劇団4ドル50セント&演劇ユニットろりえのコラボ公演『劇団4ドル50セントとろりえの年末』が開幕
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『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
秋元康プロデュースによる「劇団4ドル50セント」と、「おんなのこにやさしい」をキャッチフレーズに活動する演劇ユニット「ろりえ」のコラボ公演、『劇団4ドル50セントとろりえの年末』が開幕した。
公演は2バージョンあり、仲美海、梅舟惟永、岡田帆乃佳、荒井レイラからなる「こたつチーム」が2020年12月23日(水)、前田悠雅、岩井七世、安倍乙、立野沙紀からなる「みかんチーム」が12月24日(木)、それぞれ中目黒キンケロ・シアターにて初日を迎えている。今回「ろりえ」側からの参加となるのは、劇団員の梅舟惟永と、過去2回のろりえ作品『ミセスダイヤモンド』『いけない先生』でヒロインを務めた岩井七世だ。
本作は、2012年にろりえが上演した作品『年末』を劇団4ドル50セントバージョンにリブートしたもの。クリスマスから大晦日にかけての数日間の「4人の女性たちの恋模様」が、穏やかに描かれる会話劇。
『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
23日昼には「こたつチーム」の公開稽古が行われた。
まるで毛糸のような額縁状の舞台セットが「年末」の世界観を彩り、舞台上には星空が輝いている。とある冬の日、いのり(仲美海)と七子さん(梅舟惟永)は、共通の友人でありロックバンドのボーカリストREICO(岡田帆乃佳)のライブにやってきた。ライブ後には、いのりと七子さんが暮らす家で飲み直すことが恒例になっている。REICOの話題は大抵、彼氏でありバンドのリーダー「男爵」の愚痴で......。
『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
ときにクスクスと笑えてしまう軽妙な3人のガールズトークに花が咲き、いのり、七子さん、REICOの関係性とキャラクターが浮き彫りになっていく。いのりと七子さんはどうやらルームメイトではなく、恋人同士であるようだ。
また別のある日。いのりは、実家の両親が定年を機に引越しをするというので、荷物の整理を手伝うことに。道すがら、高校時代の友人みほ(荒井レイラ)に偶然再会する。再会を喜び、短くも親密な会話を交わした別れ際。「携帯変わっちゃったから、実家に電話して!」と叫ぶいのり。その後実家で片付けを手伝っていると、一本の電話が鳴って......。
『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
弱冠19歳の仲美海が物語上の主軸となる「いのり」をみずみずしく演じ、梅舟惟永はそんな仲を優しく受け止める、安定した演技。劇団4ドル50セントのリーダーでもある岡田帆乃佳は、情緒が乱高下しながらもチャーミングなREICOを爆発力を持って演じ、場内の笑いを誘った。客演である元SUPER☆GiRLS の荒井レイラはミステリアスさと、同居する少女性が観客を魅了した。
『劇団4ドル50セントとろりえの年末』より
「こたつチーム」公開稽古後に行われた合同取材では、両チームのキャスト8名が勢ぞろいした。岩井七世が「(感染対策のため)お互いのチームの稽古を見ることがなく、今日『はじめまして』です。やっと会えて嬉しい」と笑顔をのぞかせた。こたつとみかんの違いは?と記者に問われ、出演者がそれぞれ意見を出した結果「こたつは元気いっぱいでパワフル、みかんは大人でしっとりした感じかも。」とのこと。大人な「みかんチーム」の「年末」にも期待したい。
公演は12月29日(火)まで。25日以降は連日昼夜公演となるが、「こたつチーム」「みかんチーム」の出演者の違いに注意しよう。
【脚本・演出:奥山雄太 コメント】
2チーム共に初日の幕が上がりました。
キャストの皆さん、スタッフの皆さんのおかげで、お客様をお迎えする準備がなんとか整いました。
不安の中で私たちの公演を選んでいただき、ご観劇いただいた皆様のお姿に、カーテンコールでの拍手に、本当に力をいただきました。ありがとうございます。
稽古はキャストと最小限のスタッフだけで行ってきたので、劇場で全員で共有する時間に、演劇の豊かさを強く強く感じました。
劇団4ドル50セントの皆さんとは密かにずっとご一緒したいと思っていて、今回、ろりえの梅舟惟永と、もはや僕の作品に欠かせない存在の岩井七世さんという心強い俳優とともに共演できて感無量です。
「年末」は4人の女性の恋心を描いた作品です。
どの瞬間、どの登場人物に注目するのか、ご観劇いただいた方それぞれに選んでいただき、あなただけの余韻を受け取ってほしいです。
どうかご無理はせず、でももしも劇場に来ていただけたとしたら、これ以上嬉しいことはありません。