世界中が熱狂するタイエンタメの世界をお届けする連載企画『レオレオ、タイタメ』がスタートーー『2gether』から広がった日本でのタイドラマブーム

今、タイドラマが世界を沸かせていることを知っているだろうか。日本も例に漏れず熱を帯び、今年に入ってからは、地上波で放送されるまでとなっている。
筆者自身、昨年3月までは関心が向くことさえなかった。しかし、ドラマを勧めるTweetを見かけ、何気なくYouTubeでドラマ『2gether』を再生したのが最後、まんまとハマってしまった。この面白さを広めたいと、居てもたってもいられずエンタメ業界に転職し、タイ語教室に通うなど、行動をガラリと変えられ自分でも驚いている。
そして本日、魅力がたっぷり詰まったタイのエンタメ＝タイタメを紹介する『レオレオ、タイタメ』略して『レオタイ』の連載がスタート。日本とタイをまだ行き来できない今だからこそ、素人ながらに筆者自身が学んだタイタメ情報や、日本でタイの魅力を体感できるお店やイベントなどを、SPICEから発信しお届けしたい。

●合計再生回数8億回！　世界にタイドラマを広めた『2gether』●

今やこのドラマなしにタイドラマを語れないほど、人気を博している『2gether』シリーズ。2020年2月の放送開始から世界中に注目され、第5話の公開後にはツイッター世界トレンド1位を記録、シリーズ合計再生回数が8億回を突破するなど話題沸騰のラブコメディ作品だ。日本では楽天TVやテラサなど各種配信サービスや、地上波放送にて視聴できる。

タイBLドラマ「2gether」予告編（日本語字幕）

あらすじとしては、大学一年生のタイン（演：ウィン・下写真右）は、同級生グリーン（演：ガン・下写真左）に一目惚れされ付きまとわれてしまう。困ったタインは友人から提案され、初対面ながら学校一のイケメンのサラワット（演：ブライト・2つ下写真左）に頼み、偽の彼氏になってもらうこととなった。冷たくぶっきらぼうなサラワットは、不器用ながら「恋人を気に掛けるフリ」、「愛の言葉をささやくフリ」をして、タインに頼まれた通り自分の存在を仄めかしていく。その最中、タインが同級生のペア（演：ラブ）に一目惚れしたり、タインに一目惚れするミル（演：ドレイク）が現れたりといった修羅場を迎えるいう、王道ラブコメ感満載のものだ。

同作の最大の魅力は、あらゆるシーンに伏線が散りばめられていることだ。全て見終わった後にもう一度最初から見返すと、感情移入する相手や視聴者の視点が自然と変わり、新たな発見が生まれてくる。全く同じ内容にも関わらず二度も三度も楽しめるので、一巡目は何も考えずに、二巡目からは俳優の表情や仕草、BGMに注目して観てもらいたい。

●動画配信戦略がブームの決め手●

なんとこの面白いドラマは、昨年6月まではYouTubeで全話見ることができた。これがタイ独自の有料配信サービスや、無料でも期限付きのもので配信されていれば、異国に住む私たちは触れてみようとも思わないだろう。そして今でも、日本以外の殆どの国では無料で見られるため、クチコミが全世界で広がり続けている。

また自身のチャンネルをYouTubeで持っている俳優もおり、練習風景や舞台裏、プライベートについて発信してくれる。例えばペア役のラブは、2020年10月に開催された『2gether』シリーズのファンミーティング『Kun-gu 2gether Live on Stage』の様子を、実況動画として自身のチャンネルで公開している。ステージ上では見られない俳優陣の姿に、多くのファンは心を揺さぶられてしまった。

そのほか『2gether』ストーリーの題材となっているタイのバンド・スクラブも、同作品用に編集したプレイリスト動画を公開。キャラクターの心境とスクラブの曲がリンクする構成のため、視聴者は作中の場面を思い浮かべながら楽しむことができる。なお、劇中で使用されたスクラブの曲を集めた、日本独自のアルバム『Songs In 2gether』が7月14日（水）にリリースされる。日本で2000年代に活躍していたバンド達を感じさせる曲調のため、邦楽ロック好きにもおすすめしたい。

●サラワット気分を味わえるカフェが京都に●

内向的なサラワットはSNSに一切登録しておらず、唯一持っているアカウントはEメールのみ。そんなサラワットが突如Instagramを始め、最初に投稿したのは何か意味を含ませたブラックコーヒーで……という重要なシーンがある。その後もコーヒーは何度もキャラクターの心境の変化を表すアイテムとして登場するため、同じものを飲みたいと思った人も多いのではないだろうか。そこでタイコーヒーを味わえるカフェを紹介したい。

