岸田教団&THE明星ロケッツ 岸田の「オタク無分別禁止論」 第五夜 建築について
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同人音楽サークルにしてロックバンド 岸田教団&THE明星ロケッツ リーダーであり教祖である岸田によるコラム「オタク無分別禁止論」。岸田が語れそうなお題“だけ”投げて、あとは好きに書いてもらうというある意味博打のこの企画。第五回目は「建築について」。まるで岸田教団関係なさそうなこのお題、勿論語るは「スタジオ」のことです。
※このコラムのタイトルバナーは「可愛いネコちゃんの写真載せておけばPVがふえるんじゃないですかね」という岸田さんの制作方針により作成されています。
このコラムもだいぶ色々書いてきました。
次のお題は建築だそうです。
け、建築……?なぜそんなテーマに……?
俺が語れる建築はレコーディングスタジオとかライブハウスの作り方くらいなんですけどつまりそういうことだよな?
そういえば確かにみんなああいう防音ってどういう仕組みなのかなかなかわかりませんよね。魔法的なすごい技術とか何やらよくわからない方法で音を遮断してるんだろうみたいに思われてそうです。
実際にDIYしてみるとわかりますが現実は厳しいです。防音とは実を言うととっても単純で、今をもってして本質的には質量と制振でしかありません。具体的に言いますと部屋の中に振動的に浮かせた部屋を作って、その部屋を質量で抑え込む。はい。マジでこれだけです。
みんな大好きichigoさん家のさのすけ&もず
作り方は至極簡単でまず家があるとします。これの床板をひっぺがして基礎を出します。
そこにグラスウールのボードを敷き詰めます。こいつらは振動を伝えない柔らか素材です。重さで潰れすぎないようにそこそこ硬いですが。その上に色々保護するもの入れたり物によっては防振ゴムなども併用して作った床下に上からコンクリートを流し込みます。そんでこのコンクリの新しい床から既存の壁との間に隙間ができるように壁を立ち上げます。この場合隙間は大きいほど良いです。その隙間にまたグラスウールを詰めます。天井は既存の天井から防振金具で吊って壁とも同じように防振しながらくっつける、そうすると部屋が二重になりますよね?箱の中に箱があるマトリョシカ的な。イメージできますかね……。
□←こう言う感じ。この黒い枠の部分がでかければデカいほど防音力が高くなります。スペースの無駄は大切。
もず
こうなると中で大音量を出しても振動を殺すものでしか外と繋がっていないため大きく音を減衰することができる、という寸法です。もちろん床にコンクリートを使いましたが通常より分厚く強力な床板を使ったりするパターンもあります(効果は低くなる)。
その上でさらに防音の敵は窓とドアです。窓は作らなければ良いという発想で解決できますがドアはそうもいきません。ドアのない防音室なんか作った日には犯罪を疑われるにきまっています。しかし普通のドアは隙間だらけに加えてあれって骨組みにベニア板貼ってるだけのやつなのであんなの付けたら台無しです!
なので分厚い金属扉をつけるんですね。おまけにガチャっとして密閉するやつ。スタジオでよく二重のドアになってるのは部屋の中に部屋があるので二つつけるだけの壁の厚みがあるし、一つよりは二つの方が音を漏らさないからです。つまり別に足りてるなら一つでも良い。
さのすけ
ここまで話を聞いて皆様の感じたことを当てますね。"それ、ガチで力技じゃない?"
ハイ!正解です!防音とは力技なのです!単純で規模の大きい力技による解決!
