『H ZETT M、まらしぃ、岸本亮』最注目の鍵盤奏者3人に対談形式でインタビュー。ピアノトリオが3つで共演する、新しいイベントの形に注目。
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PianoTrioTogether
現在大注目の鍵盤奏者3人が集結。ピアノトリオ3組によるイベントとは。PianoTrioTogetherが投じる、新たなイベントの形。
「ピアノトリオ」この言葉を聞いてどのような演奏形態を思い浮かべるだろう。ピンと来る人も来ない人も、様々なCMや映画などの音楽などなど耳にしている人は多いと思う。インストゥルメンタル。つまりメインのフレーズを奏でるのは歌ではなくピアノ。そこにドラムとベースというリズム隊が絡まり合い、様々なジャンルの様々な旋律を産み出していく。それこそ昔からポピュラーな演奏形態として存在し、進化を続けるジャンルでもあるのだが。
ただ現在では、その形態にてそれこそ様々な音楽的要素、ジャンルのクロスオーバー、多様なアプローチでそれらを解釈し、表現された音楽がじわじわと盛り上がりを見せている。
そんな中でも鍵盤奏者として、各シーンにおいてひときわ輝きを放つ3人。
オフィシャルでは別人設定になってるものの、過去PE'Z、東京事変のメンバーでもあり、椎名林檎などの鍵盤としても活躍し、現在自身のH ZETTRIOを率いる『H ZETT M』。
動画サイトへのピアノ演奏動画の投稿をきっかけに人気を博し、トヨタ自動車のアクアのCMでの「千本桜」の演奏も記憶にあたらしい、自身でもlogical emotionにて活動する『まらしぃ』。
JABBERLOOPのキーボードであり、「現代版ジャズロック」をコンセプトとし業界内外にて注目される、fox capture planの『岸本亮』。
正に一流の彼らが「ピアノトリオ」という形での共演を果たすというのだから注目しないわけがない。
来年2月26日に渋谷O-EASTにて「Piano Trio Together」と銘打ち、以前よりlogical emotionとH ZETTRIOによって行われてきたイベントのvol.3が開催される。今回は前述したfox capture planの参戦によりピアノトリオが3組にて共演。※現在プレオーダー
それぞれが本当にジャンルの違うフィールドで、第一線で活躍する鍵盤奏者でありながら、ピアノを中心としたトリオバンドを組み活動している彼らの取り組みに注目した。
通常のロックやポップスバンドによくある形態での対バンではなく、全てのバンドがピアノトリオという、非常に珍しくも、ここ最近で勢いが増しているシーンに注目し、この3人が引き合い、弾き合うに至った話を聞いた。
――ピアノトリオのバンド形態が3つ集まるというのはかなり珍しいのでは?
まらしぃ:そうですね。中々ないですよね。
岸本:しかもピアノトリオのピアノが三人集まるというのは、バンドのボーカルが集まるというのに近いのかもですね。
H ZETT M:なんかかっこいいですよね(一同笑)
――他の現場ではなかなかない?
岸本:ピアニストが集まるって珍しいかもですね。同じステージでも一緒にあがるというのもピアノに関してはあまりないですしね。
まらしぃ:他のパートの方がいる現場とかだと、割と同じ楽器同士で集まって話すみたいなのが多いので、割と話す人いないみたいなのはありますね(笑)特に僕はキーボードというよりピアノメインなので、なおさら同じ鍵盤でも機材の話なるとまた話に入れないみたいな(一同笑)
H ZETT M:シャイな方も多いですしね。
H ZETT M
――今回この3組で一緒にライブをすることになったきっかけなどは?
まらしぃ:4年くらい前に、カバー曲をピアノで演奏する企画がありまして、その時に僕と『紅い流星』さんというアーティストが先に決まっていたんですね。企画自体は3台ピアノでやるということだったので、そこで『H ZETT M』さんにダメ元でお願いしたのがきっかけですね。
岸本:その時点ではやってくれると思わないよね(笑)
まらしぃ:そうなんです。まさか引き受けてくれると思わなかったんですけど、ご一緒させていただいて。最初お会いした時も、本当に第一線の方なので萎縮するかと思ってたんですけど、めっちゃくちゃ面白い方で(笑)それ以来仲良くして頂いているという感じです。
――なるほどですね。お互いにお互いってどんな風に見てたりしますか?
