MONOEYES『RUSH BALL 2020』ライブレポート ーーマスクの向こうの笑顔を信じて歌う、バンドの決意
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『RUSH BALL 2020』MONOEYES
「いっちょいこうか!」。細美武士(Vo.Gt)が軽く跳ねると、それを合図にフィールドにいる観客が一斉に飛び跳ねる、言わずもがなな関係性にスタート早々に満足気な表情を見せる細美。1曲目「My Instant Song」、懐かしさを感じるメロの中にも戸高賢史(Gt)の繊細でいて剛毅なギターサウンドが気分を高揚させる。これを待ってたんだと言わんばかり、マスク越しでもわかる嬉しそうな表情を見せる観客たち。
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続く「Run Run」、ライブではお馴染みの楽曲でいつもならモッシュにダイブにと、フィールドはしっちゃかめっちゃかになるのが定番だが、観客はみな制限のある環境のなかで最大限の楽しさを満喫している。一瀬正和(Dr)、スコット・マーフィー(Ba.Cho)、2人が打ち付ける屈強なリズムに揺さぶられてもそれは変わらない。スコットがボーカルを取る「Roxette」でも楽しければ楽しいほど、拳が高く突きあげられるばかりだ。
「Get Up」「明日公園で」と緩急様々な楽曲を投下し、久しぶりのステージの感触を楽しむ4人。観客と同様に気分が高揚しているかと思えば、細美はその少し前に「正直、面白くないと思っていた……」と少し複雑な気持ちを吐露していた。
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実はその真意は、ルールが徹底されていても気分が高まればこれまでのライブのようにステージ前に観客が密集するんじゃないかという不安があったからだという。「(そうなれば)ライブを止めて、ステージを降りようと決めていた。不便があるなかでも、ルールを守ってくれていて嬉しい」と、バンドとしても決意をもってステージに挑んでいたことを伝える。「これまでの『RUSH BALL』と変わらないくらい楽しい。結局、お前たちの楽しい顔が見られたらそれでいい。マスクの向こうは笑顔なんだろうなと心の底から信じて最後まで歌う」と、改めてこの日のステージに懸ける想いを語り、「Two Little Fishes」へ。
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ここで、ステージ袖からマスク姿のTOSHI-LOWが現れ、いつものように演奏中のメンバーにちょっかいを出し始める。しかもアルコールスプレー持参で、コーラスに参加すればマイクを消毒し、ハグをすれば相手も消毒するという、「今」だからこそのふざけっぷりに、たまらず笑い声がもれてしまう。そのままラストナンバー「グラニート」まで笑顔溢れるライブが続き、ライブの楽しみ方にルールはない、自由なんだと改めて実感できた、かけがえのない時間が過ぎていった。
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取材・文=黒田奈保子 撮影=瀧本JON…行秀
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