「この5人なら本当にどこまでも行けるような気がします」～MANKAI STAGE『A3!』Troupe LIVE～SPRING 2021 公開ゲネプロレポート

2021年8月18日（水）東京・TACHIKAWA STAGE GARDENにて幕を開けたMANKAI STAGE『A3!』Troupe LIVE～SPRING 2021～。これは、MANKAI STAGE『A3!』＝エーステを構成する春・夏・秋・冬、4つのユニットがそれぞれ単独で行う新たな試みのステージである。トップバッターは“最初の季節”春組。本番に先駆け行われた公開ゲネプロにて体感した横田龍儀（佐久間咲也役）、牧島 輝（碓氷真澄役）、前川優希（皆木 綴役）、立石俊樹（茅ヶ崎 至役）、古谷大和（シトロン役）の5人が奏でる春色の柔らかな時間、その記憶をお届けしたい。

※以下、ネタバレがございます。ご注意ください。

“トルライ”は「overture」に乗せて登場した5人のモノローグで始まった。それぞれのイメージカラーにブラックを組み合わせたセミフォーマルな装いで、監督（MANKAIカンパニーの監督＝舞台の観客）への感謝の言葉を伝えてくれる。そう、会いたかったのはお互い様！　「みんなでMANKAIカンパニーなんだ」という彼らのひたむきな想いが嬉しい。

再会の喜びを感じながらのファーストナンバーは「春色の予感」。明快なキャラクター紹介ソング、SPICEのアルバムリリースインタビューでメンバーが予想していた通り、ソロダンスパートもしっかり確保されていた！　クールな真澄、コンテンポラリー風味の綴、シャープで優雅な至、キュートでキャッチーなシトロン、ストレートに男の子らしい咲也と、それぞれの個性が伝わる振りにも注目を。

「Brand new world」「MANKAI☆開花宣言」と、たたみかけるように5人揃ってのナンバーが続く。笑顔いっぱいに歌い踊る5人。春組がここに居る実感に、客席も（マスクの下ではあるが）笑顔と手拍子で熱く応戦する。

短いMC後、ステージに残ったのは真澄と綴。となれば……「カレーパン」！ 日常のちょっとした時間に二人が交わす会話のようなさり気なさに、トランペットの音が新鮮。♪カレーパンでも買って帰ろ〜 の振りが本当に熱々のカレーパンを買ってきてくれるようで（笑）、二人の素顔感が心地いい。

続いてはシトロンと至の「一回一円、イケてるメンマ」。シトロンの言い間違いから発生する言葉遊びをワチャワチャな友情へと昇華させる、トリッキーで賑やかな一曲。バックにシトロンボーイズ（！）を配し、ステージ映えもバッチリ。

再び5人が揃い、春組の今と未来を感じさせる普段着なナンバー「Spring has come!」を挟んでもうひとつの劇中劇へ。こちらは新生春組旗揚げ公演『ロミオとジュリアス』。咲也のロミオと真澄のジュリアスを中心に、マキューシオ（綴）、ティボルト（至）、ロレンス神父（シトロン）がやはり劇中劇のコスチュームに身を包み、全員でテンポよく熱演。真剣勝負の殺陣もたっぷり、熱い友情で結ばれたロミオとジュリアスの厚みのあるハーモニーも非常に聴きごたえがあり、春組一人ひとりの成長の足跡を感じさせてもらった。

LIVEも終盤。劇中劇の余韻を断ち切るように、白いスーツの咲也が一人舞台上へ。ソロナンバー「嘘のない涙」。空っぽだった劇場に咲也がやってきたことで新たに動き出したMANKAIカンパニーの歴史、仲間に出会えた喜び、“もう一人じゃない”と心躍らせる彼の思いが実直な歌声と共にこちらの心に飛び込んでくる。この1曲の中にエーステの歩みがぎゅっと詰まっているようで……客席の一人ひとりが自分の中のエーステの記憶を辿らずにはいられない瞬間だった。

