劇団『ドラマティカ』ACT2 山本一慶・安井一真・松田 岳・山崎大輝インタビュー「『あんスタ!!』キャラクターの関係値も反映されている」
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左から 安井一真、松田岳、山崎大輝、山本一慶
大人気アプリゲーム『あんさんぶるスターズ!!』(以下、『あんスタ!!』)のキャラクターが作中で立ち上げたとされる劇団『ドラマティカ』。舞台版『あんスタ!!』の新プロジェクトとして発足した“劇団『ドラマティカ』”は、昨年2021年10月に「劇団『ドラマティカ』ACT1/西遊記悠久奇譚」が大成功のうちに閉幕し、早くもACT2の公演が間近に迫っている。今回は北村 諒(朝比奈ルシカ/鳴上 嵐役)、橋本祥平(雫 斗真/月永レオ役)がW主演として初参加し、さらに大きな期待が寄せられている。
この記事はACT1から出演している、山本一慶(笠舞 歩/氷鷹北斗役)、安井一真(京極哲太/日々樹 渉役)、松田 岳(ギィ・フェルディナント/乱 凪砂役)、山崎大輝(和蒜 デニス 健治/斎宮 宗役)の4人にインタビュー。ACT1の感想や劇団『ドラマティカ』、原作ストーリーを紡ぐ『あんステ』との違い、そしてACT2のストーリーについてなど、気になるところをうかがった。
(C)ENSEMBLE SQUARE/劇団『ドラマティカ』製作委員会
自分たちが繰り返す公演のループも作品のひとつになれた
――前回の公演を振り返って。反響はいかがでしたか。
笠舞 歩/氷鷹北斗役 山本一慶(以下、山本):前回は『あんスタ!!』のアイドルたちが「西遊記」というテーマの作品を演じるという二重構造になっていたので、お客さんにどう見えているのかが「怖い部分」でもありました。役者ではなく、『あんスタ!!』のキャラクターが舞台を演じているっていうものに見せたいっていうのが最終目標だったんです。
僕も最初はめちゃくちゃ緊張しましたね。第一声がもう北斗では考えられないセリフだったので、どう受け入れてもらえるんだろうなと。でも終わってみて、お客さんから「北斗が演じていた」っていう反響をもらえてひと安心しつつも、“劇団『ドラマティカ』“という舞台の大きな可能性を感じましたね。
和蒜 デニス 健治/斎宮 宗役 山崎大輝(以下、山崎):役がふたつあることによって、通さなきゃいけないフィルターがふたつ存在します。となると役者本人としてはすごく苦しい状況なんですよね。例えばACT1で演じた八戒であれば、「八戒を演じる自分」の解釈や、こういう風にやりたいっていう方向性がある。でもそこにもうひとつ、斎宮 宗がやるんだったらきっとこういう風にやるなというフィルターがある。そこでは自分とキャラクターの考え方が戦ってしまったりとかもあるんです。そうなっちゃうと俺を殺して宗を活かすしかないので、苦しい部分ではありました。でもそれも役作りなので、楽しくないというわけではないです。生みの苦しみですね。
山崎大輝
山本:面白い経験だったよね、劇中劇って。ふたりはどう?
京極哲太/日々樹 渉役 安井一真(以下、安井):お客さんもすごく未知な部分があったと思います。でも「西遊記」という題材も入りやすかったし、すごく良かったって言ってくれる人も本当に多くて。僕としては初日が終わった時の、「おしっ……!」って大きく息を吐いたあの安堵感は今でもはっきり覚えています。
山崎:「できた……!」っていうね。
山本:時間もない中で稽古をしてきて、その心配もあったもんね。
安井:終わった後でお客さんの反応を見た時、すごく安心もしました。
ギィ・フェルディナント/乱 凪砂役 松田 岳(以下、松田):僕はACT1が初めての『あんスタ!!』の舞台ということもあって不安な部分はありましたが、振り返ってみたら楽しい思い出しかありません。みなさん役に誠実ですし、明るいし、作品に対しての打ち合わせや相談もずっとしていて、本当にいい環境でやらせてもらえたなって。そういう作品への熱に引っ張ってもらえたからこそ、すごく楽しかったです。本番では積み上げてきたものを自信をもって出すしかないので、お客さんの反応っていうのは正直あまり気にせずに演じることができました。
そんななか面白かったのは、千秋楽までずっとそういう気持ちを続けられたことです。完成という区切りがあるわけではなく、日々濃度を高めていくっていう作業をずっとやり続けられた作品ってなかなかないです。この作品の魅力に僕もあてられているんだなって思いました。
松田岳
山崎:そうだよね。確かに、毎日違うことをやろうとしてたし、やってて楽しかったよね。毎日違う玉投げてたもん、俺。
山本:そういう新鮮さもあったね。
松田:同じ輪廻を繰り返しているっていうストーリー性も、公演を重ねていくことがこの旅の時間をエンドレスに繰り返しているっていう感覚になれたので、試みとしても面白かったよね。
山本:普通の舞台では新鮮さを保つために一回リセットするという作業が毎回必要なんだけど、ACT1ではそれが要らなかったなとは思う。今の公演も次の公演に活かせるな、というような。自分たちのループも作品のひとつになれたっていうのは、この「西遊記」という題材がすごく役者にとってもいい効果になったのかなとも思いますね。
安井:なるほどなぁ。確かに……!
