柚希礼音×美弥るりか「たくましく生きている、個性豊かな女性たちがいる舞台です」~SHOW-ism Ⅺ『BERBER RENDEZVOUS』インタビュー
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(左から)柚希礼音、美弥るりか Photo by Leslie Kee
2022年11月・12月にシアタークリエにて、SHOW-ism Ⅺ ショープレイ『BERBER RENDEZVOUS』(ベルベル・ランデヴー)が上演される。『マドモアゼル・モーツァルト』『リトルプリンス』の演出家・小林香が作・演出を手掛ける『SHOW-ism』シリーズだ。
11作目の今回は、柚希礼音、美弥るりかを中心とした、唯一無二の個性を持つ11人のキャストと、花乃まりあ、愛月ひかる、昆 夏美、新妻聖子、涼風真世、瀬戸かずや、ソニンの超豪華ゲストも迎え、オール女性キャストでお送りする。
今回、都内某所でおこなわれた柚希礼音と美弥るりかの取材会の様子をレポートする。
ーー今回のSHOW-ism Ⅺ『BERBER RENDEZVOUS』はどんな作品になりますか?
柚希:ショーではあるのですが、とても上手にストーリーが入っているんですね。『映画の短編を作っていく』話なのですが、踊りや歌が多いので、ものすごく見ごたえがあります。私はアクションがあったり、男役に挑戦したり、いろいろ変化がたくさんあります。最後まで「一体この話どうなるの?!」って引き込まれるような、面白くてかっこいい作品です。
美弥:女性だけのカンパニーなんですが、全員、強烈な女性キャラクターなんです。私の演じるハロッズ(役名)とちえさん(柚希の愛称)演じるベラッジョだけ顔見知りですが、他はみんな面識がない。各国から集まった人たちで全くまとまりがないんです。その中で、みんなでオムニバスのような短編映画を撮っていこうとなって始まります。その短編映画も、それぞれジャンルが違うので、すごくわくわくするものになっています。どんどん物語が展開していくけれど、お客様もおいていかれずについていけるのは、ストーリーがひとつの軸になっているからだと思うんですね。この点が『SHOW-ism』シリーズでないとできない作品だなぁって感じてます。「ショーを見た」という気持ちだけじゃなく、「登場人物の結末を見届けた」という感覚になるのではないでしょうか。
ーー東京国際映画祭オープニングアクトに出演されましたがいかがでしたか?
柚希:かなり緊張しましたし、気合も入りました。いざ出番となったら「ちゃんとしないと!」ってシャンとしたんですけどね。
美弥:久々に男役らしい格好つけるポーズをとったからか、あれから首が痛いんですよ(笑)。そのくらい気合が入ってました。
柚希:東京宝塚劇場に立つことも、「またこのステージを踏んでいいの?」って思って。(宝塚を)退団してからは神聖な場所に感じているんですよね。でも、実際立ったら自然と2階を見ちゃって(笑)。
美弥:わかります、見ちゃいますよね、誰もいないのに。ついつい銀橋行くと2階を見ちゃう。
(ふたりそろって2階を見上げるポーズをとる)
柚希:今回私たちが(『ベルベル・ランデヴー』で)演じる二人は、映画が大好きだけど、映画に出演する機会をつぶしてしまった二人なので、映画祭のオープニングアクトへ出演できたのは、とてもご縁を感じました。奇跡のような経験でしたね。
ーー宝塚以外でのご共演、いかがですか?
柚希:るりるりは宝塚時代に新人公演で私の役を演じたのですが、すごく勉強熱心な子で、私もいろいろ教えて、「おお、頼もしくなってきたなぁ」って時に、月組に組替えになり涙のお別れをしたのですが、またこうして一緒に作品を作っていけることが、とても嬉しいです。舞台での共演は稽古期間がみっちりあるから、なんだかあのころの星組で一緒にいた時のような感じがして。時間が経っていることが信じられないなってくらい、自然で。それでも、あの時からお互いに学んできたことが、それぞれあるんですよね、その変わった部分もぶつけ合いながら一緒に同じ舞台を作れることがとても嬉しいです。
美弥:柚希さんと一緒に舞台に立てるなんて、本当に奇跡だって感じています、こんな日が来るなんて……! って。宝塚では10年で男役を作るって言われていて、その時期にぴったり星組にいました。それこそ、東京国際映画祭オープニングアクトで披露した『オーシャンズ11』の公演が、星組での最後の公演だったんです。柚希さんは長くトップをされて卒業して、そのあともたくさんの主演で頑張っていらっしゃるから、自然と現場を引っ張っていかれるんですよね。そういう経験が、今のちえさんを作っているんだって、今回すごく感動しています。
SHOW-ism Ⅺ ショープレイ『BERBER RENDEZVOUS』
ーー例えばどんな時に、変化を感じますか?