立派にソロナンバーを務め上げたリーダーの元にやってくる4人。全員真っ白なスーツにピンク系のタイやベストを合わせた上品かつ華やかな装いで、「blooming smile」「桜の下で」を声と思いを合わせて披露していく。“サヨナラはまた会うためのおまじない”……出会いと別れを繰り返す春という季節を彩る歌の世界観に、万感の思いがこみ上げる。

アンコールではさらに衣裳をチェンジし、締めくくりは“いつもの春組スタイル”で。終演を惜しみつつエーステには欠かせない「The show must go on!」、そしてホントにラストのナンバー「一五一会」まで、ステージ上を目一杯動き回りながら客席ともアイコンタクト。歌う喜びを分かち合い続けた（みんな揃っての手振りや心の声でのコーレスも、恥ずかしがらずにどんどん参加してこそ！）。

不器用だけど精一杯舞台上で生きる咲也、監督への愛情表現増し増しで我が道を行く真澄、広い視野でみんなを見守ってくれる綴、大人の気だるさと秘めた優しさを抱く至、拍手がエネルギー源！　な平和を愛するシトロン。彼らにしか生み出せないほっこりした優しい時間と柔らかなピュアネスを120％で体感したトルライ。キャラクターとして俳優として全力で私たち監督を楽しませてくれた春組のショーマンシップ、そしてリーダーの「この5人なら本当にどこまでも行けるような気がします」の言葉を忘れられないメモリーとして刻み込みつつ、次の春を心待ちにしよう。

※公演曲MANKAI STAGE Short Ver.、劇中劇ライブver.はAパターン〜Cパターンまで回替わりの演出となっています。

佐久間咲也 役：横田龍儀　コメント

まず、無事に幕を開けられることに幸せを感じます。
春、夏、秋、冬と季節を巡り、今回新しい挑戦となる Troup LIVE。オレたち春組がまた次の季節へバトンを繋げる
ように、そしてオレたち自身最高に楽しめる公演になれば、と思います。
今のこのご時世に、たくさんの人に少しでも元気が与えられるように、少しでも笑顔を届けられるように精一杯頑張
りたいと思います。
オレたち春組にしかできない公演。ぜひお楽しみください！！

碓氷真澄 役：牧島 輝　コメント

春組のチームワークは抜群だと思うので、あとは稽古でやってきたことを本番に活かしていきたいです。
エーステは監督が観てくださって完成する作品なので、早く監督に会えてこの作品が完成することがとても楽しみで
す！
誠心誠意、愛を持ってこの作品に挑みたいと思います！
千秋楽まで応援よろしくお願いいたします。

皆木 綴 役：前川優希　コメント

このご時世の中、本番を迎えられることが本当に嬉しいです。
稽古を重ねていく中で、困難と言っていいのかわからないですが、カンパニー全員がぶつかった壁というのがありま
す。
何事も最初に経験をするのが【春組】というのもありますが、全員でその壁を乗り越えていく気持ちがとても強く、
色々な稽古過程を踏んだからこそ皆さまにお見せできる作品になったと思います。
監督にはぜひ楽しんでもらいたい！という気持ちでいっぱいです！

茅ヶ崎 至 役：立石俊樹　コメント

春組5人で挑む初めてのLIVEということで、これは僕たちにとっても新しい挑戦です。
次の季節に繋げるためにも、最高の作品になるように僕たち春組が楽しんで皆さんにお届けしたいです。
春組単独公演以来の春組だけの公演、監督さんも楽しみにしてくださっていると思うので、その期待をさらに超えて
最高の空間をお届けします！

シトロン 役：古谷大和　コメント

たくさんの方々の協力があって、いよいよ本番を迎えられたという気持ちです！
会場に足を運んでいただけるカントク、そしてそれぞれの環境から見守ってくれるカントクのために、春組全員で今
しかできない最高の作品を届けたいと思います。
楽しみに待っていてください！　ワキワキ！

取材・文=横澤由香