山本:なるほどって! この4人の中で俺と一真は特にそれを感じているはず。オープニングとエンディングで同じことやっているんだからさ。
山崎:この人、感覚派だからね。
安井:うん、なるほど、そうだ。一慶くんの言うように感じていたって改めて思った。こういう感覚ってなかなか言葉にするのが難しくて。
安井一真
――お客さんの好意的な反応はどのタイミングで感じられたんでしょうか。
山本:楽しんでいただいているというのは舞台本番中にも客席から感じられるものが毎回あります。終わってからSNSなどでも反響をいただいて、安堵や嬉しい気持ちにもなりますね。ACT2の発表時もすごく喜んでいただいて。ACT1が成功したのかなっていう実感にもなりました。
山崎:公演中にくすりと笑っていただいているんだろうなっていうのはその場の空気感でもわかります。そういうところにも好意を感じつつはありましたが、それを聞いて役者が何かを変えるわけではありません。でも純粋に楽しんでいただいているのは嬉しいですね。
――山本さんと松田さんは『ドラマティカ』ACT1とACT2の間に「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Track to Miracle-」(以下、『あんステ』)の公演がありましたが、このふたつは全然違うものなんでしょうか。
山本:全くの別物ですね。『あんステ』はキャラクターが定まっているので、キャラクター像を見つけやすいし、ゴールがはっきりと見えています。今回の『ドラマティカ』ACT2は完全オリジナルです。その分キャラクターに可能性が無限で、そこから何かを見つけ出さなくてはなりません。まず今回の役柄を定めてから『あんスタ!!』のキャラクターとも話し合って作っていかなければならないので、現状まだまだ『あんスタ!!』感は全然ないです。
山崎:僕と岳くんに関してはこれで『ドラマティカ』の方が多くやってますからね。でも原作の『あんスタ!!』のストーリーを読んで、その上で演じてもいるから、全然「大変だ!」みたいな焦りがあるわけではないです。でも完全に別物だなとは、やっぱり思うよね。
山本:今回はACT1よりも更に別物かもしれない。「西遊記」の方がキャラクターもストーリーもはっきりしてるし、見ている側もある程度知識があるところからのスタートで、そこに若干『あんスタ!!』のキャラクターの関係値とかが反映されている。今回はオリジナルストーリーの分、ハードルが上がっていますね。
山本一慶
松田:上がってますね。寄り添えるものがすごく少ないと思う。
山崎:渡される役柄をそのまま僕らがやっちゃうと『あんスタ!!』ではないし、『ドラマティカ』をやっている意味がなくなってしまう。『あんスタ!!』を楽しみにしていただいているファンの方に向けてという部分を少しずつ追加していきたいなって今思っている段階ですよね。
安井:前回の「西遊記」はファンタジーな面が大きかったんですが、今回は時代背景がより現実的、リアリティーがあります。となるとあまり逸脱ができないという点がとても難しいんです。ファンタジーな世界観ではすごく外れたことをしてもそういう世界観なんだと納得できるけど、今回は世界観そのものに現実感があるので、あまり外れすぎることができない。
山崎:渉がファンタジーの人だからね!
安井:そう。渉さんのギャップや彼のキャラクター性も見せたいんですけど、加減を間違えるとそれって「俺」じゃん! ってなってしまって。今自分の中でぶつかっているところですね。どうやって渉さんを見せていこうかと悩んでいます。
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