格闘技ブーム復活の兆し!熱狂「RIZIN」徹底解剖

2015.12.12
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90年代後半~2000年代前半にかけて隆盛を極めた総合格闘技。規格外な選手たちによる激しい闘いに日本中が熱狂した。ここ数年はその盛り上がりも下火となり、大晦日特番の座もバラエティー番組に牛耳られていたが、今年は12月29日(火)、31日(木)の2日に渡って新格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015」(以下RIZIN)が開催され、地上波での放送も決定。かつてのスーパースターの復活や、世界のトップ選手による対戦カードも発表され、すでに待ちきれないといった声も多い。そこで今回はこの見逃せない「RIZIN」を徹底解説する!

「RIZIN」がここまで注目を浴びるのは、かつて総合格闘技を人気スポーツに押し上げた「PRIDE」の後継といえる大会だからだ。実行委員長は、「PRIDE」の生みの親・榊原信行氏、また統括本部長には高田延彦氏(※高=正しくははしごだか)が就任している。一部を除く試合には、踏みつけ、4点ポジションでの膝蹴りあり、試合時間は1R10分、2R5分、3R5分と「PRIDE」ルールを採用。これまでにも様々な格闘技の大会が発足してきたが、ここまで「PRIDE」の体系を引き継いだ大会はなかった。

本をただせば、日本での格闘技人気が高まったのは、1993年、立ち技最強を決める大会として「K-1」が誕生したことが起因となっている。やがて2000年代に入ると、絞め技や関節技など、より高度な闘いが求められる総合格闘技ルールを採用した「PRIDE」がさらなる盛り上がりをみせ、高田延彦vsヒクソン・グレイシー、桜庭和志vsヴァンダレイ・シウバといった数々の名勝負が繰り広げられた。また、人類最強の男、エメリヤーエンコ・ヒョードルをはじめ、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラやミルコ・クロコップといった人気ファイターも誕生し、日本の格闘技の歴史を築いた。いわばその根幹を成していた「PRIDE」の生まれ変わりである「RIZIN」に、格闘技人気再燃の期待が寄せられているのは当然のことなのだ。

「RIZIN」は、世界各国の総合格闘技団体から代表選手が集い、トーナメントを開催して“世界最強”を決める大会だ。Bellator(ベラトール、アメリカ)、BAMMA(イギリス)、BUSHIDO(ブシドー、リトアニア)、JUNGLE FIGHT(ジャングルファイト、ブラジル)、KSW(ポーランド)などの団体が参戦し、出場する選手は、各団体のヘビー級、ライトヘビー級の王者たち。総合格闘技ルールの団体(興行)は、日本だけでもPRIDEをはじめ「Dynamite!」「DREAM」「戦極」など数多く存在するが、世界中から複数の団体が参加し、トーナメントを開催するのは稀有と言える。つまり「RIZIN」は、総合格闘技界のワールドカップのような位置づけになるだろう。

その中で期待されるのが、北京オリンピックの柔道で金メダルを獲得し、2009年大晦日に吉田秀彦戦で華々しくプロデビューを飾った日本人ファイター石井慧選手だ。海外でトレーニングを積み、IGFや各種大会で勝利を重ねてきており、技術を格段に上げた彼の闘いが見られるに違いない。そしてもう一人、トーナメントのリザーブマッチでの出場ではあるが、空手界のサラブレッド、内田雄大選手も要チェックだ。高校時代は国体準優勝、大学時代は全日本大学団体優勝と個人優勝、そしてことしの8月に和道会ワールドカップ84キロ級で優勝し、今大会へ大抜擢された。

トーナメント以外のスペシャルワンマッチ出場選手にも注目が集まっている。「PRIDE」人気を支えた桜庭和志選手や、日本最高の寝技師と呼ばれる青木真也選手、またK-1 WORLD MAXで大活躍したアンディ・サワー選手も参戦。当時の格闘技ファンにはたまらないラインアップだろう。さらに2003年の大晦日、日本格闘技史上最高視聴率を記録した伝説の対戦「曙vsボブ・サップ」のリマッチや、レスリング界にその名を刻む山本一族の新鋭・アーセン山本と400戦無敗の男ヒクソン・グレイシーの息子、クロン・グレイシーの対戦カードなどドラマを感じる組み合わせに、格闘技ファンならずとも手に汗握る日になるはずだ。

また絶対に見逃せない2人が舞台に立つことを忘れてはならない。1人は、初代リングスヘビー級王者、第2代PRIDEヘビー級王者になるなど圧倒的な強さで、「60億分の1の男」と呼ばれたエメリヤーエンコ・ヒョードル選手。もう1人は、リングス時代にそのヒョードルにTKO勝ちを収めるなど「世界のTK」として活躍した高阪剛選手(※高=正しくははしごだか)だ。すでに引退しているこの2人だが、「RIZIN」開催と時期を同じくして電撃復帰。総合格闘技界を牽引してきたスター選手の集大成となる舞台を見逃すわけにはいかない。一方で、「元谷友貴vsチョ・ナムジン」や「DJ.taiki vs高谷裕之(※高=正しくははしごだか)」といった、総合格闘技が不遇の時代に頭角を現し、現在第一線で活躍する選手たちや、元力士の把瑠都(ホーヴェルソン・カイド)選手といった新勢力による対戦カードも一見の価値ありだ。

さらに、女性選手による対戦が組まれていることも魅力。総合格闘技の新時代を迎える試みとして、精鋭4人が出場する。それぞれの対戦は「最強美女対決」と「超重量級対決」と言えるだろう。可憐なルックスとシュートボクシングの世界トーナメントで4度女王に輝いた実力を兼ね備えたRENA選手と闘うのは、欧州女子キック界の新星、イリアーナ・ヴァレンティーノ選手。どちらも総合格闘技は初挑戦で、寝技、絞め技を絡めた闘いを披露する。もう一戦は、体格もさることながら、パワーや技術も男性顔負けの対戦が実現した。「世界最強の女柔術家」と呼ばれ、数々のブラジリアン柔術の大会で女王に君臨するギャビ・ガルシア選手。対するは、新日本プロレスのリングで暴れ回ったコンガ・ザ・バーバリアンを叔父に持ち、その怪力とタフな体格を生かしてアメリカプロレス界で活躍するレイディー・タパ選手だ。男子ファイターを凌ぐ、ハードな格闘が期待できそうだ。

これだけ注目カードが揃う大会がかつてあっただろうか。全ての対戦がメインファイトのようだ。しかも、まだヒョードル選手とホーヴェルソン・カイド選手の対戦相手の発表も控えており、さらに私たちを驚かせてくれることだろう。開催まであとわずか。格闘技人気再燃はすでに始まっているのかもしれない。【東京ウォーカー/記事提供=週刊ジョージア】

※記事の内容は、無料スマホマガジン「週刊ジョージア」から一部抜粋、再構成したものです