唯一無二であり続けるロックバンド・クイーンの軌跡 『QUEEN 50周年展 -DON’T STOP ME NOW-』内覧会レポート
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『QUEEN 50周年展 -DON’T STOP ME NOW-』フォトセッションにて。左から:東儀典親、東儀秀樹、ハラミちゃん、東郷かおる子
2021年11月12日(金)から2022年2月13日(日)まで、渋谷・西武渋谷店 モヴィーダ館にて、『QUEEN 50周年展 -DON’T STOP ME NOW-』が開催されている。本展は、イギリスのロックバンド・クイーン(QUEEN)の結成50周年を祝した企画で、クイーンの活動の軌跡を彼らの音楽と共に辿るものだ(※1971年にフレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの4人になってからの50周年)。ここでは、特別内覧会の様子をプレス限定イベントとともに紹介しよう。
進化し続けるロックバンド、クイーン
東儀親子も魅了される普遍性
プレス限定イベントでは 、雅楽師の東儀秀樹、ピアニストでYoutuberのハラミちゃん、“最もクイーンに近い編集者”とされる音楽評論家の東郷かおる子が登壇した。
左から:東儀秀樹、ハラミちゃん、東郷かおる子
東儀はクイーンを「進化し続けるロックバンドで、唯一無二の個性」と絶賛し、彼らの魅力は50年経っても古くならない普遍性にあると語った。また、ブライアンが父と一緒にギターを作ったエピソードに倣い、自身も14歳の息子・典親(のりちか)とギターを作ったこともあると話した。
ハラミちゃんは会社員時代に体調を崩したとき、クイーンの曲に救われたそうだ。また「都庁おもいでピアノ」で演奏する際、海外の方が多く来ていることに気づき、クイーンの曲を選んで披露したという。イベントの最後には本展のサブタイトルにもなっている楽曲「DON’T STOP ME NOW」を披露し、会場内を魅了した。
演奏中のハラミちゃん。「DON’T STOP ME NOW」のピアノ演奏で会場を魅了した。
会場案内タブロイド冊子「QUEEN TIME」を手にして会場を巡回
クイーンが活躍した時代の空気を体感できる没入型の展示
会場は西武渋谷店 モヴィーダ館6階・7階の2フロアに分かれている。6階ではクイーンの歴史を節目に沿って紹介しており、デビュー時期に使ったスタジオやライブハウスを再現した【SCENE1】、「ボヘミアン・ラプソディ」が生まれたロンドン郊外のスタジオを体感できる【SCENE2】、1979年の世界ツアー『LIVE KILLERS』のステージセットがある【SCENE3】、飽くなき挑戦の様子を示す【SCENE4】、ライヴエイドの映像が流れる【SCENE5】、クイーンが王者であることを物語る【SCENE6】、フレディとの別れとこれからもクイーンが続くことを示す【SCENE7】という構成になっている。7階には、150インチの4面マルチスクリーンからなる「Immersion Theater(イマージョン シアター)」が設置され、1982年に開催された西武球場での貴重なライブ映像を鑑賞することが可能だ。
7階の「イマージョン シアター」入口。ブライアンが使ったピックや弦、ロジャーが使ったドラムスティックなどを見ることができる。ロジャーのドラムスティックは、日本公演の際に実際に使用されたもの。
本展には展示に没入できる仕掛けが凝らされている。まず会場の入口で、ここでしか手に入らないタブロイド風フリーペーパー「QUEEN TIME」を入手しよう。ロンドンでは1960年代から、こうしたフリーペーパーが各種のエンターテインメントの情報を発信してきたという。「QUEEN TIME」を手にして展示空間を巡回していると、まるで各時代に入り込んだような気持ちになれる。【SCENE2】では当時の音楽紙が展示されているので、外観を比較しても面白い。
会場案内タブロイド冊子「QUEEN TIME」。
1974〜74年当時のイギリス音楽紙。
【SCENE1】や【SCENE2】は、クイーンが活躍した時代を意識させる展示だ。ライブハウスなどを模したセットの中で、名曲が流れるBGMを聴きながら展示を進んでいると、彼らの音楽が世を席巻した当時のカルチャーを肌で感じられるようだ。
【SCENE1】の展示風景。セットの看板や煉瓦がレトロな雰囲気。
【SCENE1】の展示風景。
【SCENE2】の展示風景。クイーンが活躍した時代の空気が漂う空間。
なお、【SCENE3】の『LIVE KILLERS』や7階には撮影可能なフォトスポットもあるので、ぜひここでお気に入りの1枚を収めて欲しい。
【SCENE3】の展示風景。『LIVE KILLERS』のフォトスポット。
7階のフレディの像があるフォトスポット。
