スガ シカオが一人でアコギをかき鳴らす特別なショー『Hitori Sugar Tour 2020-セトリ再現ライブ‐』に見た、混乱の2020年から再起の2021年への希望の炎

2020.12.6
レポート
音楽

スガ シカオ 撮影=田中聖太郎・渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

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SUGA SHIKAO Hitori Sugar Tour 2020 –セトリ再現ライブ- Supported by J-WAVE Mercedes-Benz THE EXPERIENCE
2020年12月4日(金)昭和女子大学 人見記念講堂<2部>

スガシカオが観客のいるステージへ還ってきた。『Hitori Sugar Tour 2020-セトリ再現ライブ‐』は、タイトル通り、2月で中断してしまったツアーのセットリストを完全再現した有観客&配信ライブだ。すでにライブを体感した人も、中止で涙を飲んだ人も、ちょっと見てみようかというライトなリスナーも、配信ならば誰でもウェルカム。アコースティックギターだけで新旧の代表曲を歌いまくる、2020年の終わりを飾る特別なショーの開幕だ。

クリスマスツリーを思わせる豆電球を飾ったマイクスタンド、キーボード台、ドリンクとタオルを置く台、ギタースタンド、ステージにはそれだけ。にこやかに手を挙げて登場したスガシカオが、おもむろにギターを抱えてファンキーなカッティングを決める。1曲目は「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」。声が良く出てる。張り切ってる。歌える喜びが、体全体から滲み出してる。

「一人で最後までアコースティックギター1本でやり通しますので、最後までよろしくお願いします」

エフェクターやサンプリングマシーン、足で操るフットパーカッションなど、機材をひととおり紹介したあと、早速ギターのボディを叩く音をサンプリングしてビートを刻む「午後のパレード」へ。ステップを踏みながらステージ前に躍り出たり、わざと歌を止めて観客の反応を煽ったり、伸び伸び歌う姿を見るだけで嬉しくなる。フォーキーなのにグルーヴィーな、「真夜中の虹」を聴きながら自然と体が揺れてくる。

ウクレレに6本の弦を張った「ギタレレ」に持ち替えて歌った「サヨナラホームラン」は、自ら振り返るコロナ禍での生活と奇妙にシンクロする1曲。そこから「黄昏ギター」「Hop Step Dive」と続けた3曲は、ひとりの部屋でうつむいていた男が立ち上がりギターをつかみ、希望の未来へ歩き出すさまを描く、まるで3部作のように響く。アコギ1本だから歌がよく聴こえる、歌詞がよく聴こえる、メッセージが深く伝わる、それが『Hitori Sugar Tour』の醍醐味だ。

ここで、昨年に制作し、通販とライブ会場のみでリリースした作品集『ACOUSTIC SOUL 2』の紹介をしながら、“奥田民生さんのような”と自称する1曲「1+1」を軽くワンコーラス。奥田民生のつもりが全然そうならなかったと笑う、自虐に見せかけた強烈な自己主張がスガシカオらしい。小林武史と共に作った「ぼくの街に遊びに来てよ」も、原曲のピアノアレンジではなく、むき出しのアコギ1本のおかげで“スガシカオ度”がぐっと上がった。さらに「坂の途中」から「Progress」へ、プロフィールを彩る代表曲たちを、マスクをして会場に駆け付けている観客には申し訳ないが、ひとりの部屋のPCの前ならば画面を見ながら一緒に口ずさめるのが嬉しい。

キンモクセイの甘い香りに包まれたラブソング「発芽」は、フットパーカッションを使ってリズミカルに。ストレートに明日への希望を伝える「アストライド」は、打ち込みのリズムを使って躍動感いっぱいに。そして“ヤグルトさん”とは、御年80になるスガシカオの母親の愛称で、「ヤグルトさんの歌」は母への感謝をそのまま歌詞にした、プライベート作品集『ACOUSTIC SOUL 2』の中でもとりわけパーソナルな1曲だ。天真爛漫な母親のエピソードをユーモラスに、しかし思いを込めて歌う言葉に愛がにじむ。スガシカオの純情と優しさの側面をまとめたような、この3曲の並びは意図的だろう。セトリの流れが本当にいい。