まらしぃ:岸本さんは、お会いするのは初めてなのですが、動画や音源などは拝見させてもらってて、「なんてお洒落な音楽する人なんだろう」って思ってました。結構岸本さんの演奏されてるオシャレ感は僕にはないものなので、非常に楽しみにしてました。『H ZETT M』さんはプレイなどは勿論のこと、とにかく人柄が大好きで、毎回お会いするのが楽しみなんです。
H ZETT M:うれしいです。僕から見たお二人は、非常に「クレバー」だなという印象を持ってますね。現代に置けるピアニストとして、その辺りも突出しているなと思ってます。プレイもアプローチも。あ、あと存在もクレバーです(一同笑)
岸本:僕からすると『H ZETT M』さんはデビューされた時から拝見させていただいていて、日本のキーボディスト筆頭にいるようなお方なので、プレイも何もかもスター性があるというか、憧れの方ですね。嬉しいことにライブの時にご挨拶させていただいたのをきっかけに仲良くさせていただいています。『まらしぃ』さんは、実はニコ動から知ったのではなくて、話にもありました3Dピアノ(H ZETT M×紅い流星×まらしぃによるピアノのCD企画)からなんですよね。
岸本亮
まらしぃ:あ、そうだったんですか。
岸本:CDも買って聴かせてもらって、そこにカバー曲が入ってたんですけど、僕はその元ネタを知らず、めっちゃいい曲だなと思ってたんですね。でもその曲のプレイがすごく印象的で、これ3Dピアノの中の誰が弾いてるんだろうって思ったのがきっかけですね。それでまらしぃさんだと知って、動画なども拝見するようになりました。それで最近『logical emotion』の演奏も聴いて、千本桜とかも、「これはやられたな」って思ってました。なので、今日お会いできて嬉しいなと。
――ピアノ同士で、このプレイやられたとかあるんですね
岸本:そうですね。プレイ自体もそうなんですが、「千本桜」をピアノトリオでやるということ自体がやられたな。むしろ先にやられたなみたいな(一同笑)
――しかしそれぞれに、ジャンルもアプローチも違うプレイヤー、アーティストだと思うのですが、それぞれのルーツやアーティスト性、今のトリオについてはどんなものだととらえてますか?
まらしぃ:僕の『logical emotion』の場合は、ラーメン同好会からスタートしてるんですね(一同笑)同じ動画サイト出身のメンバーで、スタジオで演奏して遊ぼうみたいなことをやってた中で、今の3人が帰りにラーメンを食べ歩いてるところから(笑)そのうちに3人でスタジオ入ってみようかと。でもやはりすごくプレイも人柄もマッチしていったというのがきっかけだったり。
まらしぃ
岸本:自分の場合は、デビューというか世の中にでていったJABBERLOOPのタイミングの時って、クラブジャズなどの勢いがある時だったんですね。そこから『fox capture plan』を2011年にやりだした時は、そういった流れの中の音楽にもまた違う要素を入れたいという気持ちがあって。それこそ色々なジャンルのバンドと共演したりする中で、ロックなども含むいろんなものを「ピアノトリオ」という形態で新しいものに昇華して表現したいなと思ったんです。つまりシンプルに言うとありきたりですけど、人がやってないものをやりたい、提案したいという思いが強いですね。
――ホントにそれぞれ色々な部分が違いながら、この三者が一緒になってやるというのはとても興味深いです。違うアプローチで3人とも「ぶっこんでる」なと感じるので。何かそれぞれに聞きたいこととかあったりしませんか?
まらしぃ:何ラーメンがお好きですか?(一同笑)
H ZETT M:いいですねーそういうの(笑)
岸本:醤油っすね。
まらしぃ:僕もなんですよー。H ZETT Mさんは?
H ZETT M:ちょっと考えていいですか(一同笑)
――話おかしくなりましたね(一同笑)他にないですか?
