岡本健一・成河が演劇界を震撼させた問題作に挑む 『建築家とアッシリア皇帝』のビジュアル&コメントが公開

2022.8.17
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『建築家とアッシリア皇帝』ビジュアル  (C)宣伝美術:秋澤一彰 宣伝写真:山崎伸康

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2022年11~12月、シアタートラムにて上演する、二人芝居『建築家とアッシリア皇帝』のビジュアルと演出家・出演者コメントが公開された。

本作は8~9月に上演する『毛皮のヴィーナス』に続き、「トラム、二人芝居」と称し、新進の演出家と、魅力あふれる実力派のキャスト陣とのタッグでおくる、二人芝居企画の第二弾。

『建築家とアッシリア皇帝』ビジュアル  (C)宣伝美術:秋澤一彰 宣伝写真:山崎伸康

『建築家とアッシリア皇帝』は1967年にパリで初演。以来、55年を経た今でも色褪せない衝撃作として、世界各地で上演されている。物語は、絶海の孤島に墜落した飛行機から現れた男の「助けてださい!」という叫びからはじまる。その後、この男は自らを皇帝と名乗り、島に先住する一人の男を建築家と名付けて、近代文明の洗礼と教育を施そうとするのだが、その文明と教育は、はたしてこの二人に本当の幸福をもたらすことができるのか。
現実と虚構の世界がまじりあい、文明以前の人間の根源的な欲望がぶつかりあい、最後にはありのままの自分自身と向き合っていくという、スリリングな皇帝と建築家のやりとりは、やがて衝撃的な結末を迎える。

本作の演出に挑むのは、シアタートラム初登場の生田みゆき。16年に文学座座員に昇格後、17年アトリエの会『鳩に水をやる』で文学座初演出を手掛けたほか、国際演劇協会の「紛争地域から生まれた演劇」の演出や、今年3月に上演した『オロイカソング』等の各小劇場で魅せる実験的な取り組みが評価を得、また、さいたま芸術劇場7月公演「ジャンル・クロスⅡ<近藤良平×松井周>『導かれるように間違う』」では演出補を務めるなど、これからの益々の活躍が期待される演出家だ。

『建築家とアッシリア皇帝』ビジュアル  (C)宣伝美術:秋澤一彰 宣伝写真:山崎伸康

出演は岡本健一と成河。絶海の孤島に現れる皇帝役を岡本、孤島に先住していた唯一の人物・建築家役を成河が演じる。共に演出経験もあり、戯曲を深く読み込み、体現するクリエイションに定評のある二人。近作では世田谷パブリックシアター主催「約束の血」4部作『森 フォレ』(21年、上村聡史演出) で共演。俳優として互いに認め、尊敬の念を抱きあう岡本と成河が、三度目の共演となる二人芝居において、ついに一対一で対峙する。

【ストーリー】
絶海の孤島に墜落した飛行機から現れた男は自らを皇帝(岡本健一)と名乗り、島に先住する一人の男を建築家(成河)と名付けて、近代文明の洗礼と教育を施そうとする。お互いの存在を求め合いながらも、ぶつかりあう二人。そのうち二人は、いろいろな人物の役を演じはじめ、心の底にある欲望、愛憎、そして罪の意識をあからさまに語り出す。その行為はやがて衝撃的な結末を生みだすきっかけになっていく……。


上演台本・演出:生田みゆき コメント

生田みゆき

『建築家とアッシリア皇帝』を初めて読んだのは数年前のことですが、たくさんの要素が詰め込まれた膨大な台詞に面喰らったり、母親に対する異常なまでの愛憎に一女性として戸惑ったりしつつも、演劇という表現に託して何かをしつこく描き出そうとする作家の途轍もないエネルギーにとにかく圧倒されたことを覚えています。このエネルギーが、作家が幼少期に経験したスペイン内戦に深く根差していることは多くの方が指摘されていますが、その悲しみや憤りが少し実感をもって私に迫ってきたのは、今年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降でした。
連日様々なメディアを通して伝わってくる戦地の惨状と各国の対応。ある日を境に突然日常が崩壊し死が迫る不条理に怒りを覚えつつも、正義と悪という風に極めて単純化された構図の報道や、西側諸国のウクライナに対する手厚い支援から垣間見える無意識の人種差別に対する疑問なども浮かんできました。そんな中で戯曲を改めて読みなおしたときに、演出の道筋がおぼろげながらも見えてきたように思えました。これまで実験精神や開拓心のある作品を数々送り出してきたシアタートラムで、客席と一体感のある空間や、この戯曲の中に散りばめられた遊びの要素を最大限に生かしながら、より良き未来を目指す人類の矛盾と葛藤を、赤裸々に描き出せたらと目論んでいます。
そして岡本健一さんと成河さんは、そんなハードな挑戦にユーモアを忘れずに果敢に飛び込んでくださる素晴らしい舞台人だと感じています。「皇帝」を名乗る男は、尊大であると同時に卑屈でもあるという振幅の大きなキャラクターです。岡本さんの少年のような自由さと好奇心そして正直さが、どのような表現となって立ち上がるのかとても楽しみです。そしてその皇帝を受け止める「建築家」は、いつも作品の細部まできちんと把握したうえで相手役のすべてを受け入れて、自分もどんどん飛躍される成河さん。「二人芝居」という、人間同士の関係が最もシンプルな形で構成されている戯曲ですが、「ごっこ遊び」を利用してその関係はどんどん変化します。演出者としては、岡本さんと成河さんが持っていらっしゃる強靭な声と身体を駆使して遊び倒せる空間を準備し、今こそ上演する意義のある作品を創りたいと思います。劇場でしか体感できない生の身体を、是非お楽しみください。

