ヤングスキニー『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー 憂鬱が楽しさに変わることを証明した、熱き真夏の25分
ヤングスキニー 撮影=田浦ボン
『RUSH BALL 2022』ヤングスキニー
「こんな日だから、暑い日だから、まだ夜じゃないけど」とボーカルのかやゆー。が言って、「8月の夜」から歌われる。たくさんの観客がサウンドチェックから集まっていたが、その理由がよくわかる始まり。しっかりと自分で物語を作って、魅せて聴かせることができる。平均年齢弱冠20歳のヤングバンドながら、この大舞台でのさらりとやってのけるのは天晴れとしか言いようがない。駆け抜けるスタートダッシュ。申し分の無い1曲目であった。
ヤングスキニー
「まだ夜じゃないけど、あの曲を」と言って、2曲目に演奏されたのは「コインランドリー」。江沼郁弥(ex.plenty)プロデュースも話題になった今月リリースの最新ナンバー。1曲目とはまた違って、緩やかな横ノリがぴったり似合う。真夏の昼間3時過ぎの一番暑い時間帯に2曲続けて、まだ夜じゃないけどと前フリしながら夜のナンバーを聴かすのはたいしたもんである。
そして、<この街東京で>という歌い出しから始まる「東京」。「東京」というタイトルの歌には、外れが無いなどとよく言われる。それは何故か? 情念、熱情といった想いが込められているから。悩みもがきあがきながらも想像して明日を変えていこうとする、この歌には、40歳過ぎのおじさんライターも胸を締め付けられながら、ただただ聴かされてしまった。前後を有名バンドで挟まれて、不安だらけだったという初の大型野外ライブイベント。それでも「嫌なことを、憂鬱なことがあっても楽しい日が来るのを僕らが証明します」と言い切る。来年の大きなステージの出場も、まんざら夢ではないと想えた。
ヤングスキニー
取材・文=鈴木淳史 撮影=田浦ボン
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