アイビーカラーが会心の 5thミニアルバム『tomorrow』を引っ提げて冬の日本列島を駆け抜けた東京でいよいよファイナルを迎えた

2022.2.8
レポート
音楽

アイビーカラー

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アイビーカラー tour2021-2022歓びの明日へツアーファイナル 2022.01.22@恵比寿LIQUIDROOM

「明るめで前向きな曲が多め」(碩)で、「ライブ映えする曲が多く」(佐竹)収められた、会心の5thミニアルバム『tomorrow』を引っ提げて。冬の日本列島を駆け抜けた〈アイビーカラー tour2021-2022歓びの明日へ〉が、ここ東京でいよいよファイナルを迎える。ライブハウスを取り巻く環境は相変わらず厳しいが、今だけはすべて忘れて音楽に浸りたい。笑顔で手を振りながらステージに登場したメンバーも、熱い拍手で迎えるオーディエンスも、この日にかける思いは一つだ。

「ツアーの最後の日、幸せな一日にしましょう。ワンマンライブ始めます!」(佐竹)

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1曲目は「OCEAN」。酒田 (Dr)が、力強く前進するビートを叩き出す。碩 (Ba)と川口 (Key)が、オーディエンスにクラップをうながす。佐竹 (Vo&Gt)が、芯の強さを柔らかな布でくるんだような独特な歌声を、しっかりと響かせる。曲は、伸びやかに転げまわる川口のピアノが印象的な「魔法をかけて」から、「short hair」へ。明るくポップな曲調に、センチメンタル多めのメロディとピュアな恋愛詞がよく似合う。一転して「L」は、ぐっとシリアスに緊張度高めに、酒田のラウドなドラム、碩の骨太ベースがぐいぐい迫る。ステージを照らすライトはレッド、そしてブルーへと激しく揺れ動く。ツアーファイナルにふさわしい気持ちの昂ぶりと、完成度の高い演奏ががっちり組み合った、万全のアンサンブルだ。

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「このステージに立たせてもらった以上、全力でみなさんにアイビーカラーの音楽を届けていきたいと思います。思う存分、ライブハウスで青春していってください」(佐竹)

歓びと寂しさが相半ばするツアーファイナルの感情と、コロナ禍でも会場に足を運んでくれたファンへの感謝と。佐竹のMCは親しみやすく誠実だ。アコースティックギターで歌う「青い風」は、会場いっぱいのクラップに支えられ、どこまでも明るく爽やかに。「街角のラプソディ」は、ホーンセクションの音色を添えて、とことん楽しく賑やかに。「カフェ」もリズミックな曲だが、こちらは切なさと儚さを少し多めに。『tomorrow』のリリースインタビューで、「曲によって色が全然違う」(川口)と話したそのままの、カラフルな楽曲の繊細なグラデーションが楽しい。

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今からの時間は、ゆったりと、まったりとした曲が続きます。座って聴いてください。――ボーカルがアコースティックギターでしっとり歌い、リズム隊がシンプルにボトムを支え、ピアノが感情豊かなメロディを添える、曲は「tiramisu」。甘くて少しほろ苦い、大人の味がする恋愛ソング。そして「orion」は、川口の弾くクラシカルなピアノの音色が胸に沁み入るバラード。柔らかいブルーとイエローのライトが、控えめにステージを盛り上げる。ワンマンライブでこそ映える、ぜいたくなひととき。

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佐竹と川口の二人だけで演奏した「雨」も、ワンマンライブでこそ映える1曲だ。どこまでも純粋で透明なピアノバラード。今日は帰したくないという言葉が言えず、終電に乗る彼女を見送る男のラブソング。佐竹の歌が、ほかのどの曲よりも凛々しく男らしく響く。そう、佐竹の声にはあなたが思う以上に強い側面がある。再び4人のアンサンブルで、クールで大人びたファンキーなグルーヴを持つ「ライター」は、『tomorrow』の中でも新境地を示す大事な曲。ライブチューンとしての魅力も大きい。

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2月でバンド始動から6年経つこと。最初の東京ワンマン、ラストソングで号泣して歌えなかったこと。過去を振り返るエピソードを笑顔で語る佐竹をはじめ、バンドは確実に成長した。「6年間の過去をすべてひっくるめて、今このステージで歌っています」という言葉は、飾らない本音だろう。ライブ後半は「夏空」から「Once」へと、ぐんぐんテンポを上げながら快調に疾走する。会場いっぱいのクラップが、それを加速する。哀愁をたたえた「春を忘れても」が、和風情緒を添えて豊かに響く。曲の並びがいい。

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ライブはいよいよ終盤だ。忘れたはずの人をふと思い出す、確かに自分が誰かを愛していたことを思い出す――。そんなMCに続き、万感の思いを乗せた佐竹の独唱から始まる「東京、消えた月」。せつなさが疾走する「アカツキ」。ストリングスを添えたロックバラード「冬のあとがき」。透明なセンチメンタリズムとノスタルジーで彩られた3曲のラブソングは、アイビーカラーの揺るぎない定点であり、このライブのハイライト。佐竹の書くラブソングがリアルであり続ける限り、サウンドがどんなに進化しても、アイビーカラーは決してぶれることはないだろう。

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「この先、大きなステージや、有名なテレビ番組に、自分が立ちたいと思うより、みんなを連れていきたいなという気持ちが大きいです。2022年もしっかりと、みなさんと目と目を合わせて音を鳴らせるライブを、頑張ろうと思います。そう思えたのは、みなさんのおかげです。ありがとうございます」(佐竹)

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ラスト1曲、大事な歌を歌います――。そう言って歌った「夏の終わり」。風景と心象。リズムとメロディ。はかなさと強さ。あらゆる意味でアイビーカラーらしい1曲。佐竹の歌が少し震えているように聴こえたのは、気のせいだったろうか。音にこもる感情の周波数が、とても多い。激しい。会場いっぱいに共鳴しているのがわかる。

アンコールでは、うれしいお知らせがあった。「失恋」をテーマにした三部作リリースと、ミュージックビデオの制作。会場内スクリーンで、第一弾楽曲のミュージックビデオをチラ見せしたあと、アンコール1曲目はその曲を生演奏で初披露する。「次で最後にしてね。」と題した曲、なんと碩がベースを置いてシンセベースを弾き、酒田も電子ドラムのパッドを使って繊細なビートを響かせる。アイビーカラーらしいセンチメンタルなミドルバラードでありつつ、エレクトロな要素も加えた新機軸だが、違和感はない。これは「有り」だ。

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今年は三部作を頑張りたい。2023年はホールでやりたい。いろんな場所でいろんなアイビーカラーを見せたい――。佐竹の言葉がはずんでいる。バンドはすでに未来を見ている。ラストチューン「オルゴール」は、楽しく盛り上がった映画のあとのエンドロールのような、優しく包み込む味わいのスローバラード。最後に「幸せなツアーでした。ありがとうございました」とひとこと。過去と未来を見据えながら、バンドの現在地をしっかりと確かめるようなライブ。アイビーカラーは前進する。今年も目を離さないでおこう。

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取材・文=宮本英夫 Photo by @tetsuyayamakawa

 

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