いよいよライブは終盤、通常ならば総立ちになるところだが、今日は座ってゆっくりと楽しもう。いつどこでどんなスタイルで聴いても心打たれる名曲「黄金の月」をゆったり歌い上げると、派手なストロボ照明をバックにアグレッシブに盛り上げる「コノユビトマレ」へ。上着を脱ぎすてタンクトップ姿になると、妖しく激しく毒気たっぷりの「19才」では、ディストーションを効かせた強烈なギターソロを決めてみせた。観客は歓声の代わりに、手拍子と手ぶりで熱演に応える。さらにこの日の17曲目「ストーリー」、全編一人でギターを弾いて歌いまくった疲れなど微塵も見せず、「今日のメンバー紹介します! ギター、スガシカオ! ボーカル、スガシカオ!」と叫ぶ声も、パワーが有り余っているように聴こえる。10か月の空白をまったく感じさせない、素晴らしいパフォーマンスだ。

そして、アンコールは2曲。子供の頃の家族との思い出を軸に、人生のせつなさとえぐみをたっぷりと乗せたバラード「深夜、国道沿いにて」は、2019年。躍動するファンク+ポップの理想形ヒットチューン「アシンメトリー」は、2002年。長いキャリアのすべての時期に、聴き直すべき名曲がある。スガシカオの豊かなプロフィールを一望できる、まさにプレミアムとしか言いようのない2時間だった。

「みんなのパワーでグルーヴしていく。これだよこれ、これがライブだよ!と思いました。早くみんなで一緒に楽しむ日が来ることを願って、また遊びに来てください」

混乱の2020年を超えて、再起の2021年へ。たった一人でアコギをかき鳴らし、希望の炎をぶち上げた『Hitori Sugar Tour 2020-セトリ再現ライブ‐』。見逃し配信は12月7日(月)11:59までだ。忘れずにチェックしてほしい。

また、12月10日からは、この公演のライブダイジェストやドキュメンタリーやインタビューなどがセットになったプレミアムアーカイブ配信が行われる。は12月31日21:00まで販売中。

取材・文=宮本英夫
撮影=田中聖太郎・渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

配信情報

『SUGA SHIKAO Hitori Sugar Tour 2020 –セトリ再現ライブ- Supported by J-WAVE Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』
 
<プレミアムアーカイブ視聴
12月4日(金)の生配信ライブ視聴、そして見逃し配信に加え、プレミアムアーカイブコンテンツとして、歴史あるHitori Sugar Tourの過去秘蔵ライブ映像やスガ シカオの撮り下ろしインタビュー、今回の人見記念講堂でのライブダイジェストや当日のドキュメンタリーなどがセットになった映像を期間限定でご覧いただけます。
 
料金(すべて税込)】
¥4,000 / プレミアムアーカイブ視聴+Tシャツ ¥6,500 / プレミアムアーカイブ視聴+Tシャツ+オリジナルマスク ¥7,500
 
【プレミアムアーカイブ視聴期間】
2020年12月10日(木)12:00〜12月31日(木)23:59まで
 
販売期間】
2020年10月19日(月)21:00〜12月31日(木)21:00
※11月16日(月)23:59までに各種グッズ付きONLINE視聴をご購入されたお客さまへは、12月4日(金)までにグッズをお届け予定
 
【お問合わせ先】
■公演について
ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999(平日12:00〜15:00)
http://www.red-hot.ne.jp/
■ライブ配信について
ローチケ LIVE STREAMING:https://zaiko.io/contactus?cid=22&type=customer
PIA LIVE STREAM:電話:017-718-3572 / メール: event@linkst.jp /平日10:00-18:00
※公演日当日の問合せ対応は該当公演(土日祝含む)の終演後1時間程度で終了とさせていただきます。
イープラス Streaming+:https://eplus.jp/streamingplus-userguide/
 
■Hitori Sugar Tour 2020 –セトリ再現ライブ- Supported by J-WAVE Mercedes-Benz THE EXPERIENCE サイトhttp://www.sugashikao.jp/hitorisugar_2020sl/
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