白銀の頼り甲斐ある姿を見るたびに、私の中のかぐやが彼女の顔してるんですよ――『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』公開直前インタビュー　古賀葵編

これまで三度にわたりテレビ放映されてきたアニメ『かぐや様は告らせたい』シリーズ。最新作は、シリーズ初となる映画館での特別上映も決定した。タイトルは『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』。

2022年4月から放送されていた『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』、その衝撃のラストとなった“あの”キスシーン後の二人の、そして仲間たちの姿が描かれる本作。果たして二人の関係はどのように進展するのか!?　というか本当に進展するのか……？　ファンにとって続きが気になってたまらない作品となっている。

SPICEでは今回、本作の主人公である四宮かぐや、白銀御行を演じる古賀葵、古川慎の二人にインタビューを決行。今回は四宮かぐや役・古賀葵へのインタビューになる。

テレビ放送の例のキスシーンを目の当たりにした瞬間のエピソード、これから公開される『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』に登場する“氷かぐや”を演じての印象、そして共演者である古川慎に抱く想いにまで訊いた。

■もう続編は制作されないかもしれない、そう思っていたので……

――これまで三期にわたって放送されてきた『かぐや様は告らせたい』シリーズの新作が公開されることとなりました。今の率直なお気持ちから伺えますか？

来ましたね！　もしかしたら『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』でアニメシリーズは完結なんじゃないかと思っていましたから、お話をいただいた時は嬉しい気持ちでいっぱいでした。

――アニメは完結した…なぜそう思われたのでしょう？

締めくくるにはあまりにいいタイミングだったので……。それに、第二期は締めのナレーションが「まだまだ、まだまだ続く！」に対して第三期の締めは「終わり」なんですよ！

――確かに。すると新作の制作を知った時の気持ちはひとしおだったのでは？

本当に嬉しくてたまらないです！　三期が終わった後もいろんな方から「古賀さんが演じるかぐや、すごくよかったです！」と言っていただくこともありましたからね。その人たちの期待に応えられるんだな、そう思ったら本当に、続いてよかったと思いました。

――そんな新作ですが、描かれるのは“あの”ファーストキスからクリスマスまでのエピソードとなります。

これまで自分達の感情を隠してきた白銀とかぐやが、ついにお互いの感情をぶつけあうエピソードには、私自身もすごく思い入れがあります。このエピソードで相手のことをより深く理解することが、今後の二人の関係性を大きく変えていきますからね。物語としても楽しみだし、ここで古川さんがどんな演技を見せてくださるのか、そして私がそれにどう返すのか、それを考えるとすごくワクワクしました。

■“あの”シーンを思わぬ形で知ってしまった、古賀葵に訪れた小さな悲劇

――先ほども少し触れたのですが、改めて“あの”ファーストキスのシーンについても伺いたいです。かぐやからキスをすると知った時の印象はいかがでしたか？

衝撃でした！　それも私、あのシーンを初めて読んだのが連載されている『週刊ヤングジャンプ』で、単行本でずっと読んでいたのに急にあの話だけ先取りで知ってしまって……。

――それは災難でしたね……。そのような事故が起こってしまったのはどういった経緯で？

あのシーンが『週刊ヤングジャンプ』に掲載された時、ちょうど第二期の収録中だったんです。それでスタッフの方が持ってきていたものをうっかり読んでしまって……。そうしたらいきなりキスしてるんですよ。「えーーっ！」って声が出ちゃったのをよく覚えています。

――そこまで単行本で読まれていたということは、キスに至るまでのストーリーもわからないままいきなりキスシーンを見せられる形になったと。

その通りです！　なので、それからしばらくは「私が読んでいる単行本最新刊からキスに至るまで何が起こったんだろう……」って気になったままを過ごすことになるわけです。辛い日々でした……。

――尚のこと気になる。

本当に……。私からしたらかぐやが「経緯は不明だが自分からキスをすることになる女性」にうつるわけですよ。ストーリーは気になって仕方がないし、かぐやを演じていてもあのシーンが脳裏にチラつきますし、「やってしまった！」という感じでした。

