新年は明治座へ! スペシャルミュージカルコンサート『NEW YEAR’S Dream』玉野和紀×平野綾インタビュー
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平野綾、玉野和紀
2021年1月5日(火)〜11日(月・祝)に明治座で上演されるのは、新年にふさわしい華やかなミュージカルコンサート『NEW YEAR’S Dream』だ。長年に渡って数々のオリジナルミュージカルやコンサートを生み出し、日本屈指のタップダンサーでもあるエンターテイナー玉野和紀が、本コンサートで構成・脚本・演出・振付・出演する。さらに大野拓朗、新納慎也、吉野圭吾、渡辺大輔、咲妃みゆ、平野綾、北翔海莉(男女別・五十音順)といった、個性豊かな豪華キャストが集い、コンサートを盛り上げる。
銀杏並木が見頃を迎え一段と寒さが厳しくなってきた12月某日、明治座ロビーにて玉野和紀と平野綾の対談インタビューが実現した。二人の出会いから、コンサートならではの魅力、そして本公演への期待をたっぷり語ってもらった。
■「明治座のすごさを舞台に立つことで実感できると思う」(平野)
――まずはお二人の出会いから、平野さんが『NEW YEAR’S Dream』に出演されることになった経緯を教えてください。
玉野:僕は『Gang Showman』(2020年9月〜10月、シアタークリエにて上演)で共演する前から一方的に綾ちゃんのことを知っていたんですが、お会いしたのは2019年の年末、『ロカビリー☆ジャック』の楽屋ですね。それまでにも『モーツァルト!』など他の作品で観てきたけれど、『ロカビリー☆ジャック』で綾ちゃんが登場したときは最初誰なのかわからなかったんですよ! そこで、役が変わるとこんなに変わる人なんだ、素晴らしいなあって。これはもう絶対誘おうと思って、ちょうどコンサートの機会があったので出演していただくことになりました。
玉野和紀
平野:ありがとうございます。私は以前、タップダンスがあるオーディションのために玉野さんのレッスンを受けさせていただいたことがあるんです。なので“玉野先生”という印象がすごくあります。『Gang Showman』でもまさか舞台上で共演できるなんて思っていなくて。玉野さんはお一人で脚本、作詞、演出、振付、出演と全部やられていて、本当にすごいなと思いました。誰よりもエネルギーに溢れていて、誰よりも元気ですもんね。
玉野:そーお!?
平野:うん、一番元気!
玉野:でも大変なんです。ショーだとまだいいけれど、ミュージカルは演出という立ち位置的にちょっと引いて見ないといけないから、稽古中に自分の代役も作らないといけなくて。で、いざあとから自分が出演者として台本を持たずに入るときが一番怖いっていう。
平野:いやいや、すんなり合流されるんですよ。玉野さんは目がいくつあるんだろうって思うほど、すごくいろんな角度から見ていらっしゃるし。
玉野:脚本を書いている頭と、振付、演出、そして出演するのは一個ずつ頭の使うところが全然違うんです。演出したあとに出演側に立ったら、自分で作っていながらやりづらかったりして(笑)。いやでも玉野さんが作ったんですよって(笑)。
平野:ふふふ(笑)。
平野綾
玉野:頭の使うところがその都度変わっていって、一つずつ終わっていくんです。まず脚本が終わって、演出が終わって、振付が終わって、最後に出演。作り手としては初日が楽日みたいなもの。手が離れたらあとはキャストのものなんでね。自分が机上で考えていたものが、キャストを通して現実にいろんな形でできてくるのが楽しいんです。そこが舞台の面白さだなあ。
――平野さんは今回が初の明治座ご出演となるわけですが、どんなお気持ちですか?
平野:以前、玉野さんがみんなに「明治座ってすごいんだよ」というお話をされたことがありました。こうした歌舞伎由来の舞台の構造や音の響きというのは、本当に計算しつくされているんだと。そのときおっしゃっていたことが今回実際に舞台に立つことですごく実感できるだろうし、なかなか立たせていただけない舞台だと思うので、新発見だらけだと思います。新鮮な気持ちでやりたいですね。
――玉野さんはいかがでしょう?
