Creepy Nuts『RUSH BALL 2020』ライブレポート ーー雨雲も吹き飛ばす無敵のグルーヴでロックアンセムを鳴らす
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『RUSH BALL 2020』Creepy Nuts
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2年前のATMCでクロージングアクトをつとめてから3年後に大トリを飾ることになるとは。屈強なロックバンドが名を連ねた2日目の『RUSH BALL 2020』を締めくくることになる2人の勇姿を見届けるべく、スタンディングエリアには間隔がとられながらもぎっしりと人が集まった。
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開始前、北東から不穏な雨雲が近付き、昨年同じ場所で豪雨の中ライブを完遂した2人の姿が頭をよぎる。それはそれで昨年と同じ雨の中のライブというドラマティックな展開を期待してしまったが、主催の判断で転換を急ぎ10分前にサウンドチェックを開始。そんな状況をも「夏フェスぽさといえば、野外・デカい音・悪天候でしょ? 最終日に体験できるじゃないですか!」とむしろ雨上等な構えで煽るR-指定。コール&レスポンスを拍手で練習し、本番さながらに安定の盛り上がりを見せる。
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一旦ハケてDJ松永がターンテーブルにスタンバイすると、4日前にドロップされたばかりのアルバムの中から「ヘルレイザー」で幕明け。「みなさん禁欲生活でたまってたんでしょ!?」とライブがしたい気持ちを猥雑なリリックでぶちまけていく。この状況が嵌りすぎていて最高の選曲だ。歌詞の内容はさておき、子どもが手を振る姿も。国民的ヒーロー感も持ち合わせている無敵状態。
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ライブ定番の「助演男優賞」「合法的トビ方ノススメ」ではR-指定の「心の中で歌えー!」との煽りにサイレントで応える熱狂が湿った空気の中を伝わっていく。2人とも全身黒の衣装に、飾り気のない真っ黒のDJブース。まさにマイクとターンテーブルだけでどんどんこの場を掌握していく様は圧巻だ。
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中盤には、降りかけた雨も小雨程度で止んだ。「去年までの卑屈な俺らだったらどしゃぶりだった(笑)」とDJ松永。雲の隙間からステージ上に丸い月が浮かび上がる中、最新アルバムから菅田将暉とのコラボ曲「サントラ」ではハンドクラップが巻き起こり、青春パンクのような強靭なパワーを持つサビのメロディが胸を熱くさせる。一緒に大合唱できたらどんなに気持ちいいだろう。アルバムの表題曲である「かつて天才だった俺たちへ」最新シングルも披露され、メインストリームに斬り込んでいく彼らの勢いそのままのグルーヴを見せつけた。
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ラストは「いろいろな壁を音の中ではとっぱらって、ぐしゃぐしゃに抱き合って帰りましょう!」と↑THE HIGH-LOWS↓のカヴァー「日曜日よりの使者」を。HIP HOPユニットである彼らが、ラップで自分たちの色を加えた日本のロックアンセムを鳴らす姿は感動を呼んだ。大きな声では歌えないがマスクの中で<Sha,la,la,la>と口ずさみ、みんなが繋がる。フィナーレを迎えた瞬間、打ちあがった花火を見ながら、この2日間が音楽の未来を変える一歩になることを願った。
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取材・文=岡田あさみ 撮影=田浦ボン
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