【皇帝役】岡本健一 コメント

『建築家とアッシリア皇帝』岡本健一  (C)撮影:山崎伸康

この作品を 2022年11月・12月に上演するということに、私は心を躍らせています。
躍らせているとともに、感傷的に陥ったり、攻撃的な感情が高鳴ってきたり、支離滅裂な思いをひとつひとつに細かく細分化したり、そして何よりも成河との二人芝居であることに、全く予想のつかない事件性のある過激で愛に溢れた物語になるのだと思います。
登場人物が、どんな喋り方をするのか、どんな気持ちで時間が進んで行くのか、私自身がどのような姿になっていくのか、何も決められない、決めてはいけないような作品な気がします。
演出の生田さんが、ごく普通のマトモな人間とは言えない私達二人を何処に導いてくれるのかも予想がつきません。
演劇はLIVEなのだと思います。
今までに自分が関わってきた演劇の中で、こんなにも凄まじい戯曲は初めてです。
あらゆる枠を超えてしまっている、今の私達でしか成り得ない自由で演劇ならではの二人芝居。
是非、シアタートラムという冒険心が豊かで濃密な劇場で体感して下さい。
要必見です。

【建築家役】成河 コメント

『建築家とアッシリア皇帝』成河  (C)撮影:山崎伸康

ありそうでなさそうな奇妙な設定、色鮮やかな演劇ごっこみたいな楽しさが散りばめられていたかと思ったら、明確な近代文明批判を繰り広げたり、突如としてドロドロの人間心理の闇に落ちていったり。とにかく読み解くのに相当なエネルギーのいる作品です。これを「不条理演劇」とひとことで言い表すのは現代としてはやはりそぐわない、今からおよそ60年前の先鋭の娯楽、思想というのはともすれば古びたものに感じてしまう、その難しさも感じています。この戯曲を現代に開いていくのはとても大きな挑戦であり、大冒険です。僕が強く惹かれるのは、アラバールが筆を打ち付けるようにして書いた、言外の雑多なエネルギーです。言葉で説明出来るものを優に超えたところにある、強い執念のようなもの。それを現代の感覚でどこまで具体的に掴めるか、そういう挑戦になると思います。掴んで、開く。
その作業を岡本健一さん、生田みゆきさんと、こだわりにこだわりにこだわり抜いて、やってみようと思います。大冒険です。

公演情報

『建築家とアッシリア皇帝』
 
【日程】2022年11月21日(月)~12月11日(日)
【会場】シアタートラム
 
【作】フェルナンド・アラバール
【翻訳】田ノ口誠悟
【上演台本・演出】生田みゆき
【出演】岡本健一 成河
 
■終演後ポストトークあり
登壇予定者 
11月25日(金)19時 生田みゆき、白井晃(世田谷パブリックシアター芸術監督)
11月30日(水)14時 生田みゆき、岡本健一、成河
12月8日(木)14時 岡本健一、成河、白井晃(世田谷パブリックシアター芸術監督) ほか
※開催回のをお持ちの方がご参加いただけます
 
料金】一般:全席指定 7,000 円 ※ほか高校生以下、U24 など各種割引あり
取扱い】世田谷パブリックシアターセンター 03-5432-1515(10~19時)
世田谷パブリックシアターオンラインhttps://setagaya-pt.jp/
※託児サービスあり ※車椅子スペース取扱あり

一般発売】2022年9月25日(日)

【世田谷パブリックシアター公式 Twitter】@SetagayaTheatre
【お問合せ】世田谷パブリックシアターセンター 03-5432-1515 
【主催】公益財団法人せたがや文化財団 【企画制作】 世田谷パブリックシアター 【後援】世田谷区
 
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