子、羽原京子、島木つや子、笠絅子、小室喜代) (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)


本年は新型コロナの感染対策として、三密を回避するため、本堂での読経は僧侶のみ。今回参列した31名は、別講堂にて、モニター中継を見守った。

別講堂でのモニター参列(目黒・五百羅漢寺)2020.8.6 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

別講堂でのモニター参列(目黒・五百羅漢寺)2020.8.6 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)


午前8時15分、原爆投下の時間に黙祷が捧げられた。次いで、五百羅漢寺の日髙秀敏代表役員が、反戦・非核への誓いを述べた後、原爆碑への焼香を行なった。例年は軽食、歓談のために和室に集まるが、今年は安全対策を優先し、流れ解散となった。

別講堂でのモニター参列(目黒・五百羅漢寺)2020.8.6 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

別講堂でのモニター参列(目黒・五百羅漢寺)2020.8.6 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)


先ごろ再結成が発表された新しい「移動演劇桜隊」の隊長以下メンバー3名も今回、初めて法要に参列した。以下、SPICEに届いたコメントを紹介する。

「移動演劇桜隊」主幹・青田いずみ

8月6日を目黒の五百羅漢寺で過ごすようになってから20年以上になります。広島で被爆した桜隊のことを知ったときは、彼らは皆、年上だったのに、いつの間にか彼らの享年を越してしまいました。夏空の下、8時15分の鐘の音を聞きながら、今度は自分が新しい世代に桜隊を継承する立場になったことの重みを強く感じました。先の見えない時代ですが、新しい桜隊と共に一歩を踏み出そうと思います。

青田いずみ

青田いずみ

「移動演劇桜隊」隊長・椎名友樹

五百羅漢寺の法要に参加し、原爆投下時間に合わせて黙祷しました。75年前のこの瞬間に移動演劇桜隊9名の運命が大きく変わってしまった事を、肌で感じました。彼らの内、5名は即死、あるいは焼死。まだ即死だった方が苦しまなかったかもしれない。生きたまま身体を焼かれたとしたらとても恐ろしく、残酷な事であったろうと思います。即死を免れた4名の役者も、何とか助かった事に喜び、再び舞台に立つという強い気持ちを持ちながらも、原爆症に苦しみながら、相次いで亡くなりました。羅漢寺の法要に参列する事で、この事実を自分の胸に刻み込みました。コロナ渦にある現在も、先の見えない不安が続いています。このような中、かつての桜隊の思いを引き継いで、舞台に立つ事に、大きな意義を感じます。たくさんの方々が改めて、生きるということや平和であることなど未来について考える、きっかけになれたらと思います。令和の桜隊の一員として、そのようなメッセージを発信して行きたい。

椎名友樹

椎名友樹

「移動演劇桜隊」磯谷雪裕

桜隊に関しては日々少しずつ勉強し、少しずつ存在の輪郭のようなものが出来つつありましたが、やはり何処か距離がありました。おそらく「知識としての桜隊」という範疇を越えていなかったからだと思います。しかし今日の法要で黙祷を捧げ、原爆碑に手を合わせることで輪郭が少しはっきりしてきたと言うか、ようやく0が1になったように感じました。台本と向き合い、共演者と向き合い、演出と向き合い、同じ板の上で生命を叫ぶ。75年前も同じようにしていた方たちがいたこと。叶えられなかったこと、その中で叶えたこと、お客さんの笑った顔、板の上に立ちたい思い、立ちたかった思い。桜隊を名乗って芝居をすることでそういった思いをひとつずつ拾っていけたら、そういう想いで臨んでいこうと決意を新たにしました。

磯谷雪裕

磯谷雪裕

「移動演劇桜隊」盛山小春

この度、移動演劇桜隊に所属致しました、盛山小春です。"新生"移動演劇桜隊として初めての活動が、この度の法要となりました。当時の広島でも、この日のように日が照り、蝉が鳴いていたのかと思うと、75年前のこの日、私達と何も変わらずに、生きていたのにな、という悔しさとも儚さとも、言葉にできない思いでいっぱいになりながらお経を聞いておりました。当時を生きた彼らを、私たちは想像し、創造しながら、文字にすると数行に要約される桜隊の歴史を、日本の歴史を、多くの人の心に伝え続けていきたいと。改めて身のひきしまる思いを抱きました。当時を生きた桜隊の皆様と、日本の歴史に寄り添って、共に考えることで、これからの日本をより良く生きる知恵を授かれるのでは、と。そして多くの人の心を救うきっかけになれるのではないかと思っております。

盛山小春

盛山小春

なお、再結成が決まった新生「移動演劇桜隊」は2021年の8月6日に五百羅漢寺で行われる予定の追悼会にて正式な初演をおこなう。

新生「移動演劇桜隊」のメンバー(左から)盛山小春、椎名友樹、磯谷雪裕 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

新生「移動演劇桜隊」のメンバー(左から)盛山小春、椎名友樹、磯谷雪裕 (写真提供:移動演劇桜隊平和祈念会)

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