「K-1 WORLD GP」9.11 武尊の盟友・大岩、武尊のライバル・レオナなど…武尊の意思と想いを受け継いで、新たな歴史を創るのは誰だ?
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(C)K-1
9月11日(日)神奈川・横浜アリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~よこはまつり~」。今回で3回目となる「よこはまつり」は、横浜アリーナという会場、そして大会規模としても、毎年春に行われる“K-1年間最大のビッグマッチ”「K'FESTA」と並ぶ“K-1秋のビッグマッチ”といえる大会だ。
過去2大会でもビッグマッチに相応しい豪華カードが並び、2019年はフェザー級、2021年はウェルター級で王座決定トーナメントを実施。江川優生・野杁正明がそれぞれ圧倒的な強さでトーナメントを制してK-1のベルトを巻いた。
今年は武尊の王座返上により、空位になった第5代K-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントが実現。K-1のエース・武尊が約3年間保持していたベルトをかけたトーナメントということで大きな注目を集めている。
トーナメントは日本人4選手・外国人選手4選手の計8選手による1日3試合のワンデートーナメント形式で行われるが、日本人選手はいずれもそれぞれの立場で武尊という存在を通して、ベルトを目指していた選手たちが集まった。
武尊と共に汗を流し、苦楽を共にしてきた盟友として、トーナメントに臨むのは大岩龍矢だ。武尊と大岩はK-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTの同門で、KREST名物のガチ・スパー(※試合に近い激しいスパーリング)で切磋琢磨してきた仲間。武尊の海外武者修行に大岩が同行し、武尊が必ず大岩のセコンドにつくなど2人の絆は強い。武尊が「THE MATCH 2022」で敗れ、王座返上を発表した際に、真っ先に反応したのも大岩で、自身のSNSで「武尊がベルトを返上。間違いなく俺が獲らなきゃダメでしょ。俺しかいないでしょ」と王座獲りに名乗りをあげた。
誰よりも間近で武尊の戦いを見てきた大岩だけに「武尊のK-1に対する想いやベルトに懸ける想いはめちゃくちゃ凄かったし、簡単に手放したわけじゃない。それだけ価値があって、重いベルトです。だからベルトに相応しい責任と覚悟を持って試合に臨まなきゃいけない」と武尊が返上したベルトを巻くことの重さは理解している。
「他の選手には絶対に渡したくないし、武尊からも『もちろん龍矢に獲ってほしい』と言われて、自分もその気持ちしかない。今まで武尊が持っていたことによって、自分もなかなか挑戦することは出来なかったんですけど、武尊の戦いをずっと近くで見てきた中で、ようやく自分に回ってきたチャンスなんで、自分がベルトを巻かなきゃいけないと思っています」と武尊の想いに応えるためにも、必ず自分がベルトを巻くと誓っている。
大岩が武尊の盟友ならば、武尊のライバルとしてトーナメントに臨むのがレオナ・ペタスだ。レオナは2019年6月に第9代Krushスーパー・フェザー級王座に就き、同階級のライバルたちを次々と撃破。約4年間無敗・9連勝という成績を引っ提げ、2021年3月に武尊の持つベルトに挑戦し、最後は武尊の強打でKO負けを喫したものの、壮絶な打ち合いを展開し、K-1の歴史に残る名勝負を繰り広げた。
試合後にレオナは武尊とリング上で言葉を交わした。当時会話の内容が公になることはなかったが、今回のトーナメントに出場が決まると、レオナは「あの時、武尊選手から『俺は天心戦が終わったら、ベルトを返上しようと思っているから、あとのK-1は頼んだよ』って話をされました」と明かした。
武尊のライバルとしてリングで殴り合ったことで、大岩とは違う立場で武尊からK-1のこれからを託される存在になったレオナ。「武尊選手が背負っているものや重さを肌で感じさせてもらった。ここでチャンピオンになったらK-1を引っ張っていかなきゃいけないし、武尊選手に『あとは頼んだ』と言われたので、自分がベルトを手に入れるしかない」と武尊との約束を果たすためにベルトを目指す。
現在のスーパー・フェザー級で誰よりも武尊との対戦を熱望していたのは朝久裕貴だ。K-1ライト級王者・朝久泰央の実兄で、中国の格闘技イベント「武林風」で活躍。2018年には武林風WLF -60kg級王座決定トーナメント優勝を果たすなど、アウェーの地で格闘家として結果を残し続けた。2020年11月のK-1福岡大会で大岩龍矢を下すと、翌2021年9月のK-1横浜アリーナ大会ではMOMOTAROをKO。今年4月の「K'FESTA.5」では村越優汰をハイキックからの連打で沈め、激戦区スーパー・フェザー級で3連勝を収めた。
大岩戦後こそ「最終的に武尊選手と戦えるようなタイミングが来たときは戦いたい」と話すにとどまっていた朝久だが、村越戦が決まると「K-1に僕がいる理由として一番になる、チャンピオンの武尊選手と戦いたいという気持ちがある」と意思表示し、村越戦の一夜明け会見では「武尊選手は大一番が決まっているので、K-1を背負って勝って頂きたい。その試合が終わった後で、挑戦する資格は現状僕が一番近いのかなと思っている」と明確に武尊との対戦をアピールしていた。
武尊の王座返上と長期休養宣言により、武尊戦は遠のく形となったが、王座決定トーナメント出場のチャンスが巡ってきた。朝久は「今はっきりいって僕は世界一で強い自信がある」という絶対的な自信とともに「武尊選手が休養宣言の会見の時に『優勝した選手とやりたくなるかもしれない』と言っていたので、自分が優勝してそういう気持ちにさせたいですね」と武尊戦実現につながるトーナメントにするつもりだ。
大岩・レオナ・朝久が武尊と同時期にK-1で戦ってきた世代なら、横山朋哉はその下の世代=武尊の戦いを観客席から見ていた世代だ。なかでも横山は「僕は武尊選手に憧れてK-1ファイターになろうと思った」と公言し、アマチュア時代には自身のSNSに武尊と撮った写真をアップしていたこともある“武尊ファン”だ。
プロデビュー後は武尊への憧れだけでなく「K-1・Krushのスーパー・フェザー級は武尊選手の次の世代がいない状況で、若い選手がチャンピオンにならないといけない」「いつまでも武尊選手に頼っていてはK-1が落ちていっちゃう。ここから若い選手がドンドン出ていかないと」「武尊選手から下のスターがいないんで、そこで20代前半の若い僕がバーンと出たら必ずK-1・Krushはもっと盛り上がると思う」と武尊に続く選手になるという自覚も芽生えている。
武尊本人も今年1月のKrushスーパー・フェザー級王座決定トーナメントに横山が出場した際「今回のトーナメントで注目しているのは横山選手。横山選手は攻撃のキレ・スピードがあって倒す力も持っていて、選手としての華もあると思います」と横山に期待の言葉をかけていた。横山が武尊が返上したベルトをかけたトーナメントでK-1王者になれば、まさにK-1新世代の新たなスター誕生となるだろう。
武尊はK-1のベルトを返上し、しばらくリングから離れることになったが、武尊が積み重ねた闘いの歴史はベルトと共に続いていく。新たな歴史を創るのは武尊の盟友・大岩か、武尊のライバル・レオナか、武尊との戦いを熱望する朝久か、武尊に憧れた新世代の横山か。
記事提供:K-1