森崎ウィン、髙橋颯らキャスト総出で迫力のパフォーマンスを披露! ミュージカル『ジェイミー』稽古場のぞき見会レポート

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2021.7.9
左から 髙橋颯、森崎ウィン

左から 髙橋颯、森崎ウィン

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ドラァグクイーンを夢見る高校生ジェイミーが、葛藤しながらも自分らしさを貫く姿を描くミュージカル『ジェイミー』。2021年8月8日(日)の初日まで残り1ヶ月となった7月8日(木)昼、”稽古場のぞき見会”と称されるオンラインイベントが開催された。特定の購入条件を満たした人のみを対象とした生配信のイベントだ。

この日の稽古場には森崎ウィン、髙橋颯、安蘭けい、田村芽実、山口乃々華、佐藤流司、矢部昌暉らをはじめとするオールキャストと演出・振付のジェフリー・ペイジが登場。衣装付き稽古ということで日本版の衣装も一部お披露目された。初披露曲を含む全5曲のパフォーマンスと質疑応答の模様をレポートする。

ミュージカル『ジェイミー』オンライン稽古場のぞき見会/ダイジェスト映像 Musical "Everybody's Talking About Jamie" JAPAN (2021)

稽古場のぞき見会は、YouTube Liveを通して13時30分〜約1時間公開された。冒頭、司会を務めるホリプロのプロデューサー井川氏から挨拶、そして稽古状況に関する説明があった。この日は演出家が来日して稽古を始めてから約2週間が経ち、初めてマスクを外しての稽古になるという。2017年にイギリスで初演されて以来、ロンドン・ウエストエンドでも上演されてきた本作だが、日本版はオリジナル演出・振付で世界に一つしかない新しい『ジェイミー』に向けてのクリエイションが行われていた。

「誰も知らない ~And You Don’t Even Know It」より

「誰も知らない ~And You Don’t Even Know It」より

「誰も知らない ~And You Don’t Even Know It」より

「誰も知らない ~And You Don’t Even Know It」より

最初に披露されたのは、作品のオープニングナンバーでもある「誰も知らない ~And You Don’t Even Know It」。進路指導の授業中の教室という設定だ。ジェイミー(森崎ウィン)を中心に、プリティ(山口乃々華)やディーン(矢部昌暉)ら個性溢れるクラスメイトたちのパフォーマンスは見どころ満載。現実主義の教師ミス・ヘッジ(樋口麻美)のパンチのある歌声も効いて、エネルギッシュで爽快感あるナンバーに仕上がっていた。シーンが終わるとすぐさまジェフリーによるノートが行われ、「もっと足のセパレーションを具体的に」「重心移動はすごく大事」「よくなっています。みなさんグッジョブでした」と、その場で翻訳家が訳してキャスト陣に伝えていく。

「乗り越えるもの ~Over the Top」より

「乗り越えるもの ~Over the Top」より

「乗り越えるもの ~Over the Top」より

「乗り越えるもの ~Over the Top」より

演出家ジェフリーからのノート

演出家ジェフリーからのノート

演出部による場面転換が行われると、「乗り越えるもの ~Over the Top」のシーンへ。ドレスショップに訪れたジェイミー(髙橋颯)が4人のドラァグクイーン(石川禅、今井清隆、吉野圭吾、泉見洋平)に出会い、プロムにドレス姿で出たいという夢を後押しされる場面だ。曲が始まる前から一際存在感を放っていたブロンドヘアの人物は、石川演じる伝説のドラァグクイーン・ロコシャネル。漆黒のドレスを纏い、紫のアイシャドウ、つけまつ毛、紅いリップ、黒いネイルというゴージャスな出で立ちで、一挙手一投足、指先の動きまで細部に渡って美しい。「これは戦なの!」と高らかに宣言し、ジェイミーの背中を押すロコシャネル。そこに続々と現れたのは、ヒョウ柄×網タイツ、全身ピンク、紫ヘアーと、これまた個性的で麗しいドラァグクイーンたち。美しくも重厚な歌声を響かせるドラァグスの魅力をたっぷりと堪能できるナンバーだ。プロデューサーの井川氏曰く、このシーンのジェイミーとドラァグスたちはさらに進化する予定だとか。

個性溢れる生徒たち

個性溢れる生徒たち

「噂のジェイミー ~Everybody’s Talking About Jamie」より

「噂のジェイミー ~Everybody’s Talking About Jamie」より

3曲目は、2幕のオープニングナンバーであり本作の原題でもある「噂のジェイミー ~Everybody’s Talking About Jamie」だ。ある日、教室中がジェイミーの噂で持ちきりに。ミス・ヘッジ(実咲凜音)の授業中ですら、生徒たちの噂話は止まらない。疾走感あるポップなメロディに、止めどなく出てくる噂、噂、噂。伊藤かの子、太田将熙、川原一馬、小西詠斗、鈴木瑛美子、田野優花、フランク莉奈、MAOTOらクラスメイト役のキャストたちが、非常に複雑なハーモニーを弾ける笑顔で歌い上げた。彼らから少し離れたところで静観するのは、ジェイミーと敵対しているディーン(佐藤流司)。もの言いたげな目つきで、他のクラスメイトと対照的な雰囲気を醸し出す。カンパニーの息の合ったパフォーマンスに、ジェフリーも拍手を送っていた。