ゴージャスな再現衣装や直筆アンケートなど
クイーンの変化を追いながら鑑賞できる
会場にはフレディの衣装が複数展示されている。最初に目にするのは高名なデザイナー、ザンドラ・ローズの手による「白鷺ルック」の再現衣装で、ウェディングドレスから着想されたという斬新で華麗なものだ。長髪で細身のフレディがこの衣装で歌う姿は異国の王子のようで、多くのファンを魅了した。
有名な白鷺ルック。斬新で華麗だが清楚な雰囲気も漂う。
オリジナルメンバー4人でのラストツアーとなる『マジック・ツアー』(1986年)。その初日アンコールでお披露目されたマントと王冠の再現衣装も展示されている。深紅のヴェルヴェットにオコジョの毛皮がついたゴージャスな衣装を着たフレディは、観客に向かって王冠を掲げ、まさしく王者の風格だったという。これらの衣装は、耽美な魅力で人気を獲得し、やがて頂点に到達するクイーンの軌跡を示しているように思う。
『マジック・ツアー』のマントと王冠。まさしく王者の風格。
展示されている楽器は、メンバーが実際に使用していたものと同じ年代の材料を使って再現。なお、バスドラムのヘッド(ドラムの面に使われる皮)はステージ映えするので、バンドやアルバムを象徴するデザインが採用されることが多い。本展でもロジャーが使っていたヘッドのデザインの移り変わりを堪能できる。
ロジャーのドラムキット、ジョンのギター、ブライアンのギターの再現。ドラムヘッドも迫力があってスタイリッシュだ。
フレディが描いたイラストやメンバーの歌詞カードなども、書き手の癖や遊び心が伝わってきて味わい深い。なお、イラストや文字などの多くは複製だが、【SCENE2】に展示されているアンケートは直筆。影響を受けたアーティスト、好きな食べ物などが分かり、今や神格化された彼らを身近に感じられるだろう。
中央手前はフレディの手によるロゴとクレスト(紋章)の複製。クレストには4人の星座があしらわれており、背後で見守るのは不死鳥。
楽曲「手をとりあって」の手書きの歌詞カードの複製。歌詞と落書きのようなイラストはフレディによるもの。
貴重な直筆アンケート(1975年)。
ライヴエイド後の展開も紹介
貴重な映像を見ることができる、盛りだくさんな内容
本展では映画『ボヘミアン・ラプソディ』では描かれなかったライヴエイド後の展開も紹介している。ライブツアー『マジック・ツアー』の開催、アルバム『ザ・ミラクル』のリリース。その後、一曲でも多く歌いたいと願うフレディの要望のもとレコーディングは断続的に続けられ、彼の死後となる1995年、正規メンバーでのラストアルバムとなる『メイド・イン・ヘヴン』を発表。そして結成50年後の現在も、多くの人に愛され続けている。
『マジック・ツアー』最終日、ネブワース・パークのチケット。
1995年リリースのアルバム『メイド・イン・ヘヴン』。フレディ存命中の発表は叶わず、3人で完成させた作品。
ブライアンの最新コメントや、聴衆を魅了した【SCENE5】のライヴエイドなど、貴重な映像が多いのも嬉しい。7階のイマージョン シアターは音が立体的で迫力がある空間が広がる。ここでは彼らのパフォーマンスを堪能しながらクイーンの音楽の世界にどっぷり浸ってほしい。
また、関連グッズも充実している。7階の物販コーナーには、Tシャツやポストカード、マスクにエコバッグ、写真集やDVD、扇子や湯呑みなど、各種のグッズが並ぶ。どれもクイーンの世界観を反映していてスタイリッシュで、ロゴやイラストなども洗練された逸品ばかりだ。
物販コーナー。Tシャツなどのデザインがスタイリッシュ。
物販コーナー。写真集やトートバッグなど、充実の品揃え。
本展を鑑賞して、クイーンはどの時代においてもオーラがあり、音楽もビジュアルもステージも強烈な魅力を放つ、唯一無二の存在であると実感した。メンバー4人それぞれが個性と才能に溢れ、最後にはフレディを守りながら活動したのだろう。世代を超えて愛される彼らの秘密と魅了が詰まった『QUEEN 50周年展 -DON’T STOP ME NOW-』、是非鑑賞いただきたい。
各種授賞式などのパーティーでの一コマで、4人の個性が垣間見える。
文・写真=中野昭子
展覧会情報
主催:QUEEN50周年展 製作委員会
協賛:集英社
公式ホームページ:https://queen-exhibition.jp/
会場:西武渋谷店 モヴィーダ館(〒150-8330 東京都渋谷区宇田川町21-1)
会期:2021年11月12日(金)~2022年2月13日(日)11:00~21:00
※12/31(金)は19時閉館、1/1(土)~3(月・祝)は20時閉館となります。
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当日窓口
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※未就学児は3名まで入場無料