クリエイションの熱いパッション 『ODD EXHIBITION-オッドタクシーエキシビジョン-』レポート
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『ODD EXHIBITION-オッドタクシーエキシビジョン-』 (C) P.I.C.S. / 小戸川交通パートナーズ
渋谷の東京アニメセンターにて、2022年10月10日(月祝)まで『ODD EXHIBITION-オッドタクシーエキシビジョン-』が開催中だ。
『オッドタクシー』は 2021年にTVシリーズが公開されたアニメ作品で、コミカライズ、映画化、さらに舞台化……と多様な展開を見せている人気コンテンツだ。かわいい動物の姿をしたキャラクターからはちょっと想像できないが、実は蓋を開けてみると、骨太なミステリー群像劇だったりする。そのギャップも多くのファンを惹きつけて離さない魅力のひとつだろう。
タクシー乗り場風のエントランス。小戸川のタクシーは半立体になっていて、ライトまで点灯している凝った仕上がりだ
本展では、アニメの原画や設定資料などが展示されるほか、物語の舞台となった数々のスポットが再現されており、自由に写真撮影を楽しむことが可能。『オッドタクシー』の作品世界にどっぷり没入できる空間となっている。さっそく本展の見どころを、会場の写真とともにたどっていこう。
恩恵倍増 音声ガイド
何よりもまず声を大にしてお伝えしたいのは、音声ガイドが超秀逸だということ!
展示の理解を助けるガイドというより、むしろこの音声ガイド内にこそ制作側の明確なメッセージがあり、それを展示によって確かめていくような鑑賞体験だった。ナビゲーターは、作中でお笑い芸人「ホモサピエンス」の柴垣・馬場役を演じているダイアンのふたり。エッジの立った軽妙なやり取りは、『オッドタクシー』のスピンオフ短編かと思うくらい満足度が高い。しかも語っている内容は情熱に満ちていて、正直少し感動した。
右手前が音声ガイドのQRコード
本展の音声ガイドは、会場内に設置されたパネルのQRコードを自身のスマートフォンなどで読み取るシステムだ。事前にアプリ(無料)をダウンロードした上で、イヤホンの持参が必要なのでお忘れなく。ここでしか聞けないオリジナルコンテンツとのことなので、本当に全力でおすすめしたい。
身を置き体感 あの日の情感
会場風景
会場内に再現された、思い出の場所の数々。まずは居酒屋「やまびこ」から。カウンター席に実際に座っての撮影もOKだ。小皿にはリアルな食品サンプルのおでんも用意されている。
会場風景
続いては、主人公・小戸川の部屋。実写化(?)した小戸川のボリューム感がすごくてクスッと笑ってしまう。よく見ると、壁の弾痕や、襖で猫が爪とぎした跡がしっかりと再現されている。
会場風景
展示パネルを見ていくと、何気ない背景のひとつひとつまで綿密に設定されているのがわかる。『オッドタクシー』の世界の生々しさは、こういった細部に裏打ちされているのだとしみじみ実感。
後部座席で ポーズだcheck it
会場風景
イチオシのフォトスポットはこちら。夜の街をゆく小戸川のタクシーを、音と光で見事に再現! アニメのオープニングテーマ「ODDTAXI」に乗せて背景の映像が心地よく流れていき、すれ違う車のライトや走行音まで演出されている。写真ではうまく写らなかったが、助手席のランプには「割増」の文字が光っていた。あ、けっこうな深夜なんですね……。
回り込むと、タクシーの後部座席に座れるようになっている
運転席の背面には小戸川の名刺が用意されており、ひとり一枚まで自由にもらえるそう。このフォトスポットには自撮り用のスタンドが用意されているので、自分が小戸川のタクシーに乗っている姿を収めてみるのもいい記念になるだろう。
魂こもるアレやコレや 設定ひとつが決定打
奥へ進むと、作中に登場した小道具や設定資料、さらにアニメの台本などが展示されているコーナーが。ガラスケースの中には、物語のキーとなるアイテムはもちろん、「細かっ!」と突っ込みたくなるようなモノまで再現されている。
会場風景
SNSや動画投稿サイト、スマホゲームが非常にリアルに描かれるのも『オッドタクシー』の魅力のひとつ。ここではそれらの設定資料やデザイン、一瞬だけ映るモブ投稿の内容なども見ることができる。特に「各キャラ使用スマホ」の一覧は、それぞれの性格が反映されているようで面白い。
会場風景
カポエィラの必殺技、ケイシャーダ(回し蹴り)の原画。絵コンテには、監督からの演出指示が丁寧に記入されている
「アニメには、アドリブもハプニングも無いんや!」と音声ガイドで「ホモサピエンス」は語る。目に映るもの、耳に入る音、もれなくすべてがクリエイターの創意によるものである。本展では展示の端々に、作品を作り上げるキャスト・スタッフへの感謝と敬意、そしてアニメ作りに対する自負が滲んでいるのがとても印象的だった。
会場風景
アイドルグループ「ミステリーキッス」のライブ会場も、フォトスポットとして再現されている。彼女たちのナンバー「超常恋現象」と「波間にキッス」の2曲がリピートする、ノリノリの空間だ。バックで流れる90年代のカラオケ風のMVがちょっと可笑しい。
そして会場にはこのあとに続く、メディアへの露出NGの秘密のエリアが存在する。こちらは実際に足を運んだ人だけのお楽しみとのこと。ぜひその目で確かめてみてほしい。
会場風景
会場の片隅でさりげなく展示されている、見慣れないキャラクターのイラストを発見。これはTVシリーズの放送終了後に、監督からキャスト・スタッフに贈られたオリジナルイラストなのだそう。ひとりひとりの個性を踏まえて動物化しているもので、座組みの雰囲気のよさが伝わってくるようでほっこりする。
会場風景
最後のフォトスポットは、描き下ろしの展覧会オリジナルイラストを元にしたもの。ここ東京アニメセンターのある渋谷MODIを背景に、ストリートファッションに身を包んだキャラクターたちと撮影しよう。ちなみに出口付近には、一部キャストからの開催祝いの色紙も飾られていた。
グッズ大好き Let'sダイブ
ミュージアムショップでは豊富な『オッドタクシー』グッズが手に入る。小戸川がよくサウナに通っているからか、中にはタオルやサウナハットなどのスパグッズも。3,000円(税込)の購入ごとに、特典として作中のゲーム「ズーデン」のガチャを再現したステッカーがもらえるのが心憎いポイントだ。
ミュージアムショップ
『ODD EXHIBITION-オッドタクシーエキシビジョン-』は、渋谷の東京アニメセンターにて、2022年10月10日(月祝)までの開催だ。作品世界に浸れるのはもちろんのこと、きっと想像以上に熱い、クリエイターたちのアニメ製作にかける想いをダイレクトに感じることができるだろう。ぜひ音声ガイド用のイヤホンを持参したうえで、ドボン! と会場にダイブしてみてほしい。
(C) P.I.C.S. / 小戸川交通パートナーズ
文・写真=小杉美香
展覧会情報
【開催日時】
2022年8月26日(金)~2022年10月10日(月祝)
【開催時間】
11:00~20:00(展示最終入場19:30)
※年中無休(年末年始 / 施設点検日 / 展示入替日などで休館の場合あり)
【開催場所】
「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」
東京都渋谷区神南1丁目21-3 渋谷MODI 2F
【主催】
大日本印刷/ドリーム・スタジオ
【協力】
小戸川交通パートナーズ
【WebサイトURL】
https://tokyoanimecenter.jp/event/odd_ex/
【公式Twitter】
https://twitter.com/oddtaxi_ex