今のUVERworldが一番かっこいいということを見せつけた『彰生誕祭』レポート
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UVERworld 撮影=Shinsuke Tanoguchi
UVERworld LIVE HOUSE TOUR 2022~NEVER ENDING WORLD~
2022.3.8 Zepp Haneda (TOKYO)
14日間7会場計21公演を行う『UVERworld LIVE HOUSE TOUR 2022~NEVER ENDING WORLD~』を敢行中のUVERworldが3月8日、『彰生誕祭』を東京・Zepp Hanedaで開催した。
この日、誕生日を迎えた彰(Gt)が選曲したセットリストを演奏した2時間の熱演は、サプライズあり、彰ならではと言えるレア選曲あり、彰による見せ場ありの、ふだんとはちょっと違う見どころ満載のライブとなった。
しかし、何と言っても一番の見どころは、序盤でTAKUYA∞(Vo)が宣言したとおり、今のUVERworldが一番かっこいいということを見せつけるライブになったことだろう。
『彰生誕祭』の文字がバックドロップに映し出され、1階席と2階席を埋めた観客が力強い手拍子で迎える中、ライブはいきなりサプライズで始まった。自分が鳴らした音が他のメンバーと違うことにきょとんとしている彰にTAKUYA∞が声をかける。
「ハッピーバースデー! 彰!! サプライズで行くよ。来てくれてるぜ!」
すると、青山テルマと愛笑むが登場し、バンドの演奏は彰だけが知らされていなかったパーティーチューン「SOUL (feat. 青山テルマ & 愛笑む)」になだれこむ。そこから、「何年ぶり!?」というメンバー自身の驚きに客席から拍手が沸きおこった「endscape」、さらに「ROB THE FRONTIER」と疾走感が心地いいロックナンバーに繋げ、後者では疾走感の一言には収まりきらないドラマチックでエキセントリックなアレンジで序盤から観客の気持ちをぐいぐいと煽っていく。
「最高のバースデープレゼントは、今のUVERworldが一番かっこいいと見せてやることだ!」とTAKUYA∞が宣言し、バンドが披露したのは、昨年12月にリリースした最新アルバム『30』からの「AVALANCHE」。直前の2曲から一転、壮大なサウンドとともに、心で感じ取ったことを信じるんだというメッセージを届ける。そして、「次の曲をやっていたのは15年くらい前。その頃のみんなの声が脳裏に残っている」(TAKUYA∞)と披露した「just Melody」では彰がタッピングを交えながら、せつない楽曲を彩るように印象的なギターフレーズを加えていった。
その「just Melody」をはじめ、この日のセットリストには、楽曲の輪郭を描く役割を担うソリッドなコードストロークに加え、彰のプレイが際立つ曲が多めに選曲されていたように感じられたのだが、やはり彰が奏でるイントロのギターリフが印象的な「NAMELY」を演奏した直後の、セットリストを作る時のテーマを尋ねたTAKUYA∞と彰のやり取りは以下の通り。
彰:ツアーを回ってきて、この曲、こんなに歓ばれるんだというのを加味して、僕のクセというか(笑)。
TAKUYA∞:(この日のセットリストには)彰の作曲した曲、多いもんね。みんなの聴きたい曲と俺たちが気持ちいい曲を合わせてきてるよね。(独り善がりにならないところは)プロだよ。
そんなふうに彰を称えたTAKUYA∞はこの日、彰が作ったセットリストについて、「歌唱の難易度が高い曲を選ぶから、俺はあんまりやらない曲が多い。だからおもしろいんだけど(笑)」と言っていたことも付け加えておきたい。
前述した「just Melody」から、本来の1曲目だった「撃破」「ゼロの答」「GROOVY GROOVY GROOVY」「Making it Drive」とアッパーなロックナンバーをたたみかけ、「NAMELY」から、バラードの「えくぼ」、メンバーを《本当の命の恩人》と称える「OUR ALWAYS」をじっくりと聴かせた中盤では、Zepp Hanedaにほど近い一軒家でメンバー6人が共同生活していたことや、TAKUYA∞と彰がよく一緒にドライブしたという上京直後のエピソードも披露した。
「えくぼがある人は前世で出会った忘れたくない人を探してるんだよ。1000年の孤独を耐えてもまた会いたいと思える人を見つけることが大切なのかなと思いました」と「えくぼ」に込めた思いを語ったTAKUYA∞は、「OUR ALWAYS」を演奏する前に「UVERworldに会いたいから、次、生まれかわる時は、えくぼつけてくるよ」と照れくさそうに笑った。「えくぼ」と「OUR ALWAYS」を繋げた彰もさることながら、その2曲の流れにバンドのストーリーを重ねるTAKUYA∞の演出(という言葉を使わせてもらうが)も心憎い。
