SUPER BEAVER『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー「一緒に音楽やりにきました!」一対一のロックのぶつかり稽古

2022.8.29
レポート
音楽

SUPER BEAVER 撮影=渡邉一生

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RUSH BALL 2022』SUPER BEAVER

いつものSEが鳴り、いつものようにドラムの前で円陣を組み、さぁこれからライブが始まる……。その瞬間に拍手と歓声が止み、すっと何の音も聞こえない静寂な時間が流れる。渋谷龍太(Vo)の息を吸う音だけが聞こえ、感覚が研ぎ澄まされた途端に聴こえたのは「ありがとう」。優しく紡がれる、心の奥底から伝えられる、どんな存在も全肯定してくれる「ありがとう」の言葉。ありきたりな言葉かもしれないけれど、真っ直ぐに何度も繰り返される、その言葉が愛おしくて胸が締め付けられる。

胸を叩き、力強くステージを踏みつけ、真っ直ぐに手を伸ばして歌う渋谷の姿に目が離せない。感情を揺さぶる柳沢亮太(Gt)のメロディ、心を鼓舞する藤原”34才”広明(Dr)のビート、上杉研太(Ba)の鼓動を速めるリズム。全身が彼らの音を喜んで受け入れているのが分かる。曲の終わりにバンドの音が鳴り止み、渋谷ひとりが歌うシーンでは、静寂さえ見せ場にするような気迫に満ちた姿に目が離せなかった。

SUPER BEAVER

「色んな考えがあるけれど、たかが音楽。楽しかったらイイ。それがゴール」と、昨今の音楽シーンに懸ける思いを語る渋谷。もちろんそのゴールには道筋があって、自分で考えて答えを出し、楽しさを見つけてこそのゴールだと語る。そして、「互いを尊重しあって音楽を作っていきたい。メンバー4人だけでじゃない。あなたたちと一緒になって音楽になる。一緒に音楽をやりにきました!」と「突破口」へと繋げていく。<今をやめない>、そう何度も歌う渋谷の存在感はいつだって大きい。けれど、彼の姿をより大きく見せる柳沢、藤原、上杉の3人のコーラスも骨太で頼りがいがあって、何ともいえない安心感がある。

「束になってかかってくるんじゃない、一人でかかってこい!」、一対一のぶつかり合いでオーディエンスとひとつになった「東京流星群」。余りにもまっすぐな言葉の数々に涙が溢れる「人として」。威風堂々としたパフォーマンスに、前を見据えてステージにただじっと魅入っていた。ラストは観る者の気持ちを代弁し、昇華させる「アイラヴユー」。1人ひとりの嬉々とした表情がとてもとても素敵で、全6曲のステージはあっという間に終わりを迎えてしまった。

SUPER BEAVER

取材・文=黒田奈保子 撮影=渡邉一生

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