想像してごらん、美しい朝霧ジャムを 『朝霧JAM 』2年連続で開催ならず

2020.8.26
コラム
音楽

朝霧JAM It's a beautiful day

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YouTubeでの特別ライブ配信番組を通して来年へと延期された『フジロック』に想いを馳せた先週末。その余韻に浸る人々の元に、昨日8月25日の夕刻、悲しい一報が届きました。その見出しには「朝霧JAM 2020年の開催見送りのお知らせ」という文字が…。

撮影=宇宙大使☆スター

ここ数年、『朝霧JAM』は『フジロック』の会場内で開催発表をしてきていましたので、『フジロック』のない今年はその開催について、いつ、どのように発表されるかと注目していましたが、この報せに肩を落とした人も多かったのではないでしょうか。そんな中でも開催実現を模索し、出演者、スタッフ、そして長年にわたり支えてきたボランティア、開催地域の人々、協力団体、後援自治体との話し合いを重ねてきたことを知ると、より一層残念さを感じますよね。ここで『朝霧JAM』の歴史を振り返ってみましょう。


■至福のオール・キャンプ・イン・フェス『朝霧JAM』の歴史

撮影=宇宙大使☆スター

秋を代表する野外音楽フェス『朝霧JAM』。フェスの正式名称は『朝霧JAM  It's a beautiful day』ですが、日本で最も長い名を持つフェスのため音楽ファンからは通称『アサギリ』と呼ばれています。また、名前にある“JAM”には「ジャンルレスに様々なミュージシャンが集い、皆で楽しむ」という意味が込められているそうです。

『朝霧JAM』の起源は今から19年前、2001年のこと。「朝霧高原を音楽のメッカにしよう!」をスローガンに掲げ、2001年に富士山麓で産声をあげました。これまでに海外からはBelle and Sebastian、Yo La Tengo、The John Butler Trio+、JACK JOHNSON、Mogwai、Wilko Johnson、Flying Lotus、Ron Sexsmith、The Chemical Brothersなど、そして国内からはクラムボン、くるり、ゆらゆら帝国、SPECIAL OTHERS、真心ブラザーズ、Suchmos、UA、Takkyu Ishinoなど多数のアーティストが出演してきました。

『朝霧JAM』の最大の特徴は、なんと言ってもキャンプをしながらライブを楽しめるオール・キャンプ・イン・フェスであること! 会場は富士山麓に広がる緑豊かな朝霧高原にある朝霧アリーナとふもとっぱら。知る人ぞ知るキャンプの聖地では犬も一緒にキャンプを楽しむことができます。

撮影=宇宙大使☆スター


■ライブだけではない魅力がいっぱい

朝霧ジャム名物のラジオ体操 Ⓒ Taio Konishi

富士山と共に寝起きするという他では味わえないスペシャルなロケーションに加えて、音楽以外の楽しみがたくさんあるのが『朝霧JAM』です。特に地元静岡のフードを中心にワンコインでも楽しめるメニューが豊富なフェスごはんは、そのすべてがおいしくて、キャンプだからといっても食事を作る必要がないほど充実しています。食べもの以外にも移動式の本屋があったり、自分だけのアクセサリーを作れるワークショップや可愛い一点物が販売されているマーケットがステージと同じエリアにあるのでライブの合間にショッピングを楽しめます。

撮影=宇宙大使☆スター


■『朝霧JAM』はボランティアが支える地域密着型フェス

そしてもうひとつ、『朝霧JAM』を語る上で欠かせないのが、ボランティア集団『朝霧JAMS’』です。地元の有志を筆頭にフェスを盛り立て、支えるのはボランティアの方々。会場内ではジャムズのTシャツを着た人から「ありがとうございます」と言われることが多くありますが、こちらこそ感謝しています。


■昨年2019年は台風で「中止」に

朝霧JAM実行委員長の秋鹿 博さんは今回発表したコメントにおいて「昨年の19回目の朝霧JAMは、猛烈な台風19号の襲来によって開催することができずに涙をのみました。それだけに、今年こそはと意気に燃えるボランティア団体 朝霧ジャムズ は20回目の開催を、固唾を飲んで見守っていました」と綴っている通り、2019年は台風で中止になりました。これまでにない規模と連日報道されていた台風19号は日本列島に爪痕を残しただけでなく、『朝霧JAM』の開催をも奪ったのです。
しかし、来場者に対するSNSを駆使した状況説明の細かな発信に加え、中止の判断が迅速になされたことは参加者はもとより多くの音楽ファンから英断として評価の声があがっていたのも印象的でした。

本来であれば、今年は20回目を迎えるはずだった2020年の『朝霧JAM』ですが、まさか2年連続で開催されないとは誰もが想像しなかったはず。それでも参加への期待や準備をする前に開催見送りを発表した姿勢には、参加を予定していた人たちへの優しさを感じます。今回の開催見送りの報せを受け、主催者であるSMASHに取材したところ、『朝霧JAM』ファンの皆さんにメッセージを預かりましたので最後にご紹介します。


■主催者からのメッセージ

「昨年の台風による開催中止に続き、20周年の節目をも断念することとなり大変無念ではありますが、これまでの朝霧JAM開催を支えてくださいましたお客様・出演者・関係者の皆様に、あらためまして感謝とお礼を申し上げます。

人々が互いにリスペクトし合い、安全と健康を取り戻せる未来が近い事を信じ、2021年富士山麓に広がる緑豊かな朝霧高原でお会いできる事を楽しみにしております。」

撮影=宇宙大使☆スター

明けない夜はありません。来年の『朝霧JAM』開催が実現するその日まで、キャンプ道具とキャンプスキル、そして音楽を愛する心に磨きをかけておきましょう。それから、『朝霧JAM』を知らない人や朝霧ロスを感じている人は、過去の写真を集めた『朝霧JAM』ギャラリーを閲覧してみてはいかがでしょうか? 『フジロック』でもおなじみのオフィシャルカメラマンである宇宙大使☆スター氏が2003年から撮りためた作品をご覧になれます。詳しくは『朝霧JAM』のオフィシャルサイトをご確認ください。

文=早乙女‘dorami’ゆうこ

Ⓒ Taio Konishi

 

オフィシャルサイト情報

朝霧JAM オフィシャルサイト
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