ソウルフルからピースフルへ！ゆるキャン△と共に成長した3年間を語る 亜咲花が「Seize the day」に込めた想いとは

2021年1月から放送開始されたTVアニメ『ゆるキャン△ SEASON２』のオープニングテーマを担当する亜咲花が、新曲「Seize the day」に込めた胸の内を語ってくれた。”ピースフル”を合言葉にゆるキャン△の世界観を表現しつつも亜咲花自身の新たな表現にも挑戦、まさにアニメのキャラクターと共に成長してきたこの3年間の集大成ともいえる意欲作だ。

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「ソウルフルからピースフルへ」

――新曲「Seize the day」は日本語に訳すと「今を楽しむ」のような意味の言葉だと思います。改めて、このタイトルにはどのような思いが込められているのでしょうか？

まず、『ゆるキャン△ SEASON２』のOPテーマをまた担当させて頂けることになって、前回の「SHINY DAYS」から3年の月日が経っているんですよね。アニメも『SEASON２』になって、１作目の頃よりも成長したキャラクター達が活躍する中で、私自身も一歩前進しなくちゃ！って思ったんです。

――なるほど。

前回に引き続きOPテーマを担当させて頂く嬉しさもありますけど、プレッシャーみたいなものもあって、ただそういった期待や不安も含めて「今を楽しむ」という私自身の意気込みもありました。こんな時代だからこそ「今を楽しもうよ！」というメッセージを込めたつもりです。それに、ありのままの大自然を楽しむキャンプも「今を楽しむ」行為……と言えるのではないでしょうか？（笑）

――今回、作詞作曲が永塚健登さん、編曲を立山秋航さんが担当されていますよね？

そうなんです！「SHINY DAYS」の作詞を担当されていた永塚さんと、ゆるキャン△シリーズの劇伴を担当されている立山さんがアレンジをしてくださっていて、ゆるキャン△の事をよく理解しているお2人が今回の楽曲を制作してくれたので、非常に心強かったですし、私も交えた3人のそれぞれのカラーがぶつかる事なく本当に上手く調和していて、とても歌いやすかったです。

――亜咲花さんご自身の、曲を頂いた時の第一印象を教えていただけますか？

これまで「SHINY DAYS」以外にもショートアニメ『へやキャン△』主題歌「The Sunshower」であったりと、ゆるキャン△関連でいくつか曲を歌わせて頂いているのですが、その中でも1番ポップで弾むような曲だなと感じました。「SHINY DAYS」の時は”ソウルフル”というテーマがあったのですが、新曲では”ピースフル”という表現がまさにピッタリで、聞いた誰もが歌って踊り出したくなるような曲に仕上がっているんじゃないかなと思っています！

「今の自分はこうやって歌いたくて、こういう気持ちで歌いたい！」

――レコーディングの際の裏話などがあればお聞かせください！

レコーディングは2020年の夏頃行ったのですが、私自身その少し前の4月に声帯ポリープの摘出手術を受けまして、術後のレコーディングということもあって今まで出しづらかった高音の部分をどれだけ綺麗に届けられるか？みたいな部分は少し意識したかもしれません。あとはやっぱり曲の第一印象にもあった”弾むように”という部分でスタッカートを効かせた歌い方も、これまであまりやってきてはこなかった部分なので「おっ亜咲花、今までと違う歌い方してきたな」と思ってもらえたら嬉しいです（笑）。でも本当にレコーディングでも背伸びしたり気負う事なく、「今の自分はこうやって歌いたくて、こういう気持ちで歌いたい！」というありのままの想いをそのまま反映することが出来たかなと思います。

――まさに”今を楽しんだ”わけですね！

言われてみたら確かに！そうですね（笑）。

――ここまでお話を伺って、「SHINY DAYS」ではお話通りソウルフルな印象がありましたけど、新曲では、サビの要所でフッと抜ける裏声が使われてたりしていてよりポップだなと改めて思いました。

