ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B’wayミュージカル非公式ガイド【2022年秋号】

2022.10.1
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特に演劇専門ではないニュースサイトなどでも割と大きく取り上げられていたのでご存知の向きも多いと思うが、1988年から上演され続けている歴代最長ロングランミュージカル、『オペラ座の怪人』がついにクローズすることが発表された。筆者がブロードウェイ通いを始めた頃からあった唯一の作品であり、ほかの作品が軒並み休演となる木曜マチネにも公演があったおかげでリピートする機会も多かったので、それなりにショックである。

ほかにも、『カンパニー』『ティナ』『カム・フロム・アウェイ』(と、間もなく『ディア・エヴァン・ハンセン』)が前号でお伝えした通り、また『ミスター・サタデーナイト』と『パラダイス・スクエア』に至っては前号掲載後に発表されてそのままクローズ。ヒュー・ジャックマン主演の『ザ・ミュージックマン』や、カルト的人気を誇っていた『ビートルジュース』も、年明けすぐのクローズが発表されている。嗚呼、諸行無常のブロードウェイ…。

そんなわけで、5月のブロードウェイ旅行で観てきた10本を毎号2~3本ずつ、できれば“上演中”のうちに紹介していくという本連載の目論見は早くも崩れ、2回目にしてクローズ済の作品を含めることになってしまったが、今号は『ザ・ミュージックマン』と『パラダイス・スクエア』を。前者の千秋楽は来年元旦、急げばまだ間に合う…!

 

■『ザ・ミュージックマン』

1957年生まれの作品を、特に現代の視点を取り入れたりすることなくそのままリバイバルしているので、評論家筋からの評価は高くなくトニー賞もノミネート止まりだったのはまあ分かる。分かるが一般客的には、というか少なくとも筆者的には「お見事!」と言いたくなる舞台だった。顔を見せただけで体感3分のショーストップとなり、それを笑顔ひとつで受け止めたヒュー・ジャックマンのスター性がまず見事で、彼と相手役サットン・フォスターのまばゆいばかりの華・演技力・歌唱力・ダンス力、二人の相性の良さも見事なら、彼らと物語の魅力を最大限に生かしたジェリー・ザックスの演出とウォーレン・カーライルの振付も見事。代は恐ろしく高いが(それでも今は筆者が行った時よりは下がって平均約240ドル=約35,000円)、世界的スターの見事なパフォーマンスを間近で観られる興奮で客席が一体となる快感も、また近年まれに見る大所帯のアンサンブル&オーケストラも、ブロードウェイでしか決して味わえないものなので行ったからには観ないと損!

■『パラダイス・スクエア』

『リトル・ウィメン』『生きる』『東京ラブストーリー』の作曲や、多数のワイルドホーン作品の編曲を手がけて日本でもお馴染み、ジェイソン・ハウランドの新作(本人自ら指揮台に立っていて驚いた)。南北戦争中のマンハッタンに本当にあった、黒人とアイルランド系移民が奇跡的にも仲良く暮らしていた街の人間模様をドラマティックに描く。ニューヨークの近代史を音楽と絡めて描く点が似ているからか、『ラグタイム』みたいなことをやろうとして失敗しちゃったような印象。ハウランドの音楽も『生きる』ほどは振るわず、その上プロデューサーのスキャンダルまであったからには、3か月でのクローズもやむなしといったところか。ただ、トニー賞でも披露された主演女優による終盤のソロは素晴らしく、それだけでも観る価値はあった。日本でも上演されるならばぜひ濱田めぐみ氏にお願いしたい。


 

【2022-2023シーズンの新作】
*情報は2022年9月29日時点のもの

『1776』プレビュー中/10月6日開幕予定/2023年1月8日まで
1969年のトニー賞受賞作をD・パウラス演出でリバイバル。米国独立宣言の裏側を描く。https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2022-2023-season/1776/

『Almost Famous』10月3日プレビュー開始予定
映画『あの頃ペニー・レインと』を、監督自身の脚本とT・キットの音楽でミュージカル化。https://almostfamousthemusical.com/

『A Beautiful Noise』11月2日プレビュー開始予定
ニール・ダイアモンドの伝記系ジュークボックス。M・メイヤー演出、W・スウェンソン主演。
https://abeautifulnoisethemusical.com/