玉野:僕は前回公演の『Summer Night’s Dream』(2019年8月上演)が初の明治座出演で、今回が二度目になります。「明治座でやるなら花道をタップダンスで!」とずっと思っていたので、実際にそれができて貴重な経験になりました。今回はコロナのこともあるので残念ながら花道は使えなそうですが……。空間的にはこれだけのキャパ数なのに舞台から客席がそんなに遠くなくて、すごくやりやすかったですね。歴史ある造りや雰囲気など、他の劇場とは違った魅力があると思います。
玉野和紀
■「いろんな顔が見られるのはコンサートならでは」(玉野)
――これまでにも玉野さんは多くのミュージカル作品やコンサートのプロデュースを手掛けていらっしゃいますが、コンサートの魅力はどんなところにあると思いますか?
玉野:コンサートっていろんなところで上演されていますけど、そこでキャストは役ではなく一人のアーティストとして出演するじゃないですか。そこには楽しさも難しさもあって。僕はどちらかというと、その両方があるといいなと思うんです。せっかくのコンサートなのに、ミュージカルで見せている顔だけだとつまらないじゃないですか。
平野:うんうん。
玉野:『NEW YEAR’S Dream』の香盤表(公演の進行表)ももうできているんだけど、要所要所にキャストのみんなが歌いたい曲が1、2曲入っていると思います。そうした自分が歌いたいものとは別で、役者としての居方が見れるものもあった方が面白い。しかもあえてミュージカルで見れないようなものをいつも入れるんですが、そこが僕の作るショーで好評なんですよ。「あんな○○さん見たことない!」っていう驚きがある。そのこだわりはなくしたくないなと思っています。いろんな顔が見られるのはコンサートやショーならでは。で、意外とそういうときの印象がお客さんに残っちゃうんだよね(笑)。
平野:あ〜〜〜確かに!
玉野:まともにかっこよく歌ったり踊ったりしているのは印象に残らなくて。
平野:うんうん。でも、意外な一面が見れたというお得感がありますよね。
――『NEW YEAR’S Dream』がどんなコンサートになるのか、玉野さんの頭の中に今あるものをお話しできる範囲で教えていただけますか?
玉野:面白いものがありますよ(笑)。今キャストのみんなには香盤表だけ渡してある状態だから、「あれは一体なんなんだろう?」と思っているものがあるかもね(笑)。
平野:そうそう、ちらっと書いてあるものに謎が多いんです(笑)。これはきっと何か面白いことをやるんだろうなっていう(笑)。そういうものが香盤表の時点で見えてきて、すごく楽しみです。ミュージカルと昭和歌謡が一緒になっていたり、芝居要素があったりというコンサートは今までにやったことがないので、本当にワクワクしている状態で止まっています!
玉野:いわゆるスケッチ的なミュージカルまではいかないストーリーものを、昭和歌謡の歌詞をそのまま利用して作れないかなとずっと考えていて。歌詞通りで物語になるというのが、昭和歌謡の素晴らしいところなんですよね。ちゃんと絵が見える。それでいてミュージカルっぽくも作れるなと思って、前回公演の『Summer Night’s Dream』でやってみたんです。その流れを汲んで、今回の『NEW YEAR’S Dream』でも昭和歌謡を使ったストーリーものをやるつもり。1幕はシーンがどんどん変わっていくのですが、2幕はとある日本の昔話をモチーフに展開していきます。ミュージカルのかっこよさと、ちょっと僕のおふざけが入るという感じですね。
平野:「昭和歌謡でミュージカルを作りたい」と、玉野さんは『Gang Showman』のときからおっしゃっていたのを覚えています。まだ私の出演の話も出ていないときですが、ふと「私は昭和歌謡だったら何を歌えるんだろう」と考えていたんです。そうしたら、まさにそのとき思いついた曲を今回のコンサートで歌えることになって! さすが玉野さんはわかってくださっているなあと。歌うのがすごく楽しみです。
平野綾
玉野:綾ちゃんはねえ、今回はあんまり悪ふざけはないかな。
平野:今回は(笑)。私は曲目を見たときに、結構しっとりとした曲を任されているように感じました。あと、「大きく切り替えられるな」と思ったんです。ここは役として歌える、ここは歌手・平野綾として歌える、と。きちんと自分の中で切り替えられそうな構成だったので、お客様にもいろんな面を見ていただけるいいチャンスだなと思いました。そういえば、アイドルっぽい曲もありますよね。
玉野:そうそう。そこは女子三人グループ(咲妃・平野・北翔)で頑張ってもらって。
平野:はーい! 頑張ります!