そうなんです！あそこの裏声が良いアクセントになっているんですよね！これまで『ゆるキャン△』の曲では、なるべく地声を活かした曲を歌ってきたのですが、まさに少し肩の力を”ゆるっと”緩めると言いますか、よりメリハリを効かせてくれてて私もお気に入りポイントなんです。そういった新たな表現が散りばめられているので、私も一歩成長……出来ましたかね！？（笑）

「キャラクターと一緒に成長していく感覚ってこういうことなんだな…。」

――”アニソンシンガー”という肩書きにこだわる亜咲花さんだからこその質問なのですけれども、ひとつのアニメ作品と長く付き合っていく経験って今後も必要になっていくポイントだと思うのですが、いかがでしょうか？

今おっしゃって頂いたように、TVアニメ『ゆるキャン△』シリーズの『ゆるキャン△』『へやキャン△』『ゆるキャン△ SEASON２』の主題歌を担当させて頂いて、3年間ひとつの作品とお付き合いさせて頂く経験っていうのは初めてですので、やっぱり作品に対しての愛はどんどん深まっていきますよね。それに自分自身の話になってしまいますけど、成長もすごい感じるんです。3年前の自分じゃ出来なかったけど、こういうことが出来るようになったな、とか。昔はどうしても自分のことで精一杯で、目の前のレコーディングを全力でこなすことで頭がいっぱいでしたが、今では自分自身を表現しつつ、どうやって作品の世界観も表現するか？みたいな部分まで考えて歌えるようになったのは、やっぱり『ゆるキャン△』との出会いのおかげだと思っています。

――たしかにそれはあると思います。

それに成長しているのは自分だけじゃなくて、アニメに登場するキャラクターたちも同様なんです。アニメのキャラと一緒に歩んでいく感覚って「あ、こういうことなんだな……」と実感すると同時に、やっぱり嬉しい気持ちになりますよね（笑）。

――改めてこの3年間という月日を振り返ると短いようで色々ありましたね。

そうですね。3年前ってまだ私、高校生だったので、宿題とか課題をやりつつレコーディングがあって……みたいな生活から、上京して一人暮らしも始めて、いい意味で音楽にだけ集中できる環境になりました。当時に比べたら少しは大人になれたかな……と思いつつ、未だに母親には甘えっぱなしなんですけど（笑）。でも周りに支えられて生きてるなって思うので、本当に感謝です。

――特に昨年はコロナの影響もあり、声帯の手術も経験されて、より自分自身と向き合う時間が増えたんじゃないでしょうか？

私って自分で言うのもなんですけどすごく好奇心旺盛で（笑）。昔から色んなことに興味はもってたんですけど、時間に余裕がなくて。ただ学校を卒業して、更に去年はステイホームの期間もありましたから、それこそ趣味レベルのモノから色々と手を出し始めましたね（笑）。音楽の話で言うと、特にアニソン以外の音楽を今まで以上によく聞くようになりました。ヤバイTシャツ屋さんとか、クリープハイプさんやCreapy Nutsさんとか……。特にヤバTさんは「こんなに音楽を面白く届けられる人たちがいるのか」と衝撃を受けたんですよ。

――亜咲花さんは”カッコよさ”と同時に”面白さ”にもこだわりがありますよね？

はい（笑）。ライブのMCとかもテンポよく笑いを挟みたくなっちゃうんですけど、特に今回のシングルでいくと3曲目に収録している「Party Fever Night!!」は、まさにそんな感じで、私っておフザケが凄く好きな性格なのに、なんでこれまで音楽でそれを表現してこなかったんだろう、というのが詰まった1曲になっています（笑）。

「ステージに立っている時、すごく幸せな気持ちになれるんです」

――では、そんな流れでカップリング曲についても伺いたいと思います。

今回のカップリング曲ですが、こんなご時世ということもあって、とにかく私自身が早くライブをやりたい！という想いを募らせておりまして、ライブで盛り上がれるような2曲にしよう！というのが念頭にあります。カップリングに関しては2曲とも私が作詞を担当させて頂いたのですが、まず話題に出ました「Party Fever Night!!」の方からいくと、週末の”推しごと”がテーマになっています（笑）。

