英国の名作文学がダンスに~ファビュラ・コレクティブ『HUMAN.』世界初演は魂を揺さぶるトリプル・ビル

2021.8.18
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舞台

(左から)チラ・ロビンソン、トラヴィス・クローセン=ナイト、ジェイムズ・ペット

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2021年8月28日(土)~29日(日)新国立劇場小劇場にて、英国・ロンドンを拠点に国際的に活動するプロダクションカンパニー、ファビュラ・コレクティブ(Fabula Collective)が企画する日英コラボレーション『HUMAN.』が世界初演を迎える。

ファビュラ・コレクティブは2019年、英国で舞台美術・衣裳を手がけるデザイナーとして実績多数の塚本行子(クリエイティブ・ディレクター)を中心に設立された。多分野の新進気鋭、トップクラスのアーティストと共に、質の高いライブ&デジタル作品をイギリス国内外に発信する。2019年5月には、東京・セルリアンタワー能楽堂にてダンス公演『Elevation-昇華-』を一夜限りで上演し、英国発の意欲的なパフォーマンスとして鮮烈な印象をもたらした。

このたび満を持して開催される『HUMAN.』では、ウィリアム・シェイクスピア、ルイス・キャロル、オスカー・ワイルドという英国の文学を代表する作家たちの名作からインスピレーションを得たダンスに挑戦。「狂気」をテーマにした新作トリプル・ビルを披露する。

『HUMAN.』フライヤー表面

シェイクスピアの「マクベス」に想を得た『レディマクベス』(初演)を振付するのはクリストファー・マーニー。空前の大ヒット作『白鳥の湖』を始めとするマシュー・ボーン作品で知られるスターが新作を振付する(出演はなし)。そして、狂気のダークサイドに堕ちていくマクベス夫人を踊るのは英国の実力派カンパニー、バレエブラック(Ballet Black)で活躍するチラ・ロビンソン。マクベス夫人の内なる真実をどのように浮き彫りにするのか興味が尽きない。

『レディマクベス』 (C)Amber Hunt

キャロルの「不思議の国のアリス」を下敷きにした『Everything Would Be Nonsense』は、英国ロイヤル・バレエ団の常任振付家ウェイン・マクレガーの舞踊団を経て活躍する異才トラヴィス・クローセン=ナイトの振付作品。マッド・ハッターのお茶会を舞台に、「意味の混乱」と「秩序の崩壊」を探る。なお本作では出演者を公募し、冨岡カイ、加藤美羽、土田貴好、岩瀬斗羽という日本人の俊英4名を抜擢。英日を繋ぐ協同制作としても意義深く注目される。

『Everything Would Be Nonsense』 (C)Akihito Abe

最後を飾るのがワイルドの小説「ドリアン・グレイの肖像」に基づく『ドリアン・グレイ』(初演)。絶世の美青年の内面を描く原作を、振付のジェームズ・ペットと作家でドラマトゥルクのベン・ルイスが、新たに読み解く。ペットはバレエ界のレジェンドである名花アレッサンドラ・フェリとの共演経験もある鬼才だ。出演はペットとトラヴィス・クローセン=ナイトで、マクレガーのカンパニーでの同僚時代からコラボレーションを続ける2人ならではの濃密な世界が生まれそうだ。音楽をペットの弟ショーン・ペットが手がける。

『ドリアン・グレイ』 (C)Alex Kingston

日本においてシェイクスピア、キャロル、ワイルドの文学は親しまれている。また英国ロイヤル・バレエ団の演劇的バレエも人気が高い。だが、イギリスの現代のパフォーミングアート、ことにダンスが紹介される機会は非常に限られるので貴重だ。日英交流年「UK in JAPAN」、Japan-UK Season of Culture 日本文化季間認定事業として意義ある公演になるに違いない。

ジェームズ・ペット コメント

「なぜ人間は他者が苦しんでいるのをみると快感を覚えるのだろうか」
私のバージョンのドリアン・グレイには、『美しさ』『中毒』『堕落』『混沌』『愛』などの多くのテーマが入っています。
この今までに見た事のない男性デュエットでは、私は作品の振付とドリアンを演じると言うことを同時に行っている為、見た目だけでなくドリアンを深く体現していると感じています。そして観客の皆様がこの作品を完成させる為のパズルの最後のピースです。
皆様と共に作品を完結させる事を楽しみにしています。

