「最後までととのってください!」Ran、サウナ好きならではのバースデーライブを開催
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8月14日、シンガーソングライター・Ranのバースデーライブ『Ran 22nd Birthday Live~ととのう~』が吉祥寺SHUFFLEにて行われた。
上京してきて4年経ったという彼女が、これまで歌ってきた楽曲をキーボーディストのAsucahとの2人編成でじっくりと表情豊かに聴かせた2時間弱。ちなみにライブタイトル「ととのう」といえばサウナに入った後の気持ちよさを表す言葉として話題になったが、Ranは21歳でサウナと出会い、その魅力に気付いたという。MCではサウナとの出会いについて熱弁し、来場したオーディエンスの中にサウナ好きがほとんどいないことを知って本気でショックを受けるなど、21歳の彼女を表すようなライブタイトルに関連した話題を天真爛漫に届け、彼女の気さくな面を見せた。
静かなSEとともに登場したRanは、アコースティックギターをかまえ「ご飯の食べ方」を演奏し始める。フロアからは自然と手拍子が沸き、Ranも楽し気な歌声と表情でリラックスした様子だ。「環」でも明るく弾むキーボードのフレーズに乗せて穏やかに歌詞を紡いでいく。無邪気な笑顔と明るくハリのある歌声がオーディエンスの心を弾ませる一方、一変して静かな声で歌い上げた「ビーナス」の、心に迫るような静かな感情表現も魅力的。柔らかいギターストロークが印象的な「17」に続くと、ゆるやかに上下するメロディに乗せて〈空虚な空こそわたしを羽ばたかせる〉というサビの言葉を、伸びやかな歌声で羽ばたかせるように歌った。
「来てくれて本当にありがとうございます。最後までととのってください!」と笑顔で挨拶すると、「せかい」へ続く。柔らかく、静かに歌うその歌声は儚さも感じさせつつ、どこか凛とした佇まいを思わせる。「Sheets」では言葉をこぼすように静かに歌い、サビでは高音を柔らかく響かせた。時に切なげに力を込めながら歌った「靡かない」、淡々と歌詞をメロディに詰め込んだ「廃棄物」と続く。歌割り、歌詞、歌声の質感、ギターを弾く手先の柔らかさ。それらの絶妙な変化と組み合わせが、繊細なニュアンスの変化を生み出していく。小編成だからこそ分かる細かな感情表現をたっぷりと乗せ、Ranの豊かな表現の魅力を伝えた。
「おれんじ」、「夜逃げ」と続けると、「新曲やります!」と「ちょうどいい」へ。明るいピアノのフレーズが手拍子を巻き起こし、はつらつとした歌声がポジティブな歌詞を紡ぐ。「行方」ではAsucahによるピアニカが郷愁を呼び起こし、呼応するようにRanの歌声も柔らかく響いた。
「今日は喋りたいことがたくさんあって、やりたい曲もたくさんあって体力持つかなと思っていたんですけど、本当に楽しかったです」そう語ると、本編最後のナンバー「蘇生」をゆったりと歌う。〈今日も外面は笑っていて心の中では泣いていました〉と心の内側をストレートに書き出した歌詞の楽曲だが、転調してからはそれを明るく響かせ、穏やかに幕を閉じた。
アンコールの拍手に誘われステージに戻ってきたRanは「本編終わったんだね、早いね……」とどこか寂しそうな様子。改めてこの日の公演が完売したことに感激しながら感謝を伝えた。弾き語りで新曲「淘汰」を独白のように歌うと、再びAsucahをステージに飛び込むRan。グッズを身にまとって登場したAsucahは、おもむろにバースデーソングを披露。驚くRanの元にろうそくの点いたケーキが運ばれ、オーディエンスとともに誕生日を祝うバースデーライブらしい一幕で盛り上がった。
「誕生日ライブ、こんなアットホームにできて嬉しいです。これからもよろしくね」と嬉しそうに伝えると、最後に「華たち」を披露。〈小さな東京タワーに夢を描く〉。上京当初を振り返るような歌詞を優しく歌い切り、笑顔で公演を終えた。なお、今後配信リリースが控えていること(リリース日未定)と、ファンコミュニサイトが8月27日(土)からオープンすることがこの日、発表された。
Text:村上麗奈
撮影:Bromide,inc.