東西の異彩が競演する落語会を能舞台から生配信で開催
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お盆真っ只中の2020年8月14日(金)に、鎌倉にある旧村上邸の能舞台で東西の大看板と勢いに乗る若手落語家が競演する落語イベント『おぼんde落語~オンライン古今東西会』が生配信で開催された。
新型コロナウイルスの影響で落語会の開催が難しくなり、配信の会が急増中だ。多彩な会が開かれる中、今回は能舞台という特別な会場に加え、上方の大御所・桂南光と東京でも指折りの人気真打・柳家喬太郎の異色の顔合わせが見どころで、落語のほかに2人の爆笑トークも行われた。
村上邸
オープニングはコロナ対策のため、アクリル板をはさんで行われた2人のトーク。この日は観客がほとんどいない状況での開催で、南光にとっては初めての配信公演。「どっちを向いてしゃべっていいのか」と最初はちょっと戸惑い気味の南光だったが、喬太郎と楽屋ですっかり打ち解けた流れに乗って、怒涛のトークがスタートした。
南光、喬太郎がそれぞれ人間国宝の桂米朝、五代目柳家小さんの孫弟子という縁から、米朝と小さんの思い出や「上方落語四天王」の1人、三代目桂春団治のエピソードなど笑いあり、感動ありの貴重な逸話が惜しげもなく、次々と披露された。南光が語る落語界のギリギリのトークに、喬太郎が戸惑う一幕も。この2人ならではの密度の濃いトークが繰り広げられた。
(左から)桂南光、柳家喬太郎
トークの後は落語が4席。来年2月に5人抜きの抜擢で真打に昇進する予定の東京の若手、桂宮治がトップに登場。明るく弾ける高座で、古典の「権助魚」を演じた。
桂宮治
中トリの喬太郎はコロナ関連のマクラに続けて、自作の「夜の慣用句」。年月が経っても色あせない人気作で、コミカルな運びと変幻自在な「喬太郎ワールド」が炸裂。
柳家喬太郎
後半は上方勢が登場。中入り後には「NHK新人落語大賞」や「文化庁芸術祭新人賞」などここ数年、多くの賞を受賞している注目株の桂雀太が古典の「天狗刺し」を絶妙な間で口演。
桂雀太
トリは桂南光。東西の人間の気質の違いや自身の41年の結婚生活の日常のエピソードをマクラに振って、古典の「火焔太鼓」を。「火焔太鼓」は東京で広く演じられているネタだが、南光は設定を大阪にした「南光版」で味わいある独自の世界を切り拓いている。恐妻家で商売が下手な古道具屋の主人と女房の駆け引きなどギャグも満載で、スピード感のある爆笑の高座を披露した。
桂南光
自宅にいながら気軽に落語を楽しめることに加え、演者のしぐさや表情を間近で堪能できるのも配信公演の魅力だ。終演後にもアーカイブで会を見ることができるのも嬉しい。見逃せない東西の強者が集ったこの会もアーカイブで8月16日(日)の23:59まで視聴が可能だ。視聴券は8月16日の18時まで販売されている。