現代と続縄文時代が交錯する人間ドラマ Stokes/Park 3rd『フゴッペ洞窟の翼をもつ人』稽古場レポート
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Stokes/Park 3rd『フゴッペ洞窟の翼をもつ人』
Stokes/Park 3rd『フゴッペ洞窟の翼をもつ人』が、2022年7月13日(水)より小劇場楽園にて上演される。
Stokes/Parkは白鳥雄介が主宰する演劇ユニットで、約2年半ぶり、3回目となる本公演は、北海道余市町に実在する「フゴッペ洞 窟」という続縄文時代の洞窟遺跡が舞台となっている。
出演は、「円神-エンジン-」の山田恭、飛世早哉香、平井泰成、内田めぐみ、音田栞、山科連太郎、田中達也、十河大地、北村青子の9名。また、縄文太鼓の生演奏で茂呂剛伸の出演も決定した。
若年性認知症を患った母、晴(北村青子)の長年に渡る介護に疲れた様子の誠太(山田恭)。それを見た姉の碧(飛世早哉香)により急遽1 日の休みを貰った誠太は、流れ流れてフゴッペ洞窟に辿り着く。そこでヨシパ(十河大地)という続縄文人の亡霊に出会うところから物語は始まる。
北村青子、山田恭
北村青子、飛世早哉香
稽古では、若いながらも母親の介護に人生を捧げざるを得ない青年という難しい役どころに悩みながら、日に日に役を自分のものにしていっている山田恭。開幕までにどのように作り上げていくのか楽しみである。
山田恭
誠太とは対照的に明るく振る舞うヨシパを、汗だくになりながら演じている十河大地の姿もとても好印象であった。
十河大地
洞窟で偶然遭遇した高校の同級生、江ノ原(田中達也)、夏海(音田栞)、倉科(山科連太郎)の登場シーンでは、江ノ原の強烈なキャラクターにより度々笑い声が聞こえる。
田中達也
山科連太郎、音田栞
高校時代、誠太に救われた経験を持つ夏海が、誠太の心の奥底に隠している「何か」に気付いた時、他人にどこまで踏み込んで良いのかを推し測りながらも、どのような行動を取るのか注目したい。
音田栞
この物語は、現代と続縄文時代が交錯しながら展開する。
続縄文時代のシーンではヨシパの他に、クンプ(平井泰成)、ショ ロ(内田めぐみ)が登場。続縄文時代とはどのような時代だったのかを想像しながら稽古が進められていた。
内田めぐみ、十河大地
平井泰成
本作は、相手を傷つけないために見せる優しい嘘と自分の弱さを隠す笑顔がポイントである。心の内に抱えるものと、外へ出すものが違う人間的な行動に注目して欲しい。 また、コロナ禍で人間関係が益々希薄になり、より一層誰かに頼ることが難しい世の中となっていると感じる今「助けを求めて良いんだ よ」と背中を押してくれる作品となっている。
白鳥雄介
公演期間中、劇場にて北海道余市町の特産品の直売会、「よいちマルシェ」も開催。りんご、ニシンなど地元素材を使った加工品等を販売予定。
文=松嶋奈々夢 写真=金子裕美