『Camelot』2023年3月9日プレビュー開始予定
ラーナー&ロウ(『マイ・フェア・レディ』)の古典をリバイバルの名手、B・シャー演出で。
https://www.lct.org/shows/camelot/

『クリスマス・キャロル』11月8日プレビュー開始予定/2023年1月1日まで
ミュージカルではないのだが『ガイズ&ドールズ』のM・アーデン演出なので載せておく。
https://www.achristmascarollive.com/

『イントゥ・ザ・ウッズ』2023年1月8日まで
好評だったコンサート版の期間限定BW公演…のはずが延長されキャストもさらに豪華に。https://intothewoodsbway.com/

『&ジュリエット』10月28日プレビュー開始予定
ロミジュリの後日譚をM・マーティンの大ヒット曲で綴るロンドンのヒット作がBWへ!
https://andjulietbroadway.com/

『Kimberly Akimbo』10月12日プレビュー開始予定
オフの賞を総なめにした話題作がオンに。早老症の女子高生の物語をJ・テソーリの音楽で。https://kimberlyakimbothemusical.com/

『KPOP』10月13日プレビュー開始予定
Kポップシーンの裏側を描くオフ作品がオン進出。『The View Upstairs』の作曲家も参加。
https://www.kpopbroadway.com/

『お熱いのがお好き』11月1日プレビュー開始予定
マリリン・モンロー主演の名作映画をC・ニコロウ(『アラジン』)の演出・振付で舞台化。
https://somelikeithotmusical.com/

『スウィーニー・トッド』2023年2月26日プレビュー開始予定
ソンドハイムの傑作を『ハミルトン』の演出家がリバイバル。ジョシュ・グローバン主演。
https://sweeneytoddbroadway.com/

 

【2021-2022シーズンの準新作】

『ファニー・ガール』
58年ぶりのリバイバル。M・メイヤー演出。9月より『glee』のリー・ミシェルが主演中。
https://funnygirlonbroadway.com/

 

『MJ The Musical』
マイケル・ジャクソンの伝記系ジュークボックス。祝トニー賞振付・主演・照明・音響賞!
https://mjthemusical.com/
→2022年夏号で紹介済(https://spice.eplus.jp/articles/304899)

『ザ・ミュージックマン』2023年1月1日まで
H・ジャックマンとS・フォスターが夢の共演。スターを観る喜びに満ち満ちた2時間半。
https://musicmanonbroadway.com/

『SIX: The Musical』
ヘンリー8世の6人の妻がガールズパワーを炸裂させる痛快作!祝トニー賞楽曲・衣裳賞。
https://sixonbroadway.com/
 
『A Strange Loop』
2022年のトニー賞受賞作。ミュージカル作家を目指す太めでクイアな黒人青年の物語。
https://strangeloopmusical.com/
 
 

【ロングラン作品】

■日本で既に上演された/されている作品

『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯は本当に魔法。
https://www.aladdinthemusical.com/

『シカゴ』
間もなくロングラン第1位となる名物作。秋に主演予定だった米倉涼子は残念ながら降板。
https://chicagothemusical.com/

『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/

『オペラ座の怪人』2023年2月18日まで
言わずと知れた世界的メガヒット作。永遠の命かと思っていたが35年でついに終幕。
http://www.thephantomoftheopera.com/

『ウィキッド』
開幕から20年近くが経ち、ようやくに多少の余裕が。定期的に観たい傑作。(日本では劇団四季が2023年10月~期間限定上演を発表)
https://wickedthemusical.com/
 

■日本未上演の作品

『ビートルジュース』2023年1月8日まで
2019年作品の再演。『ムーラン・ルージュ!』でトニー賞に輝いたA・ティンバース演出作。
https://beetlejuicebroadway.com/
 

 

『ブック・オブ・モルモン』
2011年のトニー賞を制した、もはや“古典”の領域の傑作。1周回って日本語版を妄想中。
https://bookofmormonbroadway.com/

『カム・フロム・アウェイ』10月2日まで
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/
 
『Hadestown』
『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/
 
『ハミルトン』
近年最大のモンスター級ヒット作。ディズニー+で配信中(日本語字幕付き)。
https://hamiltonmusical.com/
 
『ムーラン・ルージュ!』
2021年のトニー賞受賞作。原作はB・ラーマン監督の映画。2023年に日本で上演される。
https://moulinrougemusical.com/