塚本行子 コメント

アーティスト、ジェームズ・ペットは身体能力の秀でた才能だけでなく、人間離れした『完璧』に限りなく近い様々な要素を持ち合わせている貴重な存在だと思います。ダンストリプル・ビルのフィナーレに彼の作品ドリアン・グレイを持って来た理由は壮絶なパフォーマンスをお客様にお届けするであろう事が想像出来ると同時に、それ故に観た後の普段とは違う拍手をしていいかを戸惑う様なペットの献身的な完成度は最後にふさわしいと思ったからです。
ダンストリプル・ビル『HUMAN.』、少しでも多くの方の心に響く3作品になっていることを願っております。ご来場お待ち申し上げております。


文=高橋森彦

公演情報

Fabula Collective presents『HUMAN.』

 
【上演プログラム】
『レディマクベス』(初演)
振付:クリストファー・マーニー
音楽:ジョナサン・エミリアン・ヘック
出演:チラ・ロビンソン、バリー・ドラモンド、マーク・サマラス

『Everything Would Be Nonsense』(初演)
振付:トラヴィス・クローセン=ナイト
音楽:サイモン・マッコリー
出演:冨岡カイ、加藤美羽、土田貴好、岩瀬斗羽

『ドリアン・グレイ』(初演)
振付:ジェームズ・ペット
ドラマトゥルク:ベン・ルイス
音楽:ショーン・ペット
出演:ジェームズ・ペット トラヴィス・クローセン=ナイト
 
■公演日程:
2021年
8月28日(土)19:00 開演
8月29日(日)12:00/17:00 開演
各回、公演終了後、トークあり
ロビー開場:開演45分前 客席開場:開演30分前
 
■会場:
新国立劇場 小劇場
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
京王新線(都営新宿線乗入れ)「初台駅」中央口直結
 
料金(全席指定・税込):
S席 6,000円|A席 5,000円|B席 4,000円
*U24(24歳以下)S席 4,000円|A席 3,000円|B席 2,000円
 
*U24:公演当日、顔写真付証明書をご提示ください。
※未就学児童のご入場はご遠慮いただきます。
※車椅子席はS席でのご用意となります。お問合せ先へお申込みください。(介助者1名無料)
※必ずマスクを着用し、館内での手指消毒にご協力ください。
※開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。予めご了承ください。
※各回、公演終了後にトークあり
 
■公演特設サイト(情報有):
■お問い合わせ:
ハイウッド
TEL:03-3320-7217(平日 12:00〜18:00)
 
 
 
■関連サイト:
クリストファー・マーニー  https://dancedition.com/post-3631/
トラヴィス・クローセン=ナイト  https://dancedition.com/post-3629/
ジェイムズ・ペット  https://dancedition.com/post-3672/
チラ・ロビンソン  https://dancedition.com/post-3670/
 
【ファビュラ・コレクティブ】
クリエイティブ・ディレクター:塚本行子
ジェネラルマネージャー:ジョージ・クック、ジョシュ・チョーク
プロデューサー:ルーシー・スミス
マーケティング:エミ・デルベネ
ファンドレイザー:メガン・マッコール・キャンベル
エグゼクティブ・アシスタント:ギャビア・チェペリーテ
プロジェクトマネージャー:阿部のぞみ 
 
【スタッフ】
舞台監督:河内 崇
照明:倉本泰史(株式会社エアー・パワー・サプライ)
音響:返町吉保(株式会社キャンビット)
プロデューサー:高樹光一郎(一般社団法人ハイウッド)
制作:平岡久美(一般社団法人ハイウッド)
グラフィックデザイン:石田 努
 
■主催:
Fabula Collective
一般社団法人ハイウッド
 
■後援:
大和日英基金
ブリティッシュ・カウンシル 日英交流年「UK in JAPAN」
グレイトブリテン・ササカワ財団
Japan-UK Season of Culture 日本文化季間 認定事業
 
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業