『奥能登国際芸術祭2020+』2021年秋に開催 石川県珠洲市にて

2021.8.6
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『奥能登国際芸術祭2020+』

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『奥能登国際芸術祭2020+』が、2021年9月4日(土)から10月24日(日)まで、石川県珠洲市にて開催される。

2017年秋に初開催された『奥能登国際芸術祭』。第2回目の開催は2020年秋に予定していたが、新型コロナウィルスの影響により延期に。このたび『奥能登国際芸術祭2020+』と改め、開催される運びとなった。16の国と地域から53組のアーティストが参加し、うち47組が新作となる。

会場となるのは、珠洲の10つのエリア。それぞれ独自の祭りや文化、歴史を持っている市政施行前の3町6村(西海(大谷、日置)、三崎、蛸島、正院、直、飯田、上戸、宝立、若山)に3〜8作品を展開する。

01. 大谷エリア

耕作面積が少なく、日本海の荒波に侵食された岩礁が多く存在する外浦に位置する。強い海風が吹く冬の外浦では、波が白い泡になって雪のように舞う「波の花」や、滝が重力に逆らって空に向かって上る「垂水の滝」が見られる。また、日本で唯一、揚げ浜式製塩が500年の間途切れることなく続く「角花家」をはじめ、いくつかの製塩業者が点在しており、道の駅 塩田村に塩の資料館が併設するなど、製塩がエリアの特徴の一つとなっている。

揚げ浜式製塩

02. 日置エリア

能登半島の最先端に位置し、日の出・日の入りが見られることでも知られる白亜の灯台・禄剛埼灯台があるエリア。灯台のふもとにある道の駅 狼煙では、地元住民が再興した大浜大豆を使った特産品を販売。灯台から大谷エリアの椿展望台へと続く全長約10kmの岬遊歩道は、最果ての景観を楽しむことも可能。山中では炭焼きづくりを核とした里山の管理が進められている。

禄剛崎灯台

03. 三崎エリア

日本海の守護神とされる須須神社が鎮座し、漁師や船乗りの信仰を集めるエリア。現在でも貴重な舟小屋群が残されている。須須神社の祭礼である「寺家の秋祭り」では、高さ16.5mにもなる大型のキリコが夜を徹して町内を巡行。三崎エリアの海岸では、かつてこの地域で栄えた瓦産業の名残として、波に削られて角が丸くなった瓦の破片も多く見つかる。

須須神社

04. 蛸島エリア

石川県屈指の漁港を持つ漁師町のエリア。風情を残す白壁と下見張りのまち並みは、1996年にいしかわ景観賞を受賞。高倉彦神社の祭礼である「蛸島の秋祭り」では、豪華絢爛な総漆塗りのキリコが巡行され、県指定無形民俗文化財指定の「早船狂言」を上演する。珠洲焼に関する施設も多く集まり、県内有数の透明度を誇る遠浅の海が続く鉢ヶ崎海水浴場は「日本の渚・百選」に選定されている。

蛸島町のまち並み (写真=志保石薫)

05. 正院エリア

冬になると白鳥が飛来する、古代珠洲の中心地。平床貝層や、上杉謙信が家臣を在城させた正院川尻城があるエリア。須受八幡宮には能舞台と28の能面が残っており、正院の秋祭りでは、花模様のドテラ姿に鈴をつけ、化粧前掛けをした若者たちが威勢のいい掛け声で、シャンガ(毛やり)を振り回しながら町中を練り歩く「奴振り」が行われる。

八丁田のコハクチョウ

06. 直エリア

珠洲の文教地区。観光案内所が併設される道の駅 すずなりは、珠洲特急バスターミナルとして多くの人が利用している。2019年には子どもセンター・すずキッズランドを併設した、珠洲市民図書館がオープン。道路を挟んだ向かいには珠洲市総合病院、周辺には飯田高校がある。2023年には、市内5カ所の保育所が統合し、新たな保育所が生まれる。

旧珠洲駅

07. 飯田エリア

海と山を結ぶ道の分岐点となっているエリア。かつては多くの物資が運搬され、商売の町として賑わいを見せていた飯田港。その名残として、今でも飯田の夜の町では多くの飲み屋が残っている。江戸時代から続き、7月に行われる春日神社の祭礼「飯田町燈籠山祭り」では「燈籠山」といわれる巨大な山車を曳く。

飯田町燈籠山祭り

08. 上戸エリア

かつて塩田が並んだエリア。 困窮した能登の製塩業者を救うべく対策を練った医師・藻寄行蔵を顕彰し「能登塩田再興碑」が建てられた。真言宗の古刹・高照寺には、石川県の天然記念物に指定されている樹齢900年の老杉が。杉の枝が地面を這うようにして、逆さに垂れていることから「倒さスギ」(別名:能登の一本杉)と呼ばれている。

倒さ杉

09. 宝立エリア

数々の弘法大師の伝説が残るエリア。弘法大師が布教のために佐渡から能登へと渡る際に見つけたことに由来して名づけられたとされる「見附島」(別名「軍艦島」)は、夜になるとライトアップもされる。8月の「宝立七夕キリコ祭り」では、担ぐキリコとしては最大級の高さとなる、14mのキリコを約100人で担いで巡行する。

見附島

10. 若山エリア

珠洲市内で唯一海がないエリア。稲の病害虫を松明の火で追い払いその年の豊作を祈願する「虫送り」や、田の神様を招いて一年の収穫の感謝と、翌年の豊作を祈願して、他能登一帯に古来より伝わる農耕儀礼「あえのこと」やなどが現在も行われている。また、ゲンジボタルの群生地としても知られている。

北山のホタル

また、「スズ・シアター・ミュージアム」では、『珠洲の大蔵ざらえ』(蔵ざらえ:商店が店じまいをするときに使われる言葉)で集まったモノ(日用品、農具や漁具、膳や椀、キリコ灯籠など)を、アーティストの手によって作品に変え展示する、目玉企画を実施。他にも、アートを目印に岬を巡る旅を楽しむ「岬めぐり」や、2005年に廃線となった鉄道能登線をアート作品として見せる「廃線をたどる」など、見どころの多い芸術祭だ。

スズ・シアター・ミュージアム内観イメージ(ドローイング=南条嘉毅)

『奥能登国際芸術祭2020+』は、2021年9月4日(土)から10月24日(日)まで、石川県珠洲市にて開催。

イベント情報

奥能登国際芸術祭2020+
会期:2021年9月4日(土)〜10月24日(日)
※毎週木曜日は一部作品を休館(ただし、9/23祝日を除く)
会場:石川県珠洲市全域 247.20km²
参加アーティスト:16の国と地域から53組(うち新作47組)
主催:奥能登国際芸術祭実行委員会