ただ曲を演奏するのではなく、そんなふうにステージで演奏するたびごとに楽曲に新たな命を吹き込んでいくのが、UVERworldのライブの醍醐味でもあるのだが、「メンバーの音にもメッセージがある。それを受け取ってくれ!」(TAKUYA∞)と後半戦のスタートを告げるように始まったインストの「和音~over the stoic」では、彰、真太郎(Dr)、信人(Ba)、克哉(Gt)、誠果(Sax/Manipulator)がソロを応酬。そこから彰の激しいトレモロカッティングとともになだれこんだ「一滴の影響」、彰と克哉がハードロッキンなリフを奏でる「DISCORD」とアップテンポのロックナンバーをたたみかけていく。彰がコードを刻む「DISCORD」のスピーディーなリズムギターがメタリックで、なんともかっこいい。
「(ライブに)規制はあるけど、奪われてないものがまだまだいっぱいある! この曲は昨日の昼公演でも夜公演でもやってない。もう、いつでもやる曲じゃない。この曲をやるのは最高の一体感が欲しい時だ!」
TAKUYA∞が声を上げながら演奏したラップロックナンバー「IMPACT」。「ここから数分間、世界の中心は、ここZepp Hanedaだ!」というTAKUYA∞の言葉に応えるようにダンサブルなビートに合わせ、観客全員がジャンプ! 2階席にいても、その振動がわかるほど揺れるフロアを見ながら、彰が快哉を叫ぶ。
「圧巻でした!」
もちろん、まだ終わりじゃない。
「ライブハウスは本当に大事にしていかなきゃいけない」と久々にライブハウスを回るツアーの中で改めて感じた思いを語り出したTAKUYA∞は続けて、2年前、コロナ禍よって、自分たちが拠りどころとしていたライブを奪われた、自分の人生の正体がわからなくなったこと、そこから50日くらい曲を書かなかったことを語ると、「もう一度曲を書こうと思ったとき、この曲が生まれた」と次に披露する「EN」を紹介した。
「この曲は絶対に外せない何曲かの1曲。この曲ができなかったら、俺はもうステージに立つ意味がないと思ってる。それくらい大事な曲。ミュージシャンなら、どんなに悔しいことも、悲しいことも、許せないことも5分の曲に込めて生きていきたい。これが今のUVERworldのすべてだ!」(TAKUYA∞)
UVERworldの新しいアンセム「EN」におけるTAKUYA∞の歌唱は、いわゆる歌ではなく、《願う以上に自分で変えろ!》をはじめ、どう生きていきたいかという信条を飾らず、ストレートに言葉にしたスポークンワードが、「EN」を作るとき、メロディに収まりきらないほど言葉が溢れ出てきたことを想像させるのだが、そんな歌詞をTAKUYA∞は今この瞬間の感情に突き動かされるように即興で変えながら、新しい命を吹き込んでいった。
「来年の誕生日に、みんなで歌うまであきらめたくないんだ!」(TAKUYA∞)
メンバーが歌う《I’m gonna go go》 というシンガロングに支えられながら、TAKUYA∞が届けたメッセージに観客がこの日一番大きな拍手を贈った。
「ラスト2曲。早くみんなで歌いたい! まもなくやって来る。過去以上の未来が来ると信じています。そんな思いを込めて、ラスト2曲歌います!」(TAKUYA∞)
この日、彰が選んだ最後の2曲は、TAKUYA∞曰く「今最高のUVERworldを象徴する」ダンサブルなロックナンバー「One stroke for freedom」とオールディーズ風のバラードの「終焉」だ。
「なぜ、俺たちが強気でいられるか。それは愛すべきものと守るべきものをわかっているから。誰かに愛されたいなら、一番近くにいる人を愛すればいい。俺たちにはあなたたちだけがいればいい」(TAKUYA∞)
ファンのシンガロングを同期で重ねた前者、再会を誓う後者。ともにファンに対するバンドの思いが感じられたが、全国各地のライブハウスを回りながら、アリーナでは見えづらかったファン一人ひとりの顔をしっかりと目に焼きつけられたことで、ファンの存在や、そんなファンと一緒に声を出しながら最高の空間を作りたいという願望がこれまで以上に大きくなってきたようだ。『30』からの曲にファン切望のレア曲を織りまぜたセットリストにも、そんな気持ちが込められていたに違いない。
今一番かっこいいUVERworldを見せつけながら、6人は、そんなことも思わせてくれたのだった。
「最高の夜を共有してくれてありがとうございました。最高の未来で会いましょう!」(TAKUYA∞)
2時間の熱演を締めくくったのは、そんなふうに声を上げたTAKUYA∞をはじめとする6人の笑顔だった。
取材・文=山口智男 撮影=Shinsuke Tanoguchi