「限定モノ ~Limited Edition」より

「限定モノ ~Limited Edition」より

森崎ウィン

森崎ウィン

続いては、ドレスを着てプロムに出ることを決めたジェイミー(森崎ウィン)と、母マーガレット(安蘭けい)、その友人レイ(保坂知寿)の3人による「限定モノ ~Limited Edition」のシーン。この日初めて衣装の赤いドレスを着たという森崎が現れると、稽古場内から「かわいいー!」という歓声が沸き起こった。照れくさそうにはにかむ森崎だったが、役に入った瞬間、自信に満ちたジェイミーの顔へと切り替わる。ジェイミーとマーガレットを、まるで本当の家族のように親身に支えるレイの存在は心強い。この1曲を通して、3人の関係性がしっかりと伝わってきた。

「我が子、あなたの子 ~My Man, Your Boy」より

「我が子、あなたの子 ~My Man, Your Boy」より

パフォーマンスの最後を飾るのは、ジェイミー(髙橋颯)と母マーガレット(安蘭けい)の親子愛が描かれる「我が子、あなたの子 ~My Man, Your Boy」。珍しく弱気な言葉を吐くジェイミーに、マーガレットは「あなたはいつだって美しいんだから」と、強く優しく抱きしめる。ジェイミーを見つめるマーガレットの眼差しが温かい。ここまではポップやロックなナンバーが続いていたが、しっとりとした歌と芝居で心に沁みるバラードが披露された。

(左から)今井清隆 石川禅 安蘭けい 森崎ウィン 髙橋颯 保坂知寿 ジェフリー・ペイジ

(左から)今井清隆 石川禅 安蘭けい 森崎ウィン 髙橋颯 保坂知寿 ジェフリー・ペイジ

パフォーマンス終了後には質疑応答の時間が設けられ、今井、石川、安蘭、森崎、髙橋、保坂、ジェフリー(演出家)らが登壇した。 

森崎ウィン

森崎ウィン

早速、稽古の手応えを問われたジェイミー役の森崎は「これからやらなきゃいけないことはもっとたくさんあると思いますが、僕個人としてできることがいっぱいあるので、小さい努力をたくさんして、幕が開くまでには自分ができることを全て詰め込んでいきたいなと思います」と謙虚に意気込みを述べた。

髙橋颯

髙橋颯

同じくWキャストでジェイミーを演じる髙橋は、まず「(配信のためにお客様の)顔が見えないですが、思い浮かべています」と笑顔で話し始め、続けて「謝罪会見みたいになっちゃいそうで怖いですけど(笑)、やるべきことはたくさんあります。それを自覚していて、家に帰って反省するのでお手柔らかにお願いします」とこちらも謙虚なコメント。

安蘭けい

安蘭けい

ジェイミーの母マーガレット役の安蘭は「個人的には母親役ということで母親像をもっと明確に出したいのと、息子たちとのコミュニケーションを取って深めていきたい。生徒たちのところは元気に、ヒューゴさんたち大人のちょっと濃い感じのキャラクターの方たちにはお笑いを持っていってもらって(笑)、私はお客様に共感してもらって涙を流してもらえるようなシーンにしたいと思っております」とまとめた。

保坂知寿

保坂知寿

マーガレットの親友レイを演じる保坂は、「安蘭さんとは初共演。お会いしたことはあったけれど、作品でご一緒したりおしゃべりしたりは初めて。でも全く初めて感がないというか、距離が近くてすごくありがたいなと思っていて、もっともっと仲良くなりたいなと思っています」と初共演になる安蘭との関係を述べ、「役的にも愛すべき二人の親子が一歩踏み出すのをサポートする役割なので、ジェフリーと相談しながら、レイがマイノリティーに寛容な理由があるというところを膨らませていけたらなと思っています」と今後の役づくりの方向性を語った。

(左から)吉野圭吾 石川禅 髙橋颯 森崎ウィン 今井清隆 泉見洋平

(左から)吉野圭吾 石川禅 髙橋颯 森崎ウィン 今井清隆 泉見洋平

その後、石川と今井の二人に「楽曲の魅力と、自身の視点での楽しさ、難しさは?」という質問が及ぶと、どちらが先に答えるかを決めるためにじゃんけん(!)を始めるドラァグス。結果的に今井から回答することになり「楽曲はロック調でノリもいいので楽しい。客席の方も一緒に踊りたくなるナンバーが多いと思います」とコメント。さらにドラァグクイーンの衣装について尋ねられると「自分が怖いという(笑)。楽屋裏という設定なので、このサザエさんのような頭で正しいと聞いてショックを受けました」と素直な心境を明かした。石川は「楽曲は今どきのミュージカル。昭和生まれの自分にはリズムをキャッチするのが難しい」とし、身につけている衣装について「ハイヒール、つけまつ毛、マニキュア、この57年間の人生で初なので……」と語り始めると、今井が「綺麗だよ」と声を掛け「ありがとう」と石川が返す微笑ましい場面も見られた。

