SiM『RUSH BALL 2020』ライブレポート ーー目的地はライブハウス、あの場所に帰る日を信じて
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『RUSH BALL 2020』SiM
2年ぶりの登場となった『RUSH BALL』常連組のSiM。様々な制約がある中でモッシュやサークルなどは当然できない中、どんなライブとなるのか。想像し難いバンドのひとつだったが「生きてんのかよ?生きてる?死ねーーー!!」といういつも通りの挑発的なMAH(Vo)のシャウトから「KiLLiNG ME」が走り出した瞬間にその心配は不要なものだと確信。半年ぶりのライブでその士気が最高潮に高まっているのがわかる。GODRi(Dr)の地を裂くようなビートが渦巻く中、SHOW-HATE(Gt)、SIN(Ba)の鬼回転も冴えわたる。決められたスペースの中で、思い思いのステップを踏むオーディエンスとバンドの信頼関係は強固なものだ。
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「座れーーーー!」と開始5分で全員を座らせ、緑のネットで仕切られたエリア内でしゃがむみんなに「ウケる!虫かご(にいる)みたい(笑)」と愛あるイジりを一発。そして、タテの動きは可能なのでMAHの合図とともに大ジャンプ! 拳を突き上げ食らいついていくオーディエンスの姿は激しい動きこそないものの、いつものライブと変わらない。
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「バラードなしのセットリストにしちゃったんで」と二ヤりと悪魔の笑みを浮かべるMAH。「Amy」では、心地よい風が吹き抜けるフィールド、レゲエのリズム、これまでためていた何かを吐き出すかのように踊り続けるそれぞれの姿にやっと訪れた夏を感じた。
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続くMCでは、「ライブする機会を与えてくれてありがとう!」と主催・GREENSに感謝を語り、とはいえ「ここがゴールではなく、戦い続けてくれているライブハウスが俺たちの目指すべき目的地! みんな、一緒にライブハウスに帰ろう!!」「クソみたいなライブハウスで早くやりてえ!」と新曲「BASEBALL BAT」を投下。闘志漲る中に躍動するPOPなメロディがどこまでも気分を上げてくれる。「こんな歌える曲いっぱい作ったわけよ……」と続く新曲「Devil in Your Heart」でもコール&レスポンスができない悔しさをにじませる。
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最後は「Blah Blah Blah」「f.a.i.t.h」の鉄板の流れへ。SHOW-HATEの空を舞うかのような大ジャンプパフォーマンスに呼応するかのように、ヘドバンの嵐に。「俺にはパカーンと割れる泉大津が見えます!」(MAH)の言う通り、そこには確かに目には見えないウォール・オブ・デスが。どんな状況でも、容赦なくライブハウスさながらの熱狂を生み出す彼らにロックバンドの誇りと生き様を見た。
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取材・文=岡田あさみ 撮影=河上良
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