歌舞伎と落語がコラボ、中村芝翫と春風亭小朝が国立劇場11月歌舞伎公演で夢の競演 

2022.10.19
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舞台

(左から)中村芝翫・春風亭小朝

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2022年11月2日(水)~25日(金)国立劇場 大劇場にて、国立劇場11月歌舞伎公演『歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵』が上演される。

多彩な伝統芸能の上演により、芸能の振興と技芸の伝承に取り組んできた国立劇場。令和4年9月~令和5年10月まで、「初代国立劇場さよなら公演」と題して、開場以来の集大成となる、未来へつなぐ記念公演を上演している。

「初代国立劇場さよなら公演」歌舞伎の第二弾となる11月は、義太夫狂言三大名作のひとつ『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』を上演。今回は、“歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”と銘打ち、国立劇場ならではのジャンルを超えた特別企画をおくる。 中村芝翫が約30年ぶりに早野勘平(はやのかんぺい)を演じる『仮名手本忠臣蔵』五・六段目と、 落語家・春風亭小朝による「忠臣蔵」にちなむ落語二席を楽しむことが出来る。

落語『殿中でござる』と『中村仲蔵(なかむらなかぞう)』

春風亭小朝

近年、春風亭小朝がライフワークにしてきた菊池寛の小説を落語に仕立て直して口演する落語会「春風亭小朝独演会-菊池寛が落語になる日-」。『殿中でござる』は、同会で発表した一席で、松の廊下での刃傷から討ち入りまでを吉良上野介側の視点で描いた短編「吉良上野の立場」を元にしている。赤穂事件とは何かを知らない方も、自然に忠臣蔵の世界へいざないながら、事件の顛末を新たな視点で楽しめる。

『中村仲蔵』は、名門の血筋ではない役者・中村仲蔵が、下積みの辛酸を舐めながら、芸道に精進する出世譚。ある時、「忠臣蔵」で“弁当幕”と称されていた五段目で、端役の斧定九郎をあてがわれた仲蔵。役づくりに悩み、柳島の妙見堂に願掛けに参った帰り、独特の風体の侍を見かける。芝居の初日、その姿をもとに斬新な工夫を凝らして演じたところ、感じ入った観客は息をのむ。一方、観客の反応に手ごたえを感じることのできなかった仲蔵は、失意のまま江戸を去ろうとするが、座頭に名演と褒められて大出世する。夫婦の情愛も織り交ぜ、 懸命に芸の工夫を重ねる姿を描いた物語は、今なお色褪せない内容。今日に伝わる定九郎役の型は、後半の歌舞伎の舞台で実際に堪能できる。

歌舞伎「忠臣蔵」五・六段目 ~勘平の苦悩と悲劇~

恋仲の腰元おかると束の間の逢瀬に耽り、主君・塩冶判官の大事の時、足利館(江戸城)にいなかった早野勘平。

早野勘平(中村芝翫)

「鉄砲渡し」 では、自らの不忠を恥じ、おかるの実家に身を寄せる勘平が、簑をつけて鉄砲をかついだ猟師姿で登場し、落ちぶれた境遇にあることを窺わせる。思いがけず同じ家中の千崎弥五郎と出会った勘平は、苦しい胸中を吐露するとともに、仇討の同志に加わるため金を工面することを約束し、仇討への強い想いを滲ませる。

「二つ玉」の前半では、初代中村仲蔵の工夫以来、印象的な役となった斧定九郎の凄惨な殺しから死に様までが、歌舞伎ならではの様式美たっぷりに展開する。銃声の後に現れた勘平は、定九郎の死骸の懐中の財布に気づき、一度はその場を離れるが、引き返して財布を取ると一目散に走り去る。迷いと喜びの錯綜した勘平の心理の動きが、無言のまま効果的に描き出される。

早野勘平(中村芝翫)

「勘平腹切」の冒頭、帰宅した勘平は、濡れた着物から美しい浅葱(あさぎ)色の紋服に着替え、色男ぶりを漂わせる。おかるを迎えに来た遊女屋の話を聞いていた勘平は、財布の模様をきっかけに、昨夜撃ったのが義父の与市兵衛(よいちべえ)だと思い込み、良心の呵責にさいなまれる。おかるに真実を打ち明けられぬまま、別れを惜しむ勘平の姿には悲哀が漂う。そして、この誤解からついに切腹へと至る勘平の苦悩が、悲劇的に綴られていく。中村芝翫が、平成5年(1993)の初役以来、29年ぶり二度目となる勘平を演じる必見の舞台だ。

今回の公演では、多彩な広がりを見せる「忠臣蔵」の醍醐味を、歌舞伎と落語の双方からたっぷりと堪能できるものになっている。

公演情報

〈初代国立劇場さよなら公演〉令和4年11月歌舞伎公演
令和4年度(第77回)文化庁芸術祭協賛公演
『歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵』
 
日程:2022年11月2日(水)~25日(金) ※7日(月)・16日(水)・23日(水・祝)は休演 ※17日(木)は貸切
 
会場:国立劇場 大劇場
【落 語】
一、 『殿中でござる』
ー太神楽ー
二、 『中村仲蔵』

 
【歌舞伎】
『仮名手本忠臣蔵』二幕三場
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
 
\夜公演は/ コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆
【落語】
『中村仲蔵』
【歌舞伎】
『仮名手本忠臣蔵』二幕
五段目 山崎街道二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場

 
出演:
【落語】 春風亭小朝
【歌舞伎】 中村芝翫、中村松江、中村歌昇、中村梅花、市川笑也、市村萬次郎、中村歌六 ほか

 
料金:(各部・税込)
1等席 10,000円(学生7,000円)/2等席  8,000円(学生5,600円)/3等席  3,500円(学生2,500円)
※障害者の方は2割引です(他の割引との併用不可)
 
\夜公演は/ コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆ ※一部上演内容が異なります。
1等席 9,000円(学生6,300円)/2等席  7,000円(学生4,900円)/3等席  3,000円(学生2,100円)

 
お申込み 国立劇場センター https://ticket.ntj.jac.go.jp
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)[午前10時~午後6時]
 
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