『ミラーボーラー星の旅 PLANET OF MIRRORBOWLER by ELEMENTS』光と反射が自在に操られた、煌めく幻想世界を体験

『ミラーボーラー星の旅 PLANET OF MIRRORBOWLER by ELEMENTS』2021.12.19（SUN）〜2022.2.13（SUN）PARCO EVENT HALL

12月19日（日）から2022年2月13日（日）まで、心斎橋PARCO 14F PARCO EVENT HALLにて、インスタレーションアート集団「ミラーボーラー/MirrorBowler」による初の屋内での大規模個展『ミラーボーラー星の旅 PLANET OF MIRRORBOWLER by ELEMENTS』が開催中。野外イベント、ファッションショー、CDジャケットなど、幅広い表現の場で、光と反射を駆使した斬新な空間作品を手掛けてきたミラーボーラー。彼らの個性と才能を結集した巨大アート作品が、めくるめく幻想世界に誘う。また、会期中にはワークショップも開催される。

2000年から活動を開始した「ミラーボーラー/MirrorBowler」は、グラフィックデザイナー、写真家、照明技師などさまざまなジャンルのメンバーからなるアート集団。21年の活動の中で、今回のような大規模な室内での展覧会は初めての試みとなる。各ディレクターが「宇宙」というテーマを表現し、25人のスタッフでつくりあげた作品はどれも神秘的で、想像力が掻き立てられるものばかり。大阪では過去に阪急うめだ本店や万博記念公園など、さまざまな場所で作品を展示している。「親しみのある場所で開催できてうれしい」と麻田亮代表は語る。

これまでは広大な場所で表現することが多かった空間作品だが、コンパクトな室内だからこそ味わえる没入感も今回の展示の魅力。どこにも存在しない唯一無二の巨大アート作品を入口から順に紹介していこう。

●「小さくて大きな自然と宇宙の軌跡」ダル／ねのうわさ●

地球の植物を保管、研究しているミラーボーラー星の「宇宙庭園」がテーマ。入口すぐでひときわ存在感を放つ巨大なドームには、大きな根と幹、葉が絡まり、中心にある無数のクリスタルの中には、小さな植物の穂、花、実が封じ込められている。箱の中には隣の作品が写り込み、見る角度によって変わる世界はとても幻想的。

●「記憶のかけら」中村則夫●

ミラーボーラー星に古くから伝わる宇宙の遺跡をイメージ。中心のトーテムポールのような謎の物体が光り出し、エネルギーが伝わって宇宙に放射されていくさまを表現している。映すものを伸ばしたり歪めたりしながら輝く頭上のミラーボールと降り注ぐクリスタル。作品の中に入って鑑賞し、一体となることで世界観に浸ることができる。

●「Inner Voice」sakishiraz（さきしらず）●

中心の発光体に目を奪われる作品だが、実はほかの作品から光を受けて輝くという仕掛け。回転したり止まったりする多面体のミラーが、外の光を受けて不規則に光ったり、そこに自分が写り込んだり。「人こそ人の鏡」ということわざがあるように、じっくりと対峙すれば、自分を見つめ直すことができる作品だ。

●「WAREE 宇宙まん華鏡1.1」高木博史●

ほおずきのようなドームの中には宝石のように輝くオブジェ。飛び出す五角形の突起物はのぞきこむと万華鏡になっていて、視界いっぱいに未知のワンダーランドが広がる。そこには作者の今までの作品、塗装作業をしている様子、近隣の散歩道……身近なところにも宇宙があるということを教えてくれる。万華鏡は車椅子の人や小学生でも観ることができる高さに設置されている。

●「Light The Light」船木傑●

一番奥で優雅な空間を演出する作品。中心の光源は太陽を表している。スパークしてまわりには火花が散り、すべての生き物にとっての生きる源である光になる。その回りを一周する白と黒の布は、光と影を表現。光があるからこそ、360度あらゆるところに存在する色にも注目してほしい。

●「彩龍舞 chaos＆rebuild」北狼●

天井に輝く大迫力の龍は、「混沌と再構築」をテーマに、作者ひとりで一か月半近くかけて作りあげた作品。鱗も腹も七色に輝き、手に宝珠を持つ龍は、ミラーボーラー星の守護神のごとく、全作品にエネルギーの導線を作る役割を果たしている。

●光、音、香り、すべての感覚に身をゆだねてみよう●

ミラーボーラーの作品は、目の前に見える世界がすべてではない。作品ごとに緻密に組み立てられた照明演出は時とともに変化し、壮大なストーリーを感じることができるので、時間をかけてじっくり鑑賞してみよう。

宇宙をイメージさせるさまざまな音も世界観を深めてくれる。ミラーボーラーとも親交が深く、世界各地で活躍する個性的な音楽家やDJによる音の演出が異空間へと誘ってくれる。

さらに香りで各作品のイメージを増幅させる演出も。作品に合わせ調合した香りは3種類。花や木などの天然由来素材だけを使って抽出されたオリジナルの香りが脳をリラックスさせ、感覚を研ぎ澄ませてくれる。作品の境界で香りが交じり合った時に、新たに生まれる香りも感じてみよう。

●各作品の中や外には、秘かに仕込まれた隠しアイテムが●

各作品には、ある角度や照明の一場面でしか見えない隠しアイテムが仕込まれている。そして、宇宙を旅して幸せを届けるお花屋さんの宇宙人「モッケル」が暮らす世界があちらこちらに。小さくてキュートな宇宙人を探してみて。

●ワークショップでクリエイティブな表現を体験●

ホログラムの加工をされた特殊な折り紙キットを使って、ランプシェードを作る「オリガミアート」、展示作品にも隠れている「宇宙を旅するお花屋さんモッケル」を羊毛フェルトで作る「羊毛フェルトアート」など、会期中は作品を手掛けたミラーボーラーのアーティストによるワークショップも開催。いずれも「ミラーボーラー星の旅」公式サイトより要予約、定員に達し次第締め切り。定員に達しない場合は、ワークショップ当日に先着順で参加可能だ。

また、ミラーボーラーのアーティストがデザインした会場限定オリジナルグッズや、アーティストの作品なども販売。会場で使用されている天然原料のアロマミストも販売されている。自宅でも香りを楽しんで「ミラーボーラー 星の旅」の記憶へ旅してみよう。

日本の文化・自然を慈しみ、そこから得られるインスピレーションを大切にしたミラーボーラーの作品たち。会場内は決まった順路があるわけではないので、好きな順番で、好きな場所で、作品の中から外から、自由な場所で鑑賞してみよう。二度と同じ瞬間に出会えないミラーボーラーワールドは未体験の感動を与えてくれる。

取材・文＝岡田あさみ　撮影＝福家信哉