コリィ・テイラー、自身初となるソロアルバム発売記念配信ライブの最速レポートが到着
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コリィ・テイラー
スリップノット、ストーン・サワーのフロントマンであるコリィ・テイラーが自身初となるソロアルバム『CMFT』を10月2日に全世界同時リリース。このアルバムの発売を記念して、日本時間で翌日3日に世界中のファンに向けて行ったライブ配信のオフィシャル・レポートをお届けする。
新作アルバムのリリース直後にライブを実施。そんなことが可能ならば他のどんなプロモーション手段よりも有効であるはずだが、観客を集めての通常のライブが実施できにくい状況は、今現在も世界的に続いている。しかし、配信ライブならばそうした問題を飛び越えて実現可能だ。コリィ・テイラーはまさにそれを実践してみせた。
スリップノット、ストーン・サワーのフロントマンとして知られる彼は、この10月2日、満を持して『CMFT』と銘打たれた自己初となるソロ・アルバムを全世界で同時リリース。そしてアメリカ各地が同日の午後から夕方、欧州が同日の夜、そしてここ日本がすでに翌3日の昼が近付きあった頃、コリィは信頼のおける仲間たちを引き連れながらの最新ライブ映像で、世界各地のファンを配信画面の前に釘付けにしていた。
コリィ・テイラー
この無観客配信ライブについて特筆すべきなのは、その演奏場所がスタジオやライブハウスなどではなく、ロサンゼルスのザ・フォーラムであること。かのKISSのライブ・アルバム、『アライヴⅡ』(1977年)が収録され、クイーンのメンバーたちが「世界各地のアリーナの中でも特に印象深い会場のひとつ」と公言し、スレイヤーが昨年11月に最後の公演を行なった場所でもある。コリィが今回実施したのは、約1万8,000人を収容するというこの由緒正しきアリーナでの、大規模会場ならではの演出等もふんだんに盛り込んだフル・スケールのショウだった。
当日、実際のライブ配信がスタートするまでのひとときは、今回のライブに向けてのリハーサルや、会場到着までのツアー・バス内での様子、楽屋裏の風景、コリィのみならずメンバーや関係者までもが登場するインタビューなどが〈ライブ直前特別番組〉的に流れ、視聴者の気分を盛り上げずにおかない。そして、しっかりと期待感が高まったところで肝心のライブがスタート。ステージ中央にはジャケットを着用し、ギターを抱えたコリィの雄姿。その後方ではCMFTの4文字の電飾がまばゆい光を放ち、前方からは白煙が噴出。この画期的ライブは、アルバムと同様に「HWY 666」で幕を開けた。
コリィ・テイラー
それから約100分間にわたるライブを通じて、彼らはアンコールを含めて実に全25曲を演奏。気が付けばその経過の中で『CMFT』のオリジナル収録曲すべてが披露されていた。しかもそれに加えてスリップノット、ストーン・サワーの楽曲のみならず、興味深いカヴァー曲も随所に散りばめられ、まさにコリィならではの多様性のあるプログラムとなっていた。
実際、『CMFT』という作品自体にも、スリップノット、ストーン・サワーでの彼の姿からは考えられないほど多種多様な楽曲が詰め込まれており、しかもカントリー/フォーク的な空気感をまとった楽曲からバンクとメタルの合体を思わせるもの、ピアノ・バラードからラップに至るまでの楽曲が無理なくひとつの流れを作り上げている。そんなことを可能にしてしまうコリィのセンスと歌声自体にある種のマジックを感じずにいられないわけだが、そうしたヴァラエティ豊かな楽曲たちとさまざまなカヴァー曲のマッチングも見事だった。ザ・デッド・ボーイズのパンク・チューン、カントリー・フレーヴァ―たっぷりのイーグルスの有名曲、昨年9月に他界したエディ・マネーや、ジョン・キャファティ&ザ・ビーヴァ―・ブラウン・バンドのヒット曲、さらにはKISSに至るまでのさまざまなカヴァーがごく自然に溶け合ってしまうというのは、まさに彼のライブならではの興味深さといえるだろう。
コリィ・テイラー
コリィは演奏の合間に何度も感謝の言葉を口にし、その謝意は視聴者のみならずバンド・メイトやクルー、この画期的な試みを実現へと至らしめた関係者たちにも向けられていた。同時に印象的だったのは彼の口から聞こえてきた「まだまだ始まりに過ぎない」という言葉。それは当然ながら『CMFT』に伴う活動展開がこれからいよいよ本格的に始まろうとしていることを示唆していた。
このアルバムの制作終了後、コリィは積極的に〈このご時世でも可能な方法でのプロモーション〉に勤しんできた。日本では、実際のアルバム発売までまだ約2ヵ月もあるという頃に突然『スッキリ』(日本テレビ系)にリモート出演してファンを驚かせたこともあった。今回の大仕事を経たところでコリィのミッションは終わるわけではなく、むしろ彼はここからさまざまな動きを見せることになるのではないだろうか。そうした彼の今後の動きを注視していたいところだ。とはいえ、その前にまずこの記念すべきプレミア・ショウの映像を味わっておくべきだろう。アーカイブ公開期間は10月9日(金)11:00amまで。この機会をお見逃しなく!
Text by 増田勇一 Photo by Gina Joy Chong / Steve Thrasher
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