冬組単独公演が強力アップデートされて再演スタート！　MANKAI STAGE『A3!』～WINTER 2021～

大人気舞台、MANKAI STAGE『A3!』の冬組単独公演の幕が、2021年5月20日（木）TACHIKAWA STAGE GARDENにて上がった。本公演は2020年8月の舞台の再演となる。

月岡 紬（荒牧慶彦）、高遠 丞（北園 涼）、御影 密（植田圭輔）、有栖川 誉（田中涼星）、雪白 東（上田堪大）の4人で構成される冬組の第二回公演『主人はミステリにご執心』、第三回公演『真夜中の住人』の2ストーリーが展開される。

第二回公演『主人はミステリにご執心』は有栖川 誉が演じる執事の鷺島亭と、御影 密が演じる財閥の子息・東条志岐が、殺人事件の犯人探しをするミステリー。
演じるキャラクターへの理解を深めようとするが「人の気持ちがわからない」と零す誉と、記憶喪失のため「思い出」というものを知らない密。彼らが役を理解するために悩み、ひとつの答えを出す。劇中劇では誉と密のデュエット部分のハーモニーが非常に美しい。

他の組に比べても年齢が高く、大人な冬組は「大人であるがゆえに」仲間に対してもどこか距離を置いてしまう。謎の多い東の過去、そして準主演として東に寄り添おうとする丞も失敗を恐れて一歩踏み出すことができずにいた。「冬組らしさ」とは何か、それぞれがほんの少しずつ歩み寄って絆を深める。

劇中劇『真夜中の住人』は吸血鬼・九頭玲央（雪白 東）の孤独と葛藤、普通のサラリーマン瀬尾浩太（高遠 丞）の玲央に対する思いと覚悟がすさまじい迫力で感情を揺さぶってくる。泉遼平（月岡 紬）とフランツ（御影 密）のアクションシーン、浩太の同僚である野々宮（有栖川 誉）も見どころ。

また、鹿島雄三役を鯨井康介が演じる。故・滝口幸広さんからバトンを受け継ぎ、春組初代OBとしてMANKAIカンパニーの稽古にたびたび訪れ、厳しくも的確なアドバイスを投げかける。
ストーリーの大きな流れとなる部分には前回の公演と変わりはないが、小ネタやアドリブなどの小さな変化やアップデートされている部分も見られ、以前との違いを見つけてみるのも楽しいだろう。一度だけではなく、何度でも見たくなる舞台だ。

感染症拡大防止のため、客席から声を出すことはできない。お楽しみの歌パートでは手拍子や手振りだけで応えることになっている。また、今回の会場であるTACHIKAWA STAGE GARDENは2020年4月に誕生したばかりの大型ホールであり、客席数の多さや天井の高さなどの規模感に驚きを覚えた。そうした会場の広さや公演数など生で観劇できる機会は増えているが、個人個人のレベルでもしっかりと感染拡大予防をしよう。演劇を続けていくために、そして演劇を通して笑顔を増やせるように。冬単独公演ではそんな切なる願いを感じることができた。そしてまたバトンを受け渡し、また次の季節がやってくる――。

取材・文・写真＝松本裕美

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