【DDT・勝俣瞬馬インタビュー】8・20大田区でジョーイ・ジャネラとハードコアマッチ! 「この試合を世界に届けて、米国に行くチャンスをつかみたい!」
DDTプロレスの真夏のビッグマッチ「WRESTLE PETER PAN 2022」(8月20日、東京・大田区総合体育館)が目前に迫ってきた。そのなかで注目の一番の一つが「インターナショナル・スペシャルハードコアマッチ」と銘打たれた、ジョーイ・ジャネラVS勝俣瞬馬だ。米国のインディーシーンで活躍するジャネラは待望の3年ぶりの来日となるが、DDTのハードコアファイターの一人である勝俣との一戦には大きな注目が集まる。そこで、ジャネラとの一騎打ちを行う勝俣に話を聞いた。
――大田区でのジャネラ戦が近づいてきましたが、彼の映像を見たりといった情報収集はされましたか?
「正直ジャネラ選手のことを存じ上げなかったんですが、すぐタケちゃん(竹下幸之介)に連絡したんです。そしたら、『米国のインディー界ですごい選手だ』って答えが返ってきて。ジャネラ選手が倉庫から落ちてる動画を見て『コイツ狂ってるな』って思いました。情報はあまり入れないようにしてるんで、あえて調べてはいないです。ただ、バッドボーイで、クレイジーな選手だとは分かったんで、僕は今ワクワクしてますね。僕はDDTのなかで一番クレイジーになりたいと思ってるので。それをぶつけられる選手はDDTには数少ないんで。大田区というデカい会場でシングルができるのは楽しみですね」
――クレイジーという点では対戦経験のある葛西純選手に似たような感じもあるかもしれないですね…。
「そうですね。自分の足を燃やしてトラースキックしてるのを見ましたね。ホントに楽しみですね。僕はこの試合を世界に届けたいと思っていて、世界に届けたときにジャネラのファン、米国インディーのファンの人たちが『日本に、DDTに、こんな選手がいるんだ!』って思わせたいですね。そうなったときに、米国からオファーが来るかもしれないじゃないですか。僕はプロレスでもプライベートでも海外に行ったことがないんです。世界に届けて、米国に行くチャンスをつかみたいなって思います」
――長期でも?
「長期ではなく経験としてですね。今タケちゃんがAEWでやってますけど、短期で世界が見れるわけじゃないですけど、経験として米国で海外の人とプロレスをするって未知の世界なんで。そこを経験したら、もっとレベルアップするんじゃないかって部分で行きたいなと思います」
――具体的に行ってみたい団体とかはありますか?
「それこそGCWとか行ってみたい。僕のハードコアが米国で通用するのかというのを試してみたいですね」
――DDT流のハードコアをですか?
「そうです。これが世界にも通用するのかと。日本だけじゃなくて、いろんな場所にプロレスがあるから。英国にも、そういうスタイルがあったり。米国はデスマッチもハードコアもオールジャンルでいけますよね。DDTにいたら海外の選手と戦う機会はいっぱいあるし、最近ではアンドリュー“ザ・ジャイアント”エヴァレットと戦いましたけど、現地に行って、言葉の通じない未知の世界で、自分がどうやってプロレスで生きていけるのかを考えると楽しいですね」
――ジャネラ選手とは、ふだん勝俣選手がやってるようなハードコアで戦うことになりますよね?
「ハイ。実はツイッターでジャネラの記事を見つけて、引用リツイートして『僕も高い所が好きですよ』とツイートしたとき、ジョーイが反応してきたんですね。『足場を持ってきて、私たちが楽しく過ごせるように言ってください』って。彼のスタイルで10メートル落下とかもしてるんですけど、イメージとしては彼が言ってるように、高い所があったら楽しいだろうなって。できるかどうかは分からないですけど、きっとこの大田区でできる範囲のなかで一番クレイジーなことをしようかなと思ってます」
――8・14後楽園ホールでは彰人選手とのDDT EXTREME選手権(蛍光灯IPPONデスマッチ)があって、そこで目にすることになりますよね?