ジェフリー・ペイジ

ジェフリー・ペイジ

演出家のジェフリーは「様々な役者が揃っていると思います。より深い意味でお互いの違いというものに、感謝や尊敬の念を持てるのでは。若い世代のみなさまは先輩からたくさんのことを学んでほしいし、先輩は若い人たちから学んでほしい。それがみんなの糧になると信じています」と、多彩で幅広い層のキャスト陣について触れた。 

イベントの最後は、カンパニーを代表して森崎、髙橋、安蘭からのメッセージで締めくくられた。

安蘭「あと1ヶ月になってしまいましたが、1ヶ月はたっぷりあるのでそれぞれの役を深め、お客様に感動、勇気、パワーを与えられる作品になったらいいなと思います。たくさんの方に観ていただきたいという想いでいっぱいです」。

髙橋「幕が開くのを楽しみにしています。伝えたいメッセージを伝えますので、気楽に来てくれてもいいんですけど、余裕のある方は覚悟を持って来てください」。

森崎「稽古場に入ってエンタメができているということが本当に幸せです。他にもキャストさんやスタッフさんがたくさんいらっしゃって、みなさん一丸となってこの作品を作っています。日常を一瞬でも忘れて『ジェイミー』の世界観を感じていただきたいです」。

ジェイミーカンパニー

ジェイミーカンパニー

 

ミュージカル『ジェイミー』日本初演は、2021年8月8日(日)〜8月22日(日)まで東京建物Brillia HALL、その後は大阪・愛知にて上演予定だ。どんよりとした空を吹き飛ばしてしまうポジティブなパワーに満ちた、とびきりポップなミュージカルに仕上がるに違いない。開幕まであと1ヶ月。幕が開くそのときを楽しみに待とう。

取材・文=松村蘭(らんねえ) 撮影=田中亜紀(オフィシャル提供)

公演情報

ミュージカル『ジェイミー』
 
<スタッフ>
音楽:ダン・ギレスピー・セルズ
作:トム・マックレー

日本版演出・振付:ジェフリー・ペイジ
翻訳・訳詞:福田響志
音楽監督:前嶋康明
美術:石原敬
照明:奥野友康
音響:山本浩一
映像:石田肇
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
歌唱指導:高城奈月子
演出補:元吉庸泰
稽古ピアノ:太田裕子
演出助手:河合範子
振付助手:鎌田真梨 
舞台監督:幸光順平

宣伝美術:野寺尚子
宣伝写真:HIRO KIMURA
宣伝ポージング(ジェイミー):FUMIHITO
バルーン制作:家泉あづさ
宣伝衣裳:十川ヒロコ
宣伝ヘアメイク:沓掛倫雄(ジェイミー)、 真知子、 天野誠吾、 高原優子

<キャスト>
ジェイミー・ニュー:森崎ウィン/高橋颯(WATWING)
マーガレット・ニュー:安蘭けい
プリティ:田村芽実/山口乃々華
ディーン・パクストン:佐藤流司/矢部昌暉(DISH//)

ファティマ:伊藤かの子
ミッキー:太田将熙
サイード:川原一馬
サイ:小西詠斗
ベックス:鈴木瑛美子
ヴィッキー:田野優花
ベッカ:フランク莉奈
リーバイ:MAOTO
(五十音順)

ミス・ヘッジ:樋口麻美
ミス・ヘッジ(女性役U/S):実咲凜音
トレイ,ライカ(男性役U/S):永野亮比己
※U/Sアンダースタディ

ライカ・バージン:泉見洋平
トレイ・ソフィスティケイ(ヒューゴ/ロコシャネル役カバー):吉野圭吾

レイ:保坂知寿
ジェイミー父/サンドラ・ボロック:今井清隆
ヒューゴ/ロコシャネル:石川 禅

学生役SWING:
亀井照三
笹尾ヒロト
佐藤みなみ
山村菜海

※ジェイミー、 プリティ、 ディーン役及び、 ミス・ヘッジ、 トレイ、 ライカ役につきまして、 公演により出演キャストが異なります。 出演者を必ずご確認の上お申し込みください。

<東京公演>
期間:2021年8月8日(日)~29日(日)
会場:東京建物Brillia HALL
主催:フジテレビジョン/ホリプロ/TOKYO FM/キョードーファクトリー
企画制作:ホリプロ
後援:ブリティッシュ・カウンシル

<大阪公演>
期間:2021年9月4日(土)~12日(日)
会場:新歌舞伎座
主催:新歌舞伎座

<愛知公演>
期間:2021年9月25日(土)・26日(日)
ー9月25日(土)18:00
ー9月26日(日)13:00
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
主催:キョードー東海
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