[Alexandros]川上洋平、「奇跡の場所」母校・青山学院大学で一夜限りの特別なチャリティーライブを開催
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[Alexandros]川上洋平 撮影=河本悠貴
9月23日、[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平が母校である青山学院大学キャンパスで開催した「第29回 青山学院大学同窓祭」において一夜限りの特別なチャリティーライブを行った。
厳かな雰囲気のガウチャー記念礼拝堂にアコースティックギターを携え、川上がひとり登場。静けさの中、おもむろに [Alexandros]のサードアルバム『Schwarzenegger』のラストを飾る名曲「真夜中」を演奏する。しっとりとした歌とアコギの音がどこか神聖な空気をまといながら、礼拝堂内に響き渡る。続いては「city」。原曲は「前に前に」というエネルギーが詰まった疾走感のある楽曲だが、それとは大きく違う表情を見せる。ただ、徐々に演奏と歌はスピード感を帯び、オーディエンスの心をパワフルにつかむ。川上は「Thank You」と呟くように口にし、笑顔を浮かべながら次の曲に向かう。アコギを奏でながら、「今日はわが母校に来てくれてありがとう! 第29回 青山学院大学同窓祭ということでお招きいただきありがとうございます! 声は出せないと思いますが手を叩いて大盛り上がりしましょう!」と言って、「アルペジオ」へ。アコギと歌だけでダイナミックな音像を描いていく。
撮影=河本悠貴
「僕は青山学院大学のOBなんですけど、多分このチャペルに入ったのほぼ初めてなんですよね。ロックバンドをやってると無縁だと思ってました。普段は牧師さんがいらっしゃるようなところでアコギをかき鳴らして良いのかな?って思います」と言い、母校であり[Alexandros]結成の地であるこの場所への敬意を払う。さらに、「2年留年した自分が本当にここでライブをやっていいのでしょうか?(笑)」と自虐を交え再びオーディエンスに確認し、場内をほっこりさせる。
「ムーンソング」で性急なグルーヴを叩きつけ、「まだまだいけますか? 手拍子カモン!」とアジテートし、大きな手拍子が巻き起こる中での、「風になって」。どんどん熱気を帯びていく場内に向かって、「良い感じ! 今日は一緒にバンドを組みましょう!」と呼びかけると、一層手拍子が大きくなる。コロナ禍でのオーディエンスは声を出せないライブではあるが、大きな一体感が生まれていった。「いいねえ」とオーディエンスに賛辞を送り、今回の出演の経緯を説明する。同じく青学のOBであり、友人であるという俳優の高橋克典に呼ばれたそうで、「一緒に歌でも歌ってくれるのかと思ったんですが、『その予定はないです』と言われました(笑)。いつかコラボできたらすごい素敵ですよね」。拍手が送られる。なお、高橋はこのライブをオンラインで視聴し、ライブへの熱い感想と川上への感謝の気持ちを自身のアメブロに綴っている。
撮影=河本悠貴
川上が青学を志望した理由は、多くのミュージシャンを排出しているから。「ここでメンバー見つけて大学時代にデビューしてちやほやされたかったけど、それは叶わず、社会人時代にデビューした」。ベースの磯部寛之との出会いを生んでくれた青学を“奇跡の場所”だと称した。
少し照れ臭そうに「ちょっと前は役者活動もしてました。その時の歌を歌います」と言って、川上の初出演ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない‼』の主題歌である、川上が作曲し、脚本家の北川悦吏子が作詞を手がけ、家入レオが歌唱を担当した「空と青」のセルフカバーを披露。ノスタルジックなメロディが伸びやかに広がっていく。