「絶対見ますね。もしジャネラが勝ってチャンピオンになって、僕が大田区で勝てば、挑戦する可能性が見えてくるわけですよね? そうなると燃えますね。こんなこと言うのも何なんですが、ジャネラに勝ってもらって、ベルトを獲ってもらって挑戦したいですね(笑)。彼がどれくらいの身長で、どういう動きをするかも知らないんで、14日に初めて目にするんでしっかり見たいと思います」
――DDT流のハードコアもあれば、大日本でデスマッチもやられてるんですけど、両方使い分けてる感じですか?
「いや。大日本でやってることはデスマッチですけど、それでも僕はDDTらしさポップさを入れてるので使い分けというより、割とDDTのまんまでやってます。ルールが違うだけで、デスマッチのなかでもDDTのポップさを出すようにしてましたね」
――それは大仁田厚選手とやるときも、そうですか?
「9月4日に名古屋(国際会議場)で大仁田さんと爆破マッチやりますけど、僕らしく爆破し、爆破され、最高の爆破マッチにしたいと思いますね。大仁田さんに関しては正直ビデオとかで見る世代だったんですけど、小さい頃かっこいいなって思ってて、この前、(5・28)福岡で大仁田さんのジャケットに袖を通したんですけど。大仁田厚に勝って、ジャケットを奪い取って、“令和の邪道”になろうと思ってるんで。大仁田戦は燃えてますよ」
――ここ最近、ハイパーミサヲ選手(東京女子)とか鈴季すず選手(プロミネンス)から狙われて、女子選手ともハードコアをやられていますが、女子相手でも男子と同じように臨まれてますか?
「僕は容赦しないんで。なんなら男子よりきつくいってるんで。女子でも遠慮なくいきますよ。そもそも僕に突っかかってきてるわけですから、女子でも男子でも変わらず戦います。なぜあんなに恨まれるのか分からないですけど。そんなオーラがあるのか、何か引き寄せてるんでしょうね」
――鈴季選手によると、やはり狙いたくなるようなオーラがあるらしいですよ…。
「そうですか。鈴季すずは絶対僕のことが好きですよ(笑)。好きすぎてメンヘラなんですよ」
――勝俣瞬馬VS鈴季すずの再戦はありそうですか?
「予定はないですけど、スーパーハードコアガールズの興行(7月14日、新木場)でカルーセル?シュンが負けてるんで、僕自体はいつか鈴季すずとシングルやりたいとは思ってます」
――以前は対戦を拒否されてましたが、気が変わりましたか?
「もうカルーセル? シュンが負けてしまったんで、仕方ない。でもシュンが言ってたけど、すず選手、あの若さで、あの試合も見ましたけど、すごいなと思ってます。女子プロ界の宝なんじゃないかと思うくらい。僕は買ってるんですよ。すごいと思ってるんで。リスペクトもありますけど、乱入とかやり方が汚くて『やらないよ』って言ったんですけど、やるときはきっと来ると思います。そのときはボコボコにしてやります」
――ところで、サウナカミーナですが竹下選手がいなくなってどうですか?
「何も変わらずですよ。タケちゃんが米国に行っていなくなって、タケちゃんがいなくても大丈夫という気持ちとか。もともと竹下幸之介のユニットにはしたくなかったんで。MAO、上野(勇希)、小嶋(斗偉)、このメンバーは、みんなタケちゃんがいなくなったことをチャンスだと思ってるんじゃないですか」
――竹下選手は8・20大田区で久しぶりに日本で試合します。MAO選手は組みますけど、勝俣選手はその日は絡まない。彼がいない間にやってきたことを見せたいという思いは、メンバーにはありますか?
「うーん。きっとタケちゃんは米国でチェックしてくれてると思うんです。だから改めて、『僕たちの試合を見てくれ』って気持ちはないかな。今まで通りやるだけです」
――しばらくは日本で試合をしますし、名古屋ではタッグも組みますね…。
「タケちゃんの活躍を見てきて、ちゃんと上がっていってるんですよね。いい顔してるんですよ。楽しいんだろうなって伝わってくる。正直うらやましいですよね。新しい環境でプロレスして。だからこそ僕はジョーイとの試合で世界に届けて、僕も米国を経験したいなって余計思ったんですね。竹下幸之介のおかげというか。ジャネラはバッドボーイと言ってますけど、僕はDDT一のハッピーボーイだと思ってるんで。バッドボーイVSハッピーボーイですよ。どっちが強いのかというのを見てほしいですね」
――やはりジャネラ選手との試合はワクワクが止まらない感じですか?