――”推しごと”ですか！？

社会人の方は、毎日朝早くから満員電車に揺られたり渋滞に巻き込まれたりしながら会社に出社して、仕事が終わるころには「疲れたな～」って思ってる方も多そうだなっていう印象があって。そうやって頑張ってるんだから、もう少し息抜きしてもいいんじゃない？という私からのメッセージがユーモラスに込められた曲になっているので、ぜひサビで暴れまくって頂ければなと（笑）。”Fever Night”というのも実は比喩表現になっていて、やっぱり週末にお楽しみが待っているからこそ、平日に頑張れる部分もあると思うんですよ。なので皆さんそれぞれの”推し活”と言いますか、趣味の時間がテーマになっていて、それが亜咲花のライブだといいな……という想いも込めてます（笑）。

――なるほど。途中のコール&レスポンスなんか絶対楽しそうですよね（笑）。続いてもう1曲の『NO MORE PEAKY MODE』ですが。

これはメロディも歌詞も、強い曲ですね。なるべくネガティブなことは言わず、本当にただひたすら前を向こう！という応援ソングになっています。私って結構、移動中とかに自分の曲を聞くんですけど、普段からライブをしている自分をイメトレしながら聞くことが多いんですね。そうやってステージで歌っている自分もそうですけど、カラオケとかで私の曲を歌ってくれる人にもエールを届ける歌を作りたくて、歌詞の節々に”ボク”といった一人称をよく使っています。私自身、ステージに立っている時って凄く幸せな気持ちになるんですけど、その気持ちがちゃんと皆に届いてるのかな？そういえば音楽にして届けたことがないかも、と思って、普段ライブで皆さんから頂いている気持ちをそのままストレートに書き上げました。

――「今感じてるこの幸せが届くかな キミにも」や「ボクだけが見える世界がある キミにも見えてるかな？」なんて本当に直球ド真ん中な歌詞ですね（笑）。

普段ステージで歌う時って、当然歌詞が決まっている曲を歌うので、その時感じた素直な気持ちっていうのはMCパートでしか話せないんですけど、だったら私が歌詞にしちゃえば届けられるよね！っていうことでサビの最後にもってきちゃいました（笑）。皆さんへの恩返しという意味でも、早くライブで歌いたい曲ですね。

「皆で一緒に、アニソンになる瞬間を見届けたい！」

――個人的には今回のシングルは3曲とも”応援歌”じゃないんですけど、すごく前向きな気持ちになれる1枚だなと思っていて、『ゆるキャン△ SEASON２』の主題歌が収録されたシングルとしてピッタリなラインナップだなと感じました。

ありがとうございます（笑）。あとは早くアニメーションが付いた状態での「Seize the day」を聞いてみたいですね、実はこのインタビューを受けている今はまだOP映像を見れていなくて……。私は映像が付いて初めて”アニソン”になると思っていて、だから現段階ではまだ亜咲花の曲でしかないって事なんですよね！なので私も1ファンとして皆さんと一緒に、アニメの放送当日はテレビの前にかじりついて、この曲がアニソンになってくれる瞬間を見届けたいと思います（笑）。

――最後に、亜咲花さんにとって2021年はどんな年にしたいですか？

2020年は私自身、声帯の手術があって2~3ヶ月ほど自宅で過ごす期間もあったのですが、私はポジティブに去年は身体のことを労ってあげる1年だったと思うようにしています。それまで仕事一直線な部分もあったので、自分自身と向き合ういい機会になりましたし、こういう時間も大切なんだなって気付かされました。2021年は、去年出来なかったことを今年取り返すぞ！くらいの強い気持ちで頑張っていきたいと思っています！

インタビュー・文：前田勇介　撮影：加藤成美