宇梶剛士が自身のルーツである北海道の地で「アイヌ」を問う～劇団PATHOS PACK『劇場版　永遠ノ矢トワノアイ』が東京で初上映へ

俳優の宇梶剛士が主宰し、作・演出を務める劇団PATHOS PACK。その舞台『永遠ノ矢＝トワノアイ』の劇場版が今秋東京での初上映を迎え、下北沢トリウッドにて公開中である。

舞台『永遠ノ矢＝トワノアイ』は、宇梶剛士が自身のルーツの一つである北海道、そして「アイヌ」をテーマに、先人たちの想いとそれを受け継ぎ現代を生きる若者を時を往来して紡いだ歴史と成長の物語。2019年に東京の座・高円寺で初演されたのち、2021年7 月に再演。当初は札幌をはじめとする北海道内7カ所での上演が企画されていたが、新型コロナウィルスの影響で釧路・平取・北見の3カ所を巡るツアー公演となった。しかしながら北海道の地での反響は大きく、より多くの人へと届けるべく終演後に釧路公演の上演記録を元に『劇場版　永遠ノ矢トワノアイ』の製作を敢行。約8ヶ月の製作期間を経て、今年3月、札幌・シアターキノでの上映を皮切りにこれまで道内各地10カ所で拡大上映された。北海道の地を巡った本作が東京で公開・上映されるのは今回が初めてである。

下北沢トリウッドでの上映を前に宇梶剛士は「アイヌ語で『矢』は『アイ』と言う。３月に札幌で初上映された今作は劇中空に向かって放たれた矢の如く、道内各地に飛び広がり１０ヵ所の劇場で上映された。そしてこの度、矢は北海道から東京に向い飛び続ける。この矢はどこまで飛び続けるのか。その答えは観てくださる方一人一人の心の中にあるでしょう」とコメントを寄せた。

出演は、作・演出を務めた宇梶剛⼠をはじめ、⾦井良信、平野貴⼤、岡⽥優、オバタアキラ、仲道和樹、三崎栞、橘ゆかり、下畑博史、杉本凌⼠、岩⼾秀年、菅川裕⼦、並⽊秀介、中村英⾹。劇場版の監督は上林昌嗣が務めた。下北沢トリウッドでの上映期間は10月22日〜1１月4日を予定。上映時間は128分。上映後には宇梶剛士ら出演者によるアフタートークを開催。

＜STORY＞

菅野家の次男・海は、母方の祖父の葬儀の席で、長男・一矢が出席していないこと、20年前に亡くなった海たちの父親の墓を建てていないことを叔父たちに責められていた。のらりくらりと責めをかわす海に、興奮した叔父が受け入れ難い言葉を吐く…。なんと、３歳下の妹・環菜が、自分とは本当の兄妹ではないと言うのだ。帰宅後、母親に真実を問う海であったが埒はあかず、数年前に北海道に行ったきり戻ってこない不仲の長男・一矢に会うために、海は北の大地に向け旅立つのであった。

一方、亡き父の故郷で。先祖代々受け継がれてきた矢筒の伝承を辿ろうとしている長男・一矢。その伝承とは、自分たちの先祖、弓の名手・イソンクルが、敵の将を射ずに、矢を捨て姿を消したという言い伝えであった。代々受け渡されて来たという矢筒を手に、一矢の思念は350年前のアイヌモシリへと飛び交錯し絡み合い始めるのであった。

※イソンクルの「ル」は小文字