マリー・アントワネットが現代日本へとタイムトリップ? BEYOOOOONDS出演 演劇女子部『ビヨサイユ宮殿』開幕
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(上段左から) 岡村美波、一岡伶奈、西田汐里、前田こころ、清野桃々姫、小林萌花(下段左から)島倉りか、江口紗耶、山﨑夢羽、里吉うたの、平井美葉、高瀬くるみ
BEYOOOOONDSが出演する演劇女子部『ビヨサイユ宮殿』公演が、こくみん共済coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて2022年11月11日(金)より開幕した。
本作は現実とは別に存在する“パラレルワールド”で、歴史上の人物・マリーアントワネット(演:山﨑夢羽)が現代日本へとタイムトリップし、そこでアイドルグループ「BURBOOOOONS(ブルボーンズ)」のメンバーとして活躍していく物語。
マリーは侍女のリーナ(演:里吉うたの)と共に時代も国も全く異なる2つの世界を行き来しつつ、鳥籠の鳥のように不自由な境遇から、人々に愛される王妃・アイドルへとしなやかな成長を遂げていく。
史実ではマリー・アントワネットは最後にフランス革命で処刑されるが、この物語は“パラレルワールド”だ。成長の先にマリーがどんな結末を掴むのか、最後まで目が離せないストーリーをおおいに楽しんでほしい。なお公演の前でも後からでも、18世紀フランスの歴史を学ぶとより楽しめるポイントもちりばめられている。
また、作中ではキャスト陣の衣装も見どころ。クラシカルなシルエットに気品と贅沢な華やかさを感じさせる貴族階級の衣装、そして“君のお姫様”をコンセプトにしたBURBOOOOONSのまとうアイドル衣装は日頃のBEYOOOOONDSのスタイルではなかなか見られない、ファンの密かな願望を具現化させる演劇女子部ならではの仕立てぶりとなった。
18世紀のフランス側に登場するデュバリ(演:高瀬くるみ)、ドミニク(演:島倉りか)はマリーのファッション改革に直面して変身していく。一方で男役として脇を固めるルイ16世(演:江口紗耶)も、はじめは頑なながらマリーの改革に心を動かされ変わる人間のひとり。ストーリーテラーとして軽やかな口上で立ち回るルソー(演:平井美葉)も魅力的なキャラクターだ。
そして、現代日本側に登場するBURBOOOOONSは“パラレルワールド”ならではの、どこかにいたかもしれないアイドルグループの内側を見せてくれる。メンバーのカメリア(演:西田汐里)、マグリット(演:前田こころ)、イリス(演:清野桃々姫)、リラ(演:一岡伶奈)、コクリコ(演:岡村美波)とフランスの花から名付けられた5人はアイドルデビューという同じ目標を達成するまではまとまっていたものの、そのあとの思いは一人ひとりバラバラ。日々の密接な関わりを避けられない女の子達の内輪だけの場は、どこか不思議と18世紀のフランス貴族社会に重なる部分もある。
事務所の社長としてBURBOOOOONSを売り出していく桜木香奈(演:小林萌花)はそんなところに飛び込んできたマリーとリーナに可能性を見出し、2人をBURBOOOOONSへ加入させる。マリーはここでも一つずつ壁を乗り越えて改革を起こしていき、やがて物語はクライマックスへと向かう。
18世紀フランスをはじめとした貴族社会と、アイドルには、実は根本的な共通点がある。どちらも彼女たちを見つめる大衆の存在なしには成り立たないということ。貴族社会では「民衆」、現代アイドルグループにとっては「ファンの皆さん」と呼び名は変わっても、突飛な組み合わせの両世界を貫くものがこのテーマだと気づいた時、マリーが最初から発し続けていた民を想う言葉は真の説得力を持ち始める。舞台を見終わったときにはきっとどの登場人物からも輝きが見え、愛おしく感じられてくるはずだ。
演劇女子部「ビヨサイユ宮殿」公演は11月20日(日)まで上演中。会場では新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した上で、全15公演が予定されている。