刀剣男士は今、ここに居る……! ミュージカル『刀剣乱舞』 ―東京心覚― 観劇レポート
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ミュージカル『刀剣乱舞』 ―東京心覚― 舞台写真 (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
2021年3月7日(日)TOKYO DOME CITY HALLにて開幕した、ミュージカル『刀剣乱舞』 ―東京心覚―。大典太光世、ソハヤノツルキ、豊前江、桑名江、水心子正秀、源清麿、五月雨江、村雲江の8振りで挑んだ最新作は、刀ミュの可能性をさらに広げるプログレッシブな1作となった。
令和の東京に佇む水心子正秀──オープニングから今の私たちに一番近い場所に刀剣男士がいるという“事実”を目撃させつつ、水心子正秀の脳内イメージが別時代へと交錯していく。そこから始まる8振り揃ってのM1『刀剣乱舞』―東京心覚―バージョン! 金属を打つような反復音が印象的な骨太アレンジ、高まり続けていくこちらの鼓動に共鳴する力強い歌声。さらに、虚飾を排した錆びた風合いのセット、「東京」というキーワード、居並ぶ洋装の刀剣男士たち……と、これまで観てきた“歴史モノ”の手触りとは少し異なった匂いがステージ上にじわじわと広がっていくにつれ、新たな感覚に包まれていく、スリリングな幕開けだ。
今回の出陣で刀剣男士が出会う歴史上の人物は、平将門(川隅美慎)、天海(三上市朗)、太田道灌(有馬自由)、勝海舟(三上市朗/二役)。猛々しいオーラで時間遡行軍すら跳ね飛ばす強さの平将門が登場時のインパクトから絶やすことなく放つ不穏な空気は、いわばこの物語の大きな下敷き。そこから江戸の町に一つひとつ結界を施していく天海を“護衛”することになる霊力の強い大典太光世(雷太)とソハヤノツルキ(中尾暢樹)、生き生きと江戸城築城を進める太田道灌と接触する豊前江(立花裕大)と五月雨江(山﨑晶吾)、荒涼とした大地にツルハシを入れ、雨と土とが世界を再生させる時の流れに思いを馳せる桑名江(福井巴也)と村雲江(永田聖一朗)……と、複数の出来事が次々に描写されていく。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ―東京心覚― 舞台写真 (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
一方、巡る時代の狭間で思考が混乱、自身のアイデンティティーを取り戻すべく奔走する水心子正秀(小西成弥)と、傍らで親友の心身を支える源清麿(佐藤信長)は、仲間が出会った歴史人の生き様を間近に追いながら、その存在が江戸の歴史と町造りにどう関わっていったのかを検証。先の時代へ続く“希望”と“答”を問い続ける。
豊前江、桑名江以外の6振りは刀ミュ初登場のキャラクター。刀剣男士たちは「今いる戦力じゃ太刀打ち出来ないから新たな戦力が投入される」と、仲間が増えることに喜びだけでないピリッとした思いも抱いているようだが、新刀剣男士との出会いにワクワクを募らせる客席は、会話のテンポ、口癖、殺陣筋の違いなどそれぞれのキャラクターに備わった個性と能力が自然にクッキリと伝わるエンターテインメントな演出、シリーズを重ねているからこその豊かなアイデアをじっくりと堪能。フレッシュな出会いと、ほとばしる思いを全身から放出する彼らのパワフルな“乱舞”に思い切り心を躍らせてもらった。
緻密に計算された階段状の足場の開閉と盆の回転に、パネルなど限られたアイテムや映像を効果的に配し、物語を途切れさせることなく自在に視覚に変化をつけていく変幻自在のセットや、より目の前の出来事に没入させてくれる暗めの照明効果も秀逸。時間軸や場面の鮮やかな切り替わりで観客の思考を刺激するストーリー運びには、観客自身が感じることでより多くを発見できる、ある種の歴史ミステリーとしての面白さも大いに楽しむことができた。また、「○○の変」など大きな事柄を歴史改ざんから守る統一ミッションの遂行ではなく、もっと大きな歴史の流れ自体にフォーカス。2021年の今観劇するのにふさわしい肌感で、主命の中、刀剣男士が担い背負うモノの複雑さを優しくもクールな視線で丁寧に読み解こうとする作品自体のカラーに、クリエイター陣の革新的チャレンジ精神と思いの深さを実感。シリーズとしての多方向からのさらなる深化を見た。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ―東京心覚― 舞台写真 (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