「ちょっと雰囲気を変えようと思います。コロナ禍で声は出せないですが、それに抗うって意味でも俺は歌っていくし、ギターをかき鳴らしていくし、皆さんにこうやってライブに来てもらえるととても嬉しいです。声は出せない、マスクはしてます。でも心で歌って、手を叩いて、汗をかきましょう」。力強い手拍子の中、ラテンの香りのするギターリフが響き、どんどんBPMが早くなる。「Girl A」だ。「make some noise!!」と川上が叫ぶ。熱気ムンムンの中、川上がハイトーンボイスで歌いながら、オーディエンスに手拍子の強弱の指示をし、盛り上げていく。「まだまだいけますか?」と言うと、場内には手拍子だけが響く。その手拍子のビートに自らのギターのカッティングを乗せ、いたずらっ子っぽい笑顔を浮かべながら「表参道を六本木にしませんか?」と言い放つ。絶賛放送中のドラマ『六本木クラス』の主題歌「Baby's Alright」へ。片手を上げ、手拍子を静止させ、エモーショナルな歌とギターを鳴らしたかと思ったら、「手拍子カモン!」と煽る。巧みにオーディエンスを扇動し、一体感が増していく様が素晴らしかった。「気持ちいいね。最高です! アコギライブとは思えない程の熱気になったと思います」。
撮影=河本悠貴
「母校でライブをやるのは初めてです。やっと自分の学校でライブをすることができてうれしく思います」。そう、本来はデビュー10周年のタイミングで[Alexandros]として青学でのライブが予定されていたが、コロナで中止になってしまったのだ。「次来るときはバンドで皆さんにお会いしたいと思います。その時は磯部君も報われる。満面の笑顔を見せてくれると思います」。
スペシャルゲストとして、お馴染みのキーボーディスト・ROSÉが登場。川上の「自由に楽しんでください!」というシャウトと共に、ライブアンセム「Run Away」へ。流麗な鍵盤の音とギターと歌が三位一体となって、立体的なグルーヴを紡いだ。
「在学中の皆さんに捧げます」と言って、NHK『18祭』のために制作された「Philosophy」を歌う。何も恐れずに自身の哲学を胸に生きて行こうというメッセージはまさにこの地に相応しい。〈僕は僕でしかない Yes I know I’m right〉と歌った後、川上は「全員立てますか? Stand up come on!」と叫ぶ。総立ちで手拍子をするオーディエンスに向かって「心で歌って!」と呼びかける。最後は演奏を止め、歌と力強い手拍子だけが響き渡った。興奮の中、「ラスト1曲行けますか?」とシャウトし、「ワタリドリ」へ。アコースティックとは思えない盛り上がりだった。
撮影=河本悠貴
アンコールで再び登場した川上。「『Philosophy』『ワタリドリ』の流れがめちゃくちゃ良かったからこれで終わろうかなと思ったんですが、ツアー中のアンコールの拍手よりデカかったんで出てきました(笑)」と言うと、大きな拍手が送られる「大学在学中、3年、4年となってくると、周りの人が、バンドでデビューするという夢に対して心から応援してくれるムードではなくなる。大切な人に何か言われた時ほど、自分が進もうとしている道に迷いが生じる。友達、両親、恋人、大切な人を言い意味で裏切って、あとで感謝するのもひとつのやり方。皆さんのやり方で頑張ってください」というようなことを話し、川上洋平ならではのエールを送る。
YouTubeとストリーミングの総再生回数1憶回を突破したことも記憶に新しい「閃光」は、アコースティックによって切なさが何倍も増したように聴こえた。そのまま、リズミカルなギターのカッティングが貫く「Starrrrrrr」へ。1番が終わったところで再びROSÉを呼び込む。躍動的なROSÉの鍵盤の音色に「さすが!」と声を上げ、嬉しそう。〈この場所で この乱れた時代で 傷付きながら 己の歌を刻んでいく 繋がっていく 繋がっていく 大人になり破いた夢〉。デビューするという夢を叶えた川上が結成の地で歌うこのフレーズはとてつもない強度を持っていた。「また次はバンドでお会いできればと思います! バイバイ!」と晴れやかな表情で去って行った川上。まだまだ夢は続いていくのだ。
撮影=河本悠貴
このライブは配信も行われ、アーカイブ映像が視聴できる配信
※原文ママ
文=小松香里 撮影=河本悠貴