タイでは日本以上にコーヒーショップがあるとされるほど、現在コーヒーブームが到来している。そんなタイのコーヒーはまだまだ日本で流通していないが、2020年10月に京都でオープンしたばかりのコーヒースタンド兼焙煎所「Laughter」で味わえる。京都市上京区の住宅街に店を構える同店舗は、タイで品質の高い豆を栽培する「チャーリー農場」からフェアトレードで直接輸入し、自社で焙煎から販売までを一貫して行っている。

実際に飲んでみると、ブラックでも苦味が少なく、甘くてスッキリとした後味で、香りも良く紅茶のような舌触り。焙煎機や並べられたコーヒー豆、実のなったコーヒーの木に囲まれた店内で味わうのもよし、テイクアウトして隣の公園でゆっくりするのもよし。オンラインでコーヒー豆を購入して、自宅で透明のカップに入れてインスタグラムに投稿すれば、サラワット気分を味わうこともできる、二度美味しいアイテムに様変わりする。

さらに日本でタイドラマの世界を体感できる大きなイベントがある。『2gether』シリーズを放映するタイのテレビ局で、出演俳優が所属する事務所、GMMTVの人気作と冠俳優の衣装が展示される、世界初の『GMMTV EXHIBITION in JAPAN』を開催している。東京はすでに終了しているが、6月2日（水）からhmv museum博多にて約1ヶ月間、続いて仙台、大阪、名古屋と巡回していく。

第一回目となる今回は、『2gether』シリーズの他に、『SOTUS』シリーズ、『Theory of Love』、『Dark Blue Kiss』の4作品と、それぞれ主演のクリス、シントー、オフ、ガン、テイ、ニュー、ブライト、ウィンの8名の着用衣装や、備品などが並べられるそうだ。

◇日本でも『2gether THE MOVIE』上映開始◇

ブームは冷めず、未収録映像を多く含んで再編集された劇場版『2gether THE MOVIE』が6月4日（金）よりTOHO シネマズ⽇⽐⾕ほかで全国公開上映される。監督は『2gether』のウィーラチット・トンジラー、スペシャルエピソード『Still 2gether』のノッパナッ・チャウィモンに加え、『WHO ARE YOU』『Baker Boys』など人気作を手がけるカニタ・クワンユーが新しく参加する。ドラマまではタイン目線での物語が展開されていたが、本作はサラワット目線で語られるとのこと。タイ本国では新型コロナの影響で公開が延期されており、奇しくも世界最速公開となる同映画。もう一度ドラマを見返して映画に備えたい。

◇『花より男子』のリメイク版『F4 THAILAND : BOYS OVER FLOWERS』今夏タイで放送予定◇

さらに今年の夏頃には、世界的に人気の『花より男子』をリメイクする『F4 THAILAND : BOYS OVER FLOWERS』が放送される予定だ。主役のタイム（道明寺司）をサラワット役のブライトが務め、タイン役のウィンはケビン（西門総二郎）を演じる。牧野つくし・ゴリャ役のトゥ、花沢類・レン役のディウと美作あきら・MJ役のナニは本作で俳優デビューとなる。なお、F4と呼ばれるメインの4組のオーディション基準は身長180cm以上であることとされていた。サイズ感がわからない人は自動販売機を思い出してもらえれば、その身長の高さに驚くだろう。

『F4 Thailand』の日本における視聴方法はまだ発表されていないが、日本企業が作者や著作権を管理する集英社とGMMTVを仲介しているため、日本語字幕付きでのリアルタイム視聴や、日本での地上波放送が期待されている。日本人に馴染み深い本作品から、タイドラマの世界を覗いてみては？

GMMTV 2021 | F4 THAILAND : BOYS OVER FLOWERS

『2gether』だけでなく『GMMTV EXHIBITION in JAPAN』に出展される4作品が、全ていわゆるボーイズラブ、BLと呼ばれるジャンルで、日本で配信され取り上げられている作品のほとんどがこれに該当し「タイドラマ＝BL」の法則が築かれつつある。どれも良質で「恋愛をはじめとする人間関係に、性別は関係なく、壁があってはいけない」と思わされるのでもちろんオススメしたいのだが、U-NEXTで配信中の『Bad Genius』や先日衛星劇場にて放送が開始された『BLACKLIST』など、恋愛もの以外の面白い作品もある。次回は今ある法則を覆すような、ミステリアスでハラハラさせられる作品を紹介していく。

ここまで『2gether』の魅力について、あえて性別に触れず紹介してきたがいかがだっただろうか。この記事に関する感想はハッシュタグ「#レオタイx2gether」（xはエックス）を付けてSNSに投稿してもらえると嬉しい。また「タイのこのコンテンツを紹介してほしい！」だとかの要望や、「タイのこの文化が気になる！　知りたい！」といったリクエストがあれば、「#SPICEレオタイ」をつけて投稿してもらえれば、次回以降の記事へ反映させていきたい。最後に覚えたてのタイ語を、教えタイ。

◇今日ひとことタイ語講座◇

หนัง（ナン、nǎŋ）＝映画