美弥:宝塚時代は上級生として見ていて、憧れの気持ちの方が強くて、ご本人がどういう動きを裏でしていたか、見えていなかったんです。でも、こうして時を経て実際見てみると、カンパニー全体が困らないようにしてくれているんです。先に演出家の方に声をかけていたりとか、稽古場を円滑に回して、みんなが不自由を感じないように気を配ったりとか、そうやって、先回りして気を使ってくださることに感動して。
柚希:ほんと~!? うれしい!
美弥:私、舞台の上や稽古場で輝いているちえさんしか見えていなかったので、周りの方やスタッフさんたちとどんな風に過ごして、私たちを思って動いてくださっていたのか知って、感動しました。いや、感動というか、さらに尊敬しました。
柚希:それで言ったらるりるりだってそう。自分だけのことにならず、現場の全体を見てる。その場をうまく仕切って進めてくとか、してるよ。例えば、ストーリーのあるショーだから、実際、動いてみると演出と振付、そして私たちのなかでうまくかみ合わないところとかがあるんです。違和感があったり、動きにくいなと感じるところが。そういう時に、るりるりは「この子たちは、これこれこうだから動きにくそう」って、周りのこともちゃんと言ってあげたり、えらいなって思ってる。
ーーおふたりはとても和気あいあいとされていますが、今回の役どころとしては「仲が悪い」役ですね。
柚希:最初台本を読んだときは、「いじめを受けてる」ぐらいに思ったけど、稽古を通してみて「ああ、違うんだな」と感じました。私の演じるベラッジョも言葉は少ないけど、映画に対してハロッズと同じぐらい熱い思いがある。だから、ベラッジョも失敗したのは、ハロッズのせいだと思ってるぐらい、強いんです、実は。
美弥:そうですね、ベラッジョも譲れないところがある。
柚希:実際に演じてみたら、一方的に言われるだけではなくて、対等になった感じがしたんですよ。(作・演出の)小林香さんからは、「寡黙な感じで」「『北の国から』の田中邦衛さんみたいにやってほしい」って言われたんです(笑)。それがもうむずかしくって。スタントウーマンだということもあるし、リーダー感もあるキャラクターなので、ちょっとボーイッシュであってほしいと言われています。
美弥:ハロッズは、子役で有名になったけど、泣かず飛ばす、残念なセレブの結末……みたいな状態なんですね。ハロッズはプライドもあって勘違いされやすい言動が多いタイプだと思うのですが、役者として映画も愛しているし、可愛いところもあるので、そこをちゃんと出していけたらな……と思っています。ただ、ハロッズは強い女性だけれど、周りの女性も強くて……ちょっと動物園みたいにパワフルで(笑)。本当にいつも圧倒されちゃうんです。
ーーたのしみにしていらっしゃるみなさまへ、メッセージをお願いいたします。
美弥:SHOW-ismって毎回、作品の顔が違うんですよね。もしかすると、謎なまま来ていただいた方が楽しめるんじゃないかなって思っています。今回は配信もないので、是非、シアタークリエにいらっしゃってください。
柚希:はじめてのSHOW-ismです。実際に稽古を経験して、「いい企画!」って思いました。宝塚以外のショーを全員女性で成立させてすごいなって。たくましく生きている、個性豊かな女性たちがいる舞台です。お客様が帰るときに、何かを受け取っていただけるように頑張ります。今回は残念ながら地方公演もないので、是非、シアタークリエにお越しください。
取材・文=森 きいこ
公演情報
会場:日比谷 シアタークリエ
柚希礼音 美弥るりか
JKim 佐竹莉奈 鈴木瑛美子 宮本美季 原田薫
菅谷真理恵 中嶋紗希 RISA 宮城ユリカ
11月20日(日)18時公演
11月23日(水・祝)13時公演
11月23日(水・祝)18時公演
11月21日(月)13時公演
11月21日(月)18時公演
11月22日(火)18時公演
11月25日(金)13時公演
12月3日(土)13時公演
12月3日(土)18時公演
11月26日(土)13時公演
11月26日(土)18時公演
11月27日(日)13時公演
11月28日(月)13時公演
11月28日(月)18時公演
11月29日(火)13時公演
12月1日(木)13時公演
12月1日(木)18時公演
12月2日(金)13時公演
12月4日(日)13時公演
12月5日(月)13時公演
料金:11,000円(全席指定・税込)