「大田区は、声出しOKの大会ですよね? 僕、デスマッチは2019年12月31日が初めてなんです。そのときはギリギリ声出せたんです。その後コロナ禍になって、声出せない状況でハードコアだったり、デスマッチとかやってて。それこそヨシヒコと無観客でハードコアやったりとか。コロナ禍になって、ハードコアを自分のなかでつくっていけたんです。お客さんが声出せるとなったときに、自分がどれだけいけるのか。観客の声援があったら、もっと狂ったことができるんじゃないか。自分のリミッターが外れるんじゃないかと思ったりしてます。声援があるなしで変わってるんで、そこが一つの楽しみでもあります。どこまでできるのか」
――ハードコアって痛いと思うのですが、痛いけどハマる何かがあるんですか?
「そうですね。僕が何でハードコアやろうかなと思ったのは、2018年、初めてEXTREMEに挑戦したとき。対宮本裕向ですよ。僕のプロレスに新しい引き出しができたというか。NωAをやめて、アイドルレスラーというのから離れたくて、オールアウトに入って、何か一つインパクト残さなきゃいけないというところで。画びょうだったり、ハードコアにさせてもらったんですけど、あれをきっかけにしてハードコア、デスマッチをやりたいという気持ちが出てきた。あのとき画びょうがメチャクチャ痛かったんですよ。視界が真っ暗になっていくくらい、痛くてきつかったんですけど。そのときに“勝俣コール”か何かが起きたんですよ。これやってよかったなって。痛いけど、お客さんが楽しんでくれる。凶器を使わない、ふだんの試合とは違う楽しみ方があるんだなって思って、あの快感が忘れられなくて。それでやっていこうかなって思いました。前なんかデスマッチは絶対やらないって思ってたんですよ。凶器とかも一つの作品になるんですよ」
――やはり、「DDTのハードコアと言えば勝俣瞬馬」というのをもっと広めていきたい?
「そうですね。やっぱりDDTのハードコアと言ったらMAOなんですよ。MAOが高木三四郎と抗争してたとき、よくハードコアをやってたんです。そのとき、すごく悔しい思いをしたんですね。自分はその頃うまくいかなくて結果も残せてなくて、MAOが生き生きノビノビ楽しくやってて。それを見たとき、超悔しい思いして、俺だってやりたいのにって気持ちがあって。今でもハードコアと言ったらMAOなんです。全然伝わってないから、もっともっと『DDTのハードコアと言えば勝俣瞬馬』となるように、日本にも世界にも届けていきたい。MAOを否定してるわけじゃなくて」
――ハードコアに限らずですが、サウカカミーナでKO-D10人タッグのベルトを持ってますけど、ベルトをどんどん狙っていく意識はありますか?
「もちろん。6人タッグはこの前挑戦する予定で中止になってしまいましたけど、ベルトは獲っていきたい。6人タッグもタッグも、シングルも。誰になるか分からないけど。結果として、サウナカミーナみんなで。僕は6人タッグとかユニットでしか獲れないベルトを獲りたい。きっといつかチャンスは巡ってくると思います」
<勝俣瞬馬プロフィール>
1992年12月9日生まれ、千葉県柏市出身。2014年4月29日にDDTでデビュー。DDTの若手主体ブランドDNAの旗揚げに参加。2016年に大石真翔、井上麻生(MAO)とアイドルユニット「NωA」を結成。その後オールアウトに加入し、2019年末にデスマッチ、ハードコア戦線に参入し頭角を現す。2020年11月にDDTサウナ部が本格始動し、後にユニット・サウナカミーナとして活動。これまでにDDT EXTREME、KO-Dタッグ、KO-D6人タッグ王座を戴冠。現在はサウナカミーナのメンバーに青木真也を加えて、KO-D10人タッグ王座を保持。シーサウナシャック館山の総支配人を務めるほどのサウナ好きだ。