まらしぃ:気になってることはあって、『fox capture plan』のバンド名の由来ってなんですか?
岸本:実は、最初ライブが先に決まってて、バンド名決めなきゃっていう時期があったんですね。そんな時にTVをみてたら、ある事件のことをやっていたんですね。それでその犯人の事を「FOXとかF」とかっていうコードネームで呼んでいて、それを捕まえる計画のドキュメンタリーだったのでそこからっていう(一同笑)
H ZETT M:そうだったんですね。
まらしぃ:すごいところからつけましたね。
岸本:響きはかっこいいなーとおもって。
――ユニット名とかってふとしたところからついたりするんですね。そしてこれからそんな3組にてライブも決まっています。それぞれライブについて思うことなどありますか?
まらしぃ:僕らは、『fox capture plan』さんみたいにお洒落でもないし、『H ZETTRIO』さんみたいな演奏でもないかもしれないけど、とにかく一番楽しんでやりたい、楽しんでもらいたいとそれだけを思ってます。
岸本:さっきからの話にもあるように、「ピアノトリオ」という見た目は近いものなんだけど、やってることは本当に3者ともかなり違うと思うんですね。でも表現は違ってもそれぞれが素晴らしいものを届けられるから、どれを見に来たお客さんも楽しめるものになると思ってますし、見てくれた方にはそれをもっと広めてもらいたいなって思ってます。それと、大先輩で尊敬してますけど、ステージに立つ以上は、『H ZETT M』さんにも遠慮せずに最高のパフォーマンスはしたいと思ってます。
H ZETT M:本当に三者三様なんですけど、改めて鍵盤っていいなーって思ってもらいたいなって思います。そして、普通のライブにはない、面白い空気になればいいなって思ってます。
――しかし、歌もなく歌詞もなく、「旋律」というものが展開されていくライブって稀有なものだし、ものすごく興味をひかれます。そして三者三様。このイベントはどんな見どころがあるんでしょう
まらしぃ:僕のところは、ベースの人が変な仮面かぶってたり(笑)異質感と勢いみたいなものは感じてもらえると思います。また動画で聴くのとはまたちがう、生ならではの良さをみてもらえるかなと。
岸本:「ピアノトリオ」ということで、ピアノが注目されますが、やはりドラムとベースを入れたアンサンブルというところでの迫力や曲の展開なども聴きどころになるのかな。でも特にルールのない「好きなように見てもらう」ことができると思ってます。
――H ZETT Mさんはいかがです?
H ZETT M:僕は勿論楽しくやりたいっていうのが先にあるのですが、例えて言うのなら、サッカーのメッシなどのプレイをみて、人は感動するじゃないですか。あれくらい「もの凄いな」というプレイを、曲を音楽で演りたい、と思ってるんですね。なので楽しみながらそれぞれの素晴らしいプレイをみてもらいたいですね。
――どんなケミストリーが起きるのか、それぞれのステージを本当に楽しみにしています。最後にライブにむけてメッセージなどいただけたら。
まらしぃ:正にピアノのお祭りというような日になると思いますので、一風変わったこのお祭りを是非楽しんでください。
岸本:「ピアノトリオ」自体は、昔から色々な方がやっていて、普遍的にあるものだと思いますが。この3人がやっているものは、新しいことだったり、シーンだったりすると思うので、是非この素敵な音達を感じて、聴いてくれる方が増えてほしいと思います。是非遊びにきてください。
H ZETT M:ピアノというのは、本当に楽しい楽器だなと思いますので、改めてこのピアノトリオに触れることで、それを感じてもらえたらなと思います。
――サッカー選手をみて、かっこいいなと思ってサッカーを始める子がいるのと一緒で、皆さんのプレイをみてピアノに憧れる人たちが増えたら素敵だなと思います。ライブ期待してます。
インタビュー/文=秤谷建一郎、カメラ=風間大洋
※現在プレオーダー
一般
H ZETTRIO(H ZETT M/H ZETT NIRE/H ZETT KOU)
logical emotion(marasy/drm/tabclear)
fox capture plan(岸本 亮/カワイ ヒデヒロ/井上 司)