泉ピン子「体当たりでやってます」とパワー全開~村田雄浩、内館牧子も登壇した「朗読劇 泉ピン子の『すぐ死ぬんだから』」記者発表
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(左から)泉ピン子、内館牧子、村田雄浩
東池袋の劇場「あうるすぽっと」開館15周年記念事業として「朗読劇 泉ピン子の『すぐ死ぬんだから』」が2022年8月4日(木)~14日(日)に上演される。8月の本番を前に、トークショーと記者発表が行われ、泉ピン子、村田雄浩、原作者の内館牧子が登壇し、舞台にかける意気込みや期待だけでなく、 生の価値観や終活に至るまで、たっぷりと語った。
本朗読劇は、内館牧子のベストセラー小説「すぐ死ぬんだから」(講談社文庫)を舞台化したもの。ヒロイン・忍ハナは、「先は短いのに、先は長い」これからの人生をどう生きていけばいいかを考える。そしてこう考える「毎日が一生懸命、それしかできない。毒舌、それしかできない。頑固でわがまま、意地悪、それが私。毒を撒き散らしながら生きてやる」と。本作は泉ピン子にとって初めての朗読劇。そしてこれまでの感謝を込めて、御礼行脚のつもりで、全国のみなさまのもとへ、ピン子が行く。
トークショーは、司会の中井美穂の呼びかけで、プリーツがたっぷり入ったエレガントなシャネルのスーツに身を包んだ泉ピン子が登壇するところから始まった。中井から9センチのハイヒールを褒められると「人から見てきれいな姿は自分がつらい。本当はゴムのズボンが楽」と笑いを誘った。「人生は一度だから、着飾って宝石つけて死んでいきたい」と独特の人生哲学を披露した泉。それでも「もう少し貯金しておけばよかったかな……」と夫に話したところ「もう遅い」と一笑に付されたという。冒頭から会場は笑いの波が起こった。
泉ピン子
痛快終活小説「すぐ死ぬんだから」を地でいくような泉は、「富士山や相模湾が見えるお墓には夫ではなく犬と一緒に入りたい」「ボケるのはいやだけど、夫婦はボケたもん勝ちだから最後ぐらい夫に迷惑をかけたい」と語ると来場したご高齢の方々は皆、納得の表情。この作品のオファーがきたとき「内館先生がうちを覗いていたんじゃないかと思うほど、私と同じ思いをしている主人公。私が演じるしかないと思った。この朗読劇を女優業の集大成にしたい」と熱く語った。この朗読劇を企画し、台本・演出を手掛ける笹部博司も、この作品、ピン子さんしかいない!と思っていたそうだ。
内館牧子
そして、次に、作品のテーマを問われた原作者の内館牧子は「人間、年をとったら見た目に気を付けなければならないというのが一番大きなテーマ。人間は中身が大切というけれど、 そういう人に限って手抜きをしている。ナチュラルという言葉は大嫌い。ナチュラルと不精はまったく違う」と話すと会場のあちらこちらで大きくうなずく姿が見られた。「終わった人」(2015年)、「すぐ死ぬんだから」(2018年)、「今度生まれたら」(2020年)と終活3部作を出版した内館牧子の言葉は、さすがの説得力。
村田雄浩
熱くパワフルな女性たちのトークが繰り広げられた後、本朗読劇で共演する実力派俳優 村田雄浩が少々出にくそうに登場。泉と村田は、これまで幾度となくタッグを組んだ名コンビ。 泉が出演を決意するやいなや、村田を指名したそうだ。本朗読劇に出演するのは泉ピン子と村田雄浩の二人だけ。しかし、作品の登場人物はたくさんいる。そのため今回は二人だけで全ての登場人物をこなすという。そんな人々が言い合うシーンでは落語のように演じ分けるそうだ。これもまた見どころのひとつだ。
「セリフを覚えて感情とともに表現する演劇と、そこに書かれている言葉に出会い、読みながらその時に出てきた気持ちで演じる朗読劇はまったく別物 」と村田流のしっかりとした言葉にグッと引き込まれた。朗読劇の本番がどういうものになるのか、期待が高まる瞬間であった。
「体当たりでやってます。たくさんの方にぜひ見ていただきたい」いう泉ピン子。8月4日から14日まで東池袋「あうるすぽっと」で上演され、全国9カ所22公演へと展開されるが、実はそれだけでは終わらなさそうな話しも出た。「全国各地から呼ばれたらどこへでも行きたい。特に内館先生の故郷 秋田ではやってみたい」と全国に向けてメッセージを発信した。泉ピン子の挑戦は果てしなく続きそうだ。
公演情報
会場:あうるすぽっと
台本・演出:笹部博司
作曲:宮川彬良
主催:「すぐ死ぬんだから」製作委員会、 公益財団法人としま未来文化財団
予約・お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799
https://ml-geki.com/sugushinundakara2022/