Saucy Dog 『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー歌詞に込めた想いが伝わる瞬間に心震える

『RUSH BALL 2022』Saucy Dog 

「お待たせしましたSaucy Dogです」、爽やかに声を掛け1曲目に披露したのは「真昼の月」。ギラつく照明の下、石原慎也（Vo.Gt）の切なさを孕んだ伸びやかな歌声が心地よく耳をかすめ、心和らぐ歌詞の言葉ひとつひとつが胸を締め付けていく。せとゆいか（Dr.Cho）の細やかなビートが観客の足元をしっかりと躍らせている。観客はひとつの音も言葉も逃すまいと、高く手を掲げバンドが放つ音を全身で受け止めている。

続く「雀ノ欠伸」、石原のすきっとしたハイトーンな歌声、秋澤和貴（Ba）の緩やかだけど気分をしっかりと高めてくれるベースラインがすこんと気持ちを楽にしてくれる。言葉、メロディやリズム、そのどれもが浸透率が高くって、たった2曲でもう気持ちが良くってたまらない。

Saucy Dog

「いや～気持ちいいな、マジで。みんなの声が聞こえるだけで、ちょっと前に戻ったみたいで幸せです。最高ですよ！」、石原が満面の笑顔で思いを伝える。せとも「幸せ噛みしめて。こういう日がずっと続いていくようにライブをしていきたい」と、主催であるGREENSへ、集まった観客へ感謝の想いを伝える。

「ここにいるアナタに歌います！」と、「ゴーストバスター」ではじっと前を見据えて真摯に想いを綴る石原。秋澤、せとの2人がストイックに放ち続けるリズムが歌詞に込めた想いをよりブレのないものへ強めていく。＜「言いたいやつらには勝手に言われておけばいいさ」 今度は僕がお前を救ってあげるよ＞、最後の歌詞に拳をぎゅっと強く握りしめる観客の姿が見えて、バンドの想いが届く瞬間をまじまじと体感した。

Saucy Dog

曲の合間にメンバーに声をかける人もちらほら。石原はその声ひとつひとつが嬉しいようで「全部にかまってあげたくなっちゃう♪」と堪らない表情を見せつつ、「最高の時間！　めちゃくちゃ楽しいわ。どうしよ～」と、気分が高揚しすぎて笑いが止まらないシーンも。2018年に『RUSH BALL☆R』に初出演して以降、着実にバンドの実力を高めてきた彼ら。トリ前のステージでライブが出来ることに感謝しつつ、念願だった『RUSH BALL』の大きなステージ、そこで観客の声が聞けたことにメンバー3人はとにかく楽しくってたまらない様子だ。

「みんなで歌えたら。みんなが自分らしくいられますように」と、最終曲「Be yourself」。スクリーンに歌詞が映し出され、観客は好きな歌詞を見つけてはめいっぱい大きな声で歌う。背中を押してくれる言葉の数々に心救われ、実直なバンドサウンドに心躍らされた時間はあっという間に終わりを迎えてしまった。

取材・文＝黒田奈保子　撮影＝瀧本JON…行秀

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