パワーアップしたホスミュが観客をおもてなし 歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒ舞台レポートが到着
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2022年12月2日(金)に東京・天王洲 銀河劇場にて、歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒが開幕した。本作は、月刊「LaLa」(白泉社)にて連載され、テレビアニメ・実写ドラマ・実写映画化などもされた葉鳥ビスコの人気漫画をミュージカル化した作品。なお、東京公演12月 3 日(土)18:00公演と、大千秋楽となる大阪公演12月18日(日)17:00公演が動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にてライブ・アーカイブ配信される。
ホスト部メンバーには、須王環役の小松準弥、鳳鏡夜役の里中将道、常陸院光役の二葉勇、常陸院馨役の二葉要、藤岡ハルヒ役の山内優花が初演から続投。埴之塚光邦役として設楽銀河、銛之塚崇役として田鶴翔吾が新キャストとして加わった。
以下、公演の模様をレポートする。
第二弾公演ということで、すでにチームワークはばっちり。演出に米山和仁を迎えさらにパワーアップし、より強く、より気高く、より麗しくなったホスミュが観客をおもてなしする。
ホスト部メンバーのほか、黒魔術部部長・猫澤梅人(大海将一郎)や、自称ホスト部マネージャーでオタク気質のお嬢様・宝積寺れんげ(斉藤瑞季)などおなじみの面々に加え、ハニー先輩の弟・埴之塚靖睦(熊谷魁人)とモリ先輩の弟・銛之塚悟(大久保樹)、そして海外からの留学生ミシェル(竹井未来望)と、初登場のキャラクターたちが今回も騒動を巻き起こす。
ミシェルは、ヨーロッパの小国・モナール王国の第一王女。環は「レディをおもてなしするのがホスト部の務め!」と王女のおもてなしをかって出るが、王女はわがまま放題だった。
王女の言動にフラストレーションをためていくホスト部の面々だが、環は何か思うところがあるようで・・・。
さらに、ハニー先輩の弟・靖睦は、兄に思うところがあるようで。埴之塚家の教えの通り出会い頭に勝負を挑んでくる。甘いものとかわいいものが大好きなハニー先輩の意外な一面と、弟の複雑な心の内。光邦と靖睦、崇と悟の関係性や、環との出会いなど、ホスト部3年の名コンビの背景を深掘りしたエピソードを、を新キャストの設楽と田鶴が好演している。
それぞれ一歩踏み込んで描かれるキャラクターたちも見どころ。常陸院ブラザーズも環との出会いで大きく変化したことが、歌劇ならではの表現で描かれている。他人を立ち入らせなかった双子の心を環は自然と解きほぐしていく。そして、前作でハルヒにも開いた双子の心がまた違った感情で動き始め、その発露に双子の個性が見える。実の双子である二葉勇と要だからこそ醸し出せる絶妙な双子の距離感と、歌声のハーモニーに注目だ。
また、後半では桜蘭学院初の体育祭が行われることに。鏡夜は、環が内緒で企画を進めたこと、体育祭開催に対しメリットが感じられないことから怒り、白組大将として、環を本気で潰しにかかってくる。一見、クールで打算的な鏡夜の、実は熱くて愛情深いところがまた、環によって引き出される。体育祭といえば、原作でもきらびやかに描かれた「応援合戦」も見どころだ。配信では、里中の切れ長の瞳が燃える瞬間をアップで見て欲しい。
太陽のように明るくパワフルに周囲を巻き込んでいく環だが、その根本にはどこか孤独と寂しさがにじむ。それを含めて、小松が笑顔の明度変化で「環」という存在の人間味を感じさせてくれる。ハルヒへの気持ちを「お父さんだから」と思い込む姿もいじらしい。山内の演じる、鈍さと素直さを併せ持ったハルヒと、お互いにちょっとしたことであたふたする姿には胸をキュンとさせられる。
少しずつ、登場人物たちの心の動きが強くなってきた本作では、ハルヒと共にホスト部メンバーをより深く知ることができる。心も身体も軽くなるような、ハッピーな「歌劇」を楽しんでほしい。
歌劇『桜蘭高校ホスト部』ƒは、12月11日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演後、12月17日(土)・12月18日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。上演時間は2時間20分(休憩なし)を予定。
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でのライブ配信は、12月18日(日)17:00公演にて(東京12月3日(土)18:00公演は12月10日(土)23:59まで見逃し配信中)。ほか、アーカイブ配信あり。