それが防音!何一つマジカルじゃない!浮かす構造にする理由も振動を殺さないでいるといくら分厚くても直接叩いたら音がするじゃない?それを防ぐためです。
縁切りっていうんですけど。しっかり縁切りしとけば振動がお隣に伝わりません。当然ですがそうやって縁切りされて浮いてる部屋は安定してるとはいいがたい為床に分厚いコンクリートが敷かれるわけですね。
壁とかも床についてるから床の強さイコール部屋の強さといって過言ではないですし個人的にはコンクリ一択です。質量は裏切らない。
いや本当にこれだけなんですよ。何を言っても防音とはマジのマジでこれだけ。本当の意味で防音をしたいならこの構造以外では止めることは難しいです。
もず
さて、そうやって出来上がる防音ですが、これだけでは音楽はできません。
なぜかと言うと防音はその特性上密閉されていますので音の逃げ場なんぞありません。
そんな中ででかい音を出した日には当然反射の限りを尽くすに決まっています。風呂場みたいなもんですよね。そこで壁に音の反射を抑えるためにグラスウールなんかを貼り付けていきます。ほんと何度も出てきてるけどスタジオってグラスウールの出現率やばいんですよね。自分のスタジオ作った時運び込まれた山のように積まれたグラスウール見てこのサイズの内装作るために何軒分の資材使うんだ?って思いましたもん。本当に綺麗さっぱりなくなってたからほんとに使ったろうなあ。
さのすけ
こうやってひとまず音を鳴らしてなんとかなる環境が出来上がったらリハスタとしての運用が可能になります。
ただ吸音して防音しただけでもリハスタなら音量もクソデカだし使えます。音がいいリハスタとかレコーディングスタジオとしての運用はやや難しいです。
なぜならこの状態では部屋の形の影響や様々な要因で音の響きがおかしくなってるためです。そこで調音と呼ばれる響きの音質を調整しいい感じにするための作業をするんです!
レコスタとかに興味ある人はたまに写真見ると思うんですけど変な多角形の形してたり天井がなんか傾斜ついてたりよくわかんない穴空いた壁あったり凸凹の木がついてたりするじゃないですか?あれは全ておしゃれじゃなくて意味があるんです!
まず直角があると音がその間で反射しまくって溜まる現象が起きるのでそもそも角をなくしたり角にその溜まる音を殺すためのパネル置いてたり、天井と床が平行だと音が上下で無限反射して鳴りが生まれるので傾斜つけたり、音を拡散させることでふわっとさせようとして表面積増やすために凸凹にしたり、あとは穴はあれは低音の吸音がしたい時のやつですね。このようにいろんなことをしてなんとかしていい音にしようと必死に工夫をしたものがレコーディングスタジオ、ないしはオーディオルームになります。
いやほんとにこうやって涙ぐましい努力の果てにレコーディングスタジオが生まれ、日夜そこで録音作品が作られるわけです。
こうでもしないとマジで無理なのよ、普通の部屋でやったら反社会的行いだからね。
こうして生まれるのが皆さん大好き岸田教団の音なのです。
最高にかっこいいライブもリハスタあってこそ
さて、ここまでレコスタの建築について語ってきましたがいかがでしょうか?
なんとなく日頃使ってるかもしれないリハスタとかレコスタに感謝の気持ちが湧いてきましたか?岸田さんは最近結局防音あんまりしてない調音だけしっかりした部屋で大音量出した方が楽しいなと思い始めたので人がいないところに建物を建てることが一番良い"防音"じゃないかなあと思っています。それでは皆様ありがとうございました。
リリース情報
岸田教団&THE明星ロケッツ「異世界転生したらベストアルバムでした。」
DISC 1
01. HIGHSCHOOL OF THE DEAD
02. ストライク・ザ・ブラッド
03. GATE~それは暁のように~
04. GATEII~世界を超えて~
05. 天鏡のアルデラミン
06. Blood on the EDGE
07. ストレイ
08. シリウス
09. Blood and Emotions
10. nameless story
11. 暁のカレイドブラッド
12. HIGHSCHOOL OF THE DEAD [2021]
※1~11曲目はオリジナル音源、12曲目は再レコーディングした音源。
01. ナイトウォッチ
02. POPSENSE
03. ワールド・エンド・エコノミカ
04. over planet
05. ハンゲツトウゲ
06. another
07. Hack&Slash
08. 希望の歌
09. Reboot:RAVEN
※1~9曲目は再レコーディングした音源。
・HIGHSCHOOL OF THE DEAD[2021]MUSIC VIDEO
・岸田教団&THE明星ロケッツZeppDiverCity 配信ゴリラライブ映像