カンツォーネからドビュッシー、ジャズスタンダードまで テノール・高島健一郎が「秋」をテーマにリサイタルを開催~ピアニスト・藤川有樹と語る公演への思い
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高島健一郎、藤川有樹
今年2022年5月にオペラシティでのリサイタルを成功させたテノールの高島健一郎が、秋にeplus LIVING ROOM CAFE&DINING(渋谷)で公演を行うことが決定した。ここでは、その企画コンサートの相手役ピアニストの藤川有樹と公演へ向けての思いを対談で語ってもらった。
高島健一郎(以下:高島):10月に東京でリサイタルをやるという事で、2人でコンサートに向けた意気込みを語っていきたいと思います。僕も「あるお」(藤川有樹)も春は日本にいて、5月末にウィーンに帰ってから、久しぶりに会ったんだよね。
藤川有樹(以下:藤川):そうだね。それで健ちゃんから秋をテーマにした日本歌曲の編曲の依頼を頂いて、秋に日本で一緒にコンサート出来たら良いね、という話になったんだよね。
高島:そうそう。きっかけは5月に日本ではじめてリサイタルをやった時に、いろいろと感じたことがあって。
このコンサートは、自分がウィーンで学んだことも含めて、たっぷりとシューマンの歌曲を聴いてほしいなと思ったので、全編シューマンの歌曲集というプログラムだったんだ。
藤川:それは、なかなかに思い切ったプログラムだったね。
高島:自分でも満足度の高いコンサートだったんだけど、意外性も含めてアンコールに日本の有名な「故郷」を、少しアレンジされたものを歌ったんだけど、それがとても好評で、僕自身も日本歌曲の魅力に改めて気づかされた。日本には他にも素晴らしい歌曲がたくさんあるから、その中から歌ってみたいと思ったんだよね。そこで何か良い編曲ないかなと思って探してたんだけど、「あるお」にお願いしてしまった方が早いかなと思いついて(笑)。
藤川:身近なとこに編曲家がいて、良かったね(笑)。
藤川有樹(ピアノ)
高島:そうそう(笑)。あるおは今まで交響曲とか弦楽四重奏曲などのピアノへの編曲はしてるけど、歌ははじめて?
藤川:そうだね。歌は日本の大学にいた頃に日本歌曲の伴奏をしたことはあるけれど編曲、という形では初めてだね。
高島:はじめて歌の編曲をやってみてどうだった?
藤川:やっぱり言葉の意味をイメージしやすい音を書くこと、それから健ちゃんの声という素材をいかに活かせる全体像にするか、って部分に力を注いだかな。
演奏する人を想定してから、その人にあった編曲をオーダーメイドで作るっていくことはいつも心がけているよ。
高島:なるほどね。ちょっとジャズの要素を入れてってお願いをしてみたんだけれども、仕上がりを聴いてすごくカッコよくてびっくりした(笑)。原曲の良さを残しながらも新しさもあって、改めて赤とんぼとか良い曲だなあって思えるアレンジになったと思う。
藤川:ちょっとというか、ゴリゴリにジャズっ気を入れた曲もあるね(笑)。原曲の感じを残しつつどこまで魔改造できるか、みたいにかなり楽しんで書いたよ。
高島:今回は3曲日本の歌をあるおに編曲をお願いしてコンサートで演奏するけど、秋をテーマにした声楽曲とピアノ曲の演奏も楽しみだよね。
藤川:そうだね。僕はドビュッシーの前奏曲の中から「月の光」と「亜麻色の髪の乙女」を弾こうと思っています。彼もジャズの要素を自作品に取り入れた作曲家なんだけれど、特にこの2曲は秋というコンセプトの今回のコンサートと相性がいいかな、と思います。
健ちゃんは日本歌曲の「落葉松」と「カンツォーネ」も歌うんだよね?
高島:そうだね。落葉松は実ははじめて歌うんだけど、昔から歌ってみたかった曲のひとつだったから今回コンサートで歌えるのがすごく楽しみ。カンツォーネはやっぱりテノールの魅力が最大限に発揮されるから、来てくれる皆さんには楽しんで頂けると思う。
高島健一郎(テノール)
藤川:今回のコンサートは「秋」がテーマだけど、「秋」から解釈を拡げて「月」も裏テーマとして2人で意識して、何曲か演奏するよね。ドビュッシー「月の光」の他にも、健ちゃんはベッリーニの「優雅な月よ」とジャズスタンダードの「Fly me To The Moon」も歌うね。
高島:そうだね。イタリアの歌劇の作曲家ベッリーニの「優雅な月よ」は昔から大好きな曲だし、「Fly me To The Moon」は僕ら2人のクラシックの奏者がジャズのスタンダードにチャレンジするのを楽しみにしていて欲しいな。あとはやっぱり僕ら2人の拠点であるウィーンの曲もやっぱり聴いて欲しいっていう事で「ウィーン我が夢の街」も演奏します。やっぱりウィーンに帰ると、のんびりした空気感があって、落ち着くように感じるよね?
藤川:そうだね。歩くスピードとかがゆっくりになるよね。十分に音楽のことを考える時間が街全体にゆったり流れている感じがして、大好きな街だなあ。
高島:本当にそうだね。カンツォーネからドビュッシー、ジャズスタンダードにウィーン歌曲と盛りだくさんなプログラムだけど、10月のコンサートに向けて頑張ろう。もう編曲は完成したから、あとは2人で仕上げていくだけだね。
藤川:また、合わせていくうちにも少しずつ変化していくんじゃないかな、と思うよ。楽しみだね。
高島&藤川:10月に東京でお会い出来る事を楽しみにしています。
取材・文=神山薫
公演情報
日時:2022年10月23日(日)開場18:15/開演19:00
※1ドリンク&1フード別途
「ウィーン我が夢の街」「帰れソレントへ」「赤とんぼ」「燃える秋」
「Fly me to the moon」「月の光(ドビュッシー)」「亜麻色の髪の乙女(ビュッシー)」
主催:イープラス・ライブ・ワークス
問合せ:イープラス・ライブ・ワークス/TEL:03-6452-5650(平日11:00~18:00)
※未就学児童入場不可
※別途飲食代1ドリンク&1フードオーダー必須
※お席は相席とさせていただく場合がございます。その際は座席間にアクリルのパーテーションを設置いたします。
※当会場は座席や家具レイアウトの都合上、楽器編成や演出によってステージの見え方に違いがあり、全体が見えにくいお席も含まれます。予めご了承ください。