小宮璃央「僕にとって挑戦が詰まった作品」～ミュージカル「Shuffle！〜まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』〜」インタビュー

2022年11月11日（金）～11月20日（日）、東京・天王洲 銀河劇場にて上演されるミュージカル「Shuffle！〜まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』〜」。名作『若草物語』と『三銃士』の登場人物たちが、物語の垣根を越えて入れ替わってしまうオリジナルストーリーが描かれる。

本作で主演を務めるのは、『三銃士』の主人公・ダルタニアンを演じる小宮璃央。稽古開始前に行われたインタビューでは公演の意気込みはもちろん、公演期間中に迎える20歳の節目についてなどたっぷりと語ってもらった。

ーー舞台への出演は二度目。初舞台を経て感じた、生のお芝居ならではの空気感は？

お芝居を大きく見せつつも、身近な日常風景として表現していく難しさを実感しました。今回も慣れていない分、周りに比べて小さくなっちゃうかもしれないと不安もあります。同時に、スーパー戦隊シリーズの『魔進戦隊キラメイジャー』に出ていた頃の経験が生かせるんだろうなとも思っているんです。当時は、小さい子にもわかりやすく伝えるための演じ方をしていました。映像作品の場合にはお芝居を抑えなければいけないのですが、今回は存分に出していけそうです。

ーーミュージカル「Shuffle！〜まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』〜」への出演が決まったご感想を教えてください。

まず「僕でいいんですか？」と。ミュージカルもほぼ初挑戦。歌もダンスもまだまだ未熟な自分が座長でいいのかと悩みました。正直言うと「僕なんかが……」って思ってしまった瞬間もあります。今は、やる気に満ちあふれていますよ！　もちろん、大きな舞台に立たせていただくのは嬉しいですし、やるからには全力で、最後までやり切りたいです。

ーー『若草物語』と『三銃士』を題材にしたオリジナルミュージカル。“Shuffle！”や“まぜこぜ”と銘打たれているということで、それぞれのお話が交錯する内容に。

僕が演じる『三銃士』のダルタニアンは、『若草物語』のエイミーと入れ替わってしまいます。シーンによっては、ダルタニアンの外見でありながら中身がエイミーということも。台本を読み始めたところなんですが、今はまだこんがらがっちゃっているんです（笑）。冒頭は田舎から銃士になるために出てきた青年・ダルタニアンと、中身はエイミーになってしまったダルタニアンを演じていきます。

ーー女性役との入れ替わりは、演じ甲斐がありそうですね。

なかなか演じる機会がないですもんね。入れ替わった時の外見はどうなるんでしょう？　衣裳も変わるのかどうか……そこは、お楽しみということで（笑）。エイミー役の西葉（瑞希）さんとは『キラメイジャー』ぶりの共演。僕が思うダルタニアン、西葉さんの思うエイミーをしっかり共有していきたいです。

ーー本作におけるダルタニアンのイメージは？

わんぱくで、喧嘩っ早い。父親のような立派な銃士になりたいっていう大きな野望をあきらめず行動に移すところもかっこいいし、白黒はっきりした我の強さもあります。

ーー入れ替わったエイミーについて、印象的なポイントは？

強いものに立ち向かう勇気。後半以降、エイミーにとっては苦しい展開が待ち受けています。自分を鼓舞するシーンは、力強くてかっこいいはず。普段のおちゃらけてる感じも、かわいらしい表情ができたらいいなと考えています。

ーー『三銃士』パートでは、アクションシーンも見どころになりそうですね。

すごい楽しみです！　アクションはヒーローの時にもやらせていただいてましたし、個人的にも見せ場にしていきたい。体を動かすことが大好きなので、純粋に楽しみながら挑みたいです。

ーー西葉さん以外のキャストとは初共演とのこと。カンパニーには、すぐ打ち解けられるタイプですか？

ちょっと時間がかかるタイプですね。僕、めちゃくちゃ人見知りしてしまうんです。お仕事を通じてならスムーズにコミュニケーションできるタイプなんですが、相手のプライベートに踏み込むのが苦手。お仕事以外の話題だと、相手の方のフィールドに入っていくのが緊張しちゃう。舞台の場合は稽古期間もたくさんありますし、この作品を機に克服して皆さんともっと打ち解けていきたいです。

ーー本作は、次世代の演劇界を盛り上げるネルケプランニングの新プロジェクト「WELCOME KIDS PROJECT」のひとつ。作品を通じ、子どもたちとも関わった経験もある小宮さんにぴったりの作品になりそうです。

僕自身も甥っ子や弟、妹ともよく遊んでいたので、子どもは大好きです。今回、小学生の皆さんが観劇に来てくれる公演もありますし、とても楽しみにしているんです。お芝居を見る経験を通して、いずれは見られる側に回る機会にも繋がる経験は僕にもあります。僕も小学4年くらいの頃に、似た体験をさせてもらいました。

ーーちなみに、小宮さんが体験した学校行事での観劇にはどんな思い出がありますか？

福岡出身なので、博多座やキャナルシティ劇場に行きました。『レ・ミゼラブル』や劇団四季のミュージカル『ジョン万次郎の夢』を見た記憶があります。とにかく楽しかったんですよ。最初は「えー、行くのー？」ってちょっと渋ってたんですけど、行ってみたらのめり込んじゃって。終わった後の感想文もびっしり書いちゃうくらい（笑）。大人になった今もこうして楽しかったことを覚えているので、これから初めて舞台を見てくれるお友達の記憶にも残ってくれるんじゃないかな。

ーー当時はどんな子供だったんですか？

人見知りが激しくて、おとなしい子でした。道端に落ちてる葉っぱを勘違いして「虫だー！」って叫んじゃうくらい気が小さかったです（笑）。友達よりも親と一緒にいたいタイプだったんですけど、中学の頃には友達と遊ぶのが楽しくなっていましたね。

ーー成長とともに、変わるきっかけがあったんですね。

自分から友達になりたいって思えるような子に出会えたんです。仲良くなりたいって思ったら、積極的になれるみたいです……そこにたどり着けるまで、時間がかかるのは今も変わらないんですけど（笑）。「ゲームしようぜ！」「カラオケ行こう！」って誘ったり、みんなでお泊り会したり。今も交流があって、地元の大事な親友。近況報告しあうくらい仲良しです。

ーー本作の公演中、11月19日には20歳の誕生日を迎えられますね。

10代最後であり、20代最初の舞台なんです！　僕にとって挑戦が詰まったこの作品は、間違いなくターニングポイントのひとつになるはず。出演させていただけること、そして20歳というタイミングであることに本当に感謝しています。

ーー10代ラストの今、どんな心境ですか？

「20歳の自分は何をしてるんだろう？」っていまだに思ってます（笑）。誕生日の瞬間は本番中なのでもちろん次の日のステージに向けて集中してると思いますが、20代の自分が全然想像できないんですよ。

ーーぜひ、20歳の目標をお聞かせください。

まだまだたくさん頑張らなきゃいけない状態ですが、僕にもダルタニアンのように大きな夢があります。絶対に叶えるためにも、夢は口に出していこうと思っています。20代はたくさんお仕事して、皆さんに認めていただける俳優になれるよう頑張りたいです。

ーー最後に、本作への意気込みをお願いします。

今回の座組では、僕が最年少。若さを取り柄に皆さんからいろんなことを学ばせていただきながら、座長として引っ張れるよう頑張りたい。お芝居、歌やダンスをもっともっと勉強して、皆さんと作り上げていきます！

取材・文＝潮田茗　　撮影＝池上夢貢