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オフ・ブロードウェイ上演に向けた第一歩 ミュージカル『えんとつ町のプペル』オンライン公演がついに実現

2020.9.25
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2020年9月19日(土)、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで幕が開くはずだった新作ミュージカル『えんとつ町のプペル(Poupelle of Chimney Town)』。その映像作品が、前編・後編と2日間に分けてオンライン配信という形で公開された。原作は西野亮廣(キングコング)が脚本&監督を務め、完全分業制で制作された同名絵本。既に日本では舞台版が上演されており、2020年秋にはアニメ映画化も決まっている今注目の作品だ。

今回のオフ・ブロードウェイ上演プロジェクトの発起人兼プロデューサーは、ニューヨークを拠点に活動する元劇団四季の小野功司。そこに、同じくアメリカで活躍する3人の才能が加わって本プロジェクトが進められてきた。小野と同じく渡米してミュージカル女優として活動する元劇団四季の撫佐仁美(振付)、劇的茶屋『謳う死神』で作曲を務めたKo Tanaka(作曲)、ニューヨークで活躍する演出家ジェシカ・ウー(総合演出)という強力な布陣だ。

残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響でオフ・ブロードウェイでの上演は叶わなかったものの、今後の上演を見据え、クラウドファンディングを募って完全リモートでの映像作品制作に至ったという。本記事では、2020年9月19日と20日に公開された『プペルブロードウェイ オンライン公演』の前編・後編を合わせてレポートする。

物語の舞台は、4,000メートルの崖に囲まれたえんとつだらけの“えんとつ町”。空一面にはモクモクと煙が広がり、町の人々は青空や星の存在を知らずに暮らしている。あるハロウィンのお祭りの夜、ゴミ山から生まれたゴミ人間プペルと、えんとつそうじ屋の少年ルビッチが出会うところから物語は動き始める。

3年前に亡くなった父がそうだったように、まだ見たことのない星を信じ続けるルビッチと、そんな彼の想いに寄り添うプペル。ところが二人が星を信じていることを知った周囲の人々は、彼らを馬鹿にし、さらには異端扱い。プペルとルビッチは煙だらけの空で星を見ることができるのだろうか……

画面上には原作の絵本のイラストが効果的に映し出され、自然と絵本の世界観に入っていくことができる。繊細で色鮮やかなイラストと、その原作のイメージにぴったりの愛らしくあたたかみのある楽曲が作中に溢れていた。

その楽曲を歌い踊るのは、ブロードウェイで活躍する実力派キャストたち。本来予定していたオフ・ブロードウェイ公演のキャストはオーディションを通して決めるはずだったが、オーディション自体もコロナ禍の影響で中止となってしまった。今回の映像作品のキャストは、振付の撫佐や演出のウーがこれまでの仕事を通して出会った俳優の中からキャスティングしたのだという。

オーディションはできなかったものの、歌・ダンス・芝居のクオリティの高さからはキャスト陣の確かな実力が感じ取れる。配役も見事だ。物語前半のハロウィンのお祭りの場面では、ジャジーな曲に合わせてふんだんにダンスが盛り込まれており、一気に華やかなミュージカルの雰囲気を盛り立ててくれる。また、ルビッチ役のLizzie Marksonの透き通るようなピュアな歌声は胸に刺さるものがあり、グッとキャラクターに感情移入することができる。

ちなみに、本作は全編英語翻訳された台本で構成されている。配信映像では英語と日本語それぞれの字幕がついているのがありがたい。上映時間は前編・後編各45分の計90分。できれば映像配信を観る前に、原作絵本に目を通しておくと物語の理解が深まりより楽しめるだろう。原作はウェブ上で全ページ無料公開されているが、このミュージカル版には原作に登場しないキャラクターや展開も盛り込まれている。えんとつ町の秩序を乱すものを厳しく取り締まる異端審問官ベラールや、マイペースで破天荒な炭鉱夫スコップの登場は、本作をさらにワクワクしたものにしてくれる。

 2020年3月、ニューヨークでパンデミックによるロックダウンが起きて以降、クリエイターとキャストたちは自宅からリモートで話し合い、稽古を重ねて各自で撮影し、最終的に一つの映像作品を完成させた。このプロジェクトは「闇の中でも光を信じ続け、仲間と共に行動を起こす」というプペルとルビッチの姿を体現しているようでもあり、先の見えない世界で不安を抱えながら生きる我々自身にも勇気を与えてくれる。

今回のオンライン公演は、オフ・ブロードウェイ上演プロジェクトに向けた大きな一歩となるだろう。近い将来、劇場で本作が上演されるときには華やかな衣装、舞台セット、照明、音響で作品の世界観が創造され、より鮮やかに美しく彩られるに違いない。「劇場で『えんとつ町のプペル』が観たい」。そう思わせてくれる映像配信だった。

本作の配信視聴は、クラウドファンディングのリターンとして購入が可能だ。クラウドファンディングは2020年9月27日(日)まで、映像配信は9月30日(水)23:59までの限定公開となる。

"Poupelle of Chimney Town" Online Musical Trailer(ミュージカル公式トレーラー)

取材・文 = 松村蘭(らんねえ)

配信情報

ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』
オンライン公演
■日程:※公演は、2日間に分けて生配信で行います。
2020年9月19日(土)21:00~22:15
・ミュージカル前編(45分)
・NYで戦う日本人チームによる制作秘話トーク(30分)
 
2020年9月20日(日)21:00〜22:15
・ミュージカル後編(45分)
・小野さんとセトちゃんによる対談。〜本公演に向けての展望について〜(30分)
 
:クラウドファンディングのリターンとしてご購入いただけます。
■「SILKHAT」クラウドファンディングページ:https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/1769
は1枚で両日ともご覧になれます。
※ニューヨークではまだスタジオや劇場での収録が難しいため、今回は、ZOOMでのフルキャストの台本読み合わせに加え、自宅収録の歌やダンスシーンを編集した「ミュージカル映像作品」をお届けします。
※ミュージカル本編には、日本語と英語の字幕がつきます。
※ミュージカル本編は収録した映像の配信、アフタートークは生配信になります。
※クラウドファンディングは、公演終了後の【2020年9月27日(日)】まで実施します。公演の配信は【9月30日(水)23:59】までの限定公開です。【9月18日(火)18:00】以降の支援者さんには、アーカイブのリンクでのご案内となります。
 
■リターン一覧(一部)
・1,000円:ただただ応援!
※セトちゃんと小野より、御礼メッセージをお送りいたします。
 
・2,000円:ミュージカル制作の裏側を観れる権
NYチームや俳優さん達の裏側を捉えた"メイキングムービー"をお届けします。
※オンライン公演の数日後に、メイキングムービーのURLをSILKHATのメッセージ機能にてお届けします。
 
・5,000円:オンライン公演を観れる権
「オンライン公演」の観劇です。
※公演は、2日間に分けて生配信で行います。
※配信は【9/30 23:59】までの限定公開です。【9/18 18:00】以降の支援者さんには、アーカイブのリンクでのご案内となります。
 
・10,000円:NYチームをめちゃくちゃ応援!!
NYチームメンバーと俳優さん一人一人からの「ありがとう」を込めたメッセージ動画をお送りいたします!
※NYチーム、俳優さんによるメッセージで一本のムービーをつくり、支援者さんにお届けします。
※動画のURLをSILKHATのメッセージ機能にてお届けします。
 
ほか、詳細はクラウドファンディングページ(https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/1769)をご確認ください。
■『Poupelle of Chimney Town』YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCD6w54kysmpE5GvW7Z8Td4A