――そんなある意味モヤモヤと気になっていたシーンを演じることとなった印象はいかがでしたか？

遂に来た！　という思いでいっぱいでした。長らく待っていた瞬間でしたからね。演技自体は長年の脳内シミュレーションが功を奏してくれていたらいいなと思います（笑）。

■過去のかぐやのようであり、そこにおさまらない“氷かぐや”の魅力

――『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』では“氷かぐや”という、かぐやの人格の一つが登場することも発表されました。改めてどういったキャラクターなのでしょう？

“氷かぐや”は、かぐやの中に存在する、人間を利用できるかどうかで判断する冷酷な人格。本シリーズが始まった頃のかぐやや、それよりさらに過去、白銀とかぐやの出会った頃の彼女にすごく似た性格をしているんです。いわば彼女の元来のあり方、根幹の部分とも言えると思います。

――確かに、本作では過去に遡るほどかぐやは冷酷なキャラクターとして登場しますからね。かぐやの根幹にそういった人格が芽生えたのはどうしてなのでしょうか？

それがまさに今作で描かれるので……！　私からはお楽しみにとしか言えません！　とはいえ原作読んでいる方は知っていると思いますけど（笑）。

――では質問を変えましょう！　そんな今のかぐやの中に、冷酷さ以外の面が芽生えたきっかけは何だと思いますか？

やっぱり生徒会のみんなとの出会いが大きいですよね。生徒会のみんながかぐやの心の扉を開いてくれたから、かぐやの中にはいろんな人格が生まれていった。その結果、いろいろな人格が合わさって今の、あの可愛らしいかぐやが形作られているんだと思います。

――人との出会いがかぐやを変化させたと。“氷かぐや”も脳内に生まれた新しい人格との出会いで性格が変わってきている、なんてこともあったり？

それはありますよね。過去編の時のかぐやと今回出てくる“氷かぐや”は似てはいるけれど、全く同じではない。なんというか……今回の“氷かぐや”のほうがポンコツなんです（笑）。そこはかぐや脳内にいる“アホかぐや”をはじめとした人格たちに感化されているんじゃないかな、なんて思いながら演じました。

■白銀がかっこいいところを見せるたび、私の中のかぐやがドヤ顔をする

――今回SPICEでは古川慎さんへのインタビューも行っています。その中で「白銀がかぐやに追いつけるように努力するように、僕も古賀さんに追いつけるように努力しているんです」というお話をされていました。

おぉ！　なんと恐れ多いことを!!

――古川さんがかぐやと古賀さんを重ねて見るように、古賀さんも白銀と古川さんを重ねて見ている部分があるのでは？

めちゃくちゃありますよ！　白銀が生徒会長として存在してくれているからかぐやが生徒会に居場所を作れている。同じように古川さんが白銀を演じてくれているから、私はかぐやという役を演じられていると思っていますからね。それは私だけじゃなくてこの作品のキャスト全員が感じていることだと思います。

――古川さんが本シリーズの屋台骨になっていると。

はい。古川さんがみんなを引っ張って進んでくれる。みんながその姿を見て、その背中についていくことで本作が成り立っています。それはまさに、秀知院学園生徒会を白銀が引っ張って行っているのと同じ。古川さんなくして『かぐや様は告らせたい』シリーズは成立しません！

――興味深いですね！　古川さんと白銀、ここまでリンクしているとは！

そうなんですよ、すごく重なってます！　私自身はそんな古川さんの演技、そして役者としての立ち振る舞いを見て、これは見習わなければ、そう日々感じさせられているんです。

――では最後に古川さん見習いたい、そう思わさせられた作品内のエピソードを挙げるとしたらどこになりますか？

白銀が周りを引っ張っていくシーンは全般、例えばミコちゃんが出馬した生徒会選挙や、引きこもっていた石上を引っ張り出したあの瞬間。傍で見ながら「声優・古川慎ここにあり！」だなぁ、そう感じていました。

――古川さんの真骨頂だと。

私自身はただただ圧倒されていたんですけど、私の中の四宮かぐやはドヤ顔してますね（笑）。

――ドヤ顔！（笑）。

「どうだ！　私の惚れた男はかっこいいだろう！」って私の中のかぐやが囁くんですよ（笑）。それでドヤ顔っていうか彼女の顔しちゃっています。そのくせ自分から好きだって言い出せないんだから、かぐやには本当に困っちゃいますよね（笑）。