■全44曲! テンポよく飽きさせないコンサートに
――平野さんにとって、女性キャストの咲妃さんと北翔さんはお二人とも初共演になりますね。
平野:はい。実は私、玉野さんと(吉野)圭吾さん以外みなさん初共演なんです。
玉野:え、本当に!?
平野:咲妃みゆちゃん、大野さん、渡辺さんには会ったことはあるけれど、共演は初めて。北翔さんと新納さんはまだお会いしたことがなくて。意外と初めましての方ばっかりなんです。
玉野:そうだったんだ。僕は共演という意味では、大野拓朗くんと咲妃みゆちゃんは初めてです。
――この個性あふれる豪華キャストたちが、ミュージカルから昭和歌謡まで様々な名曲を歌うコンサートになるんですね。
平野:そうですね。各々の代表曲もちゃんと歌いつつ、「この人でこれ聴いてみたかった!」というものを玉野さんが素晴らしい選曲で入れてくださっているので。
玉野:とにかくいい曲が多いよね。
玉野和紀
平野:うん、いい曲多い! 私は出演する側だけど、普通に聴きたいですもん。
玉野:踊りもありますよ。バックダンサーをつけるのもいいけれど、出演者が常にメインやアンサンブルをやるような作り込む舞台が僕は好きなので。コンサートと言えども、みなさんには役者として頑張ってもらいたいですね。もちろん、なるべくキャストに負担がかからないようにしてはいるのですが、今回は短いものを含めると全部で44曲もあるんです。テンポよく、飽きさせずにいろんなシーンをお見せできるかと。
――最後に2020年を振り返りつつ、新年に上演される『NEW YEAR’S Dream』への意気込みを聞かせてください。
平野:2020年はやりたかったことができなかったり、制約がすごくいっぱいあったり……この有り余った力をどうしたらいいんだろうとモヤモヤして過ごしていた方も多いと思います。それが、2021年の幕開けと共に華々しい演目でスタートを切れるというのは、私はもちろん観てくださるお客様も清々しい気持ちで新年を迎えられるのではないでしょうか。『NEW YEAR’S Dream』を観てさらに元気を出していただけるよう、私たちも頑張っていい作品を作っていくので、ぜひ元気に劇場へいらしてください。
玉野:エンターテインメントの火を消さないという想いと、こうして作品を作れることのありがたさを感じています。本当に感謝の気持ちを込めて一つひとつ作っているんです。ミュージカルは歌中心のものが多く、暗く悲しい作品が多い時期もありましたが、今こそ笑いが必要なときです。明るいミュージカルやショー、人を楽しませる本当の意味でのエンターテインメントを作っていきたいと思っています。劇場へ来ていただいて、キャストたちのかっこいい姿を感嘆して「はあ〜っ」と観て、僕が作るもので「クスッ」と笑ってもらえれば幸いです。
平野綾、玉野和紀
取材・文=松村 蘭(らんねえ) 撮影=鈴木久美子
公演情報
『NEW YEAR'S Dream』
出演(男女別・五十音順):
咲妃みゆ 平野綾 北翔海莉
ダンサー:伊藤典子 輝生かなで 神谷玲花 原広実