名だたる歴史人だけではなく、その時代時代を生きた人間一人ひとりが語るべき歴史を持っている──数えきれない血と汗と涙と魂が大地に染み込み、数えきれない四季折々の移ろいを経て、今の自分の足もとへと確実に繋がっているのが「歴史」。令和の東京を見つめる水心子正秀の瞳に映るものは観客自身の瞳に映るものであり、エンターテインメントとして日常的に楽しんでいる「歴史」は実際、自分ごとでもあるのだ。東京を……今の日本を生きる私たちも歴史を作り守り未来に歩んでいるのだなぁと、自覚めいた気分も想起させてくれる「東京心覚」。刀ミュの世界をより身近に感じ、ここで目撃したあれこれを心に書き留めていくほどに、この先も続くであろう壮大な物語への興味は尽きない。
公演情報
【熊本】 2021年4月2日(金)~4月7日(水) 熊本城ホール
【愛知】 2021年4月14日(水)~4月24日(土) アイプラザ豊橋
【大阪】2021年5月1日(土)~5月8日(土) メルパルクホール大阪
【東京凱旋】2021年5月14日(金)~5月23日(日) 日本青年館ホール
原案 「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
演出 茅野イサム
脚本 伊藤栄之進
振付・ステージング <1部ミュージカル>當間里美 桜木涼介 <2部ライブ>當間里美
出演
ソハヤノツルキ役:中尾暢樹
豊前江役:立花裕大
桑名江役:福井巴也
水心子正秀役:小西成弥
源清麿役:佐藤信長
五月雨江役:山﨑晶吾
村雲江役:永田聖一朗
天海・勝海舟役:三上市朗
平将門役:川隅美慎
太田道灌役:有馬自由
松島朱里 及川結依
村中一輝 髙橋祥太 大野涼太 鴻巣正季 今井 稜市川裕介 伊達康浩 塚田知紀 千葉恵佑 白金翔太 稲野純也 兵藤結也
主催 ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
(ネルケプランニング ニトロプラス DMM GAMES ユークリッド・エージェンシー)
サイドシート:10,500円(前売 ・当日共/全席指定/税込)
※東京凱旋公演のみ 全席指定:10,500円/サイドシート:10,500円/全席指定2階:10,500円
【ミュージカル『刀剣乱舞』 公式ホームページ】 https://musical-toukenranbu.jp/
配信情報
2021年5月14日(金)東京凱旋公演初日
2021年5月23日(日)大千秋楽公演
【予約販売期間】販売中~各ライブ配信終了まで
2021年5月14日(金)東京凱旋公演初日:ライブ配信のみ:2,200円(税込)
2021年5月23日(日)大千秋楽公演:
ライブ配信+見逃しパック(再ライブ配信+ディレイ配信):3,800円(税込)
パソコン・スマートフォン(iOS/Android 対応)・Chromecast ・ Apple TV・Android TV ・Amazon Fire TV 端末
※ディレイ配信とは、大千秋楽公演の映像を後日期間限定で視聴出来るサービスです。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
上映情報
※開場時間は映画館によって異なります。
【上映館】全国各地の映画館
※大阪府では条例により16歳未満の方で保護者同伴でない場合、終映が19:00を過ぎる上映回にはご入場いただけません。予めご了承ください。
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