Soulflex、ぷにぷに電機、tofubeats、梅田サイファーが味園ユニバースで溶け合った『shake』振り返りレポート

『shake』2022.12.16（FRI）大阪・味園ユニバース

12月16日（金）、大阪市にある味園ユニバースにてライブイベント『shake』が開催された。同イベントは、お酒はさまざまなもの（仕事と遊び、日常と非日常、愛する人同士など）を混ぜるという観点から、「音楽と人」が溶け合うをコンセプトに、ハーブリキュールのブランド・COCALEROが主催となり行われたもので、Soulflex、ぷにぷに電機、tofubeats、梅田サイファーの4組が集結。それぞれが個性の光るパフォーマンスを展開し、来場者と音楽のある時間を分かち合った一夜の模様を順に紹介する。

■Soulflex　

ピアノの音色で日常の夕べからライブの時間へスムーズにシフトし、「worty」などでパーティの幕を開ける。3マイクはステップもそろえてフロアを揺さぶり、時にソウルフルな歌声も交えて心地のいいレイドバックを呼び込むと、スモールトークをはさんで次は「Refill」へ。美しいハーモニーで目覚めさせ、シャープなバンドサウンドと多彩なマイクリレーで熱を上げれば、オーディエンスの手が頭の上でひらひらと舞い始め、勢いそのままに「Like It」。解き放たれるラップとグルーヴに、会場のテンションは上昇する一方だ。

さらに「The Funner」のビートで人々を体ごとアップ&ダウンさせ、「Addiction」でもグッと迫ったうえにファルセットのゾクゾクとサックスの鋭さで高揚をもたらす。すると一旦ここで2022年の活動を、「いい年でした！」と振り返り、ラストはイントロから歓声を引き出して、let's goの合図で「Here to Stay」。

さわやかで温もりもあるメロディと楽しさあふれるパフォーマンスは、クラップと相まって多幸感もたっぷり。アウトロには「ジングルベル」のワンフレーズを響かせ、会場にクリスマスのご機嫌なムードも残していってくれた。

■ぷにぷに電機

大阪でバンド編成のライブを行うのは初めてという状況に期待も高まるなか、まず訪れた人をセンチメンタルに包んだのはウイスパーと柔らかなメロディ。さらに「a drop」などではアルトボイスでもとりこにし、彼女の世界観を色濃くしたメランコリックな空気で没入感も増幅させる。またボーカルはしなやかなバンドの音色に湿度を引き立てられるが、曲間でのMCはキュートかつ軽やかでそのギャップも魅力的だ。

加えて曲でも、思いを込めた声がジャジーなピアノと一つになって熱を帯びたり、バンドでは初のお披露目という「ラッキー・ドライブ」でポップに躍動したり、しっとりと「春」を歌って曲の物語を美しく描写したりと豊かな表現力を発揮する。

すると終盤は、華麗なピアノとうなるギターを味方に「ずるくない？」でダンサブルに再浮上し、気分も上々で迎えるお別れの曲はおなじみの「君はQueen」。艶っぽい歌声で織り成すシティポップ的ナンバーは最後まで聴く人を大いに酔わせてくれた。去り際、名残り惜しそうに手を振り彼女を送り出す人の姿が今夜のアクトの満足度を表していたに違いない。

■tofubeats

レイヴホーンでフロアを覚醒させると、「RUN REMIX」などでエネルギッシュにリード。耳にビリッと刺激を与えれば観客のシルエットもバウンドし、シンガロングも聞こえてきそうな雰囲気になって人々が彼の動きとどんどんシンクロしていく。また「Too Many Girls」へとつなげれば、キャッチーなリフレインに最後方の人までもダンスで呼応して一体感も抜群だ。

そして「VIBRATION」をはじめとする中盤は、頭を真っ白にするビートに、キッチュな女性ボーカルに、浮遊感漂うトラックに、＜what you got＞の遠吠えにと、あの手この手で自由度も高く魅了し続け、クラップも一段と大きくなってリップシンクから声もこぼれてくる。だが次に差し込むdodoとの曲「nirvana」の言葉とせつない旋律は、不意に胸を打って今宵のステージを印象づけ、続く「REFLECTION」では急加速やノイズや焦燥感で追い打ちをかける。

心憎い翻弄に集中も高まるなか、いよいよゴールへと導くのはキラーチューン「水星」。左右に振られるたくさんの手と、その上で回る惑星のような球体の光景は目に焼きつき、気持ちのいいイヤーワームも起こって会場は最高潮。ライブ後も収まらない興奮でしばらくざわめきが続いた。

■梅田サイファー

イベントを締めくくるのは迫力の大所帯で、登場直後から狂暴にぶちまけて瞬時に火をつける。＜オイ！＞のアジテーションで引っ張り上げる「トラボルタカスタム」や、跳びなの連呼とメロディックなトラックを行き来して血を騒がせる「ビッグジャンボジェット」などが人の群れを前方に生み出すと、ステージとフロアの境はなくなってひと続きになっているようにも見える。

そして今回の会場・味園ユニバースでの思い出を口にすると、「Oh！マンマミーア」から後半戦。まずはハッピーを伝播させクラップを起こして後方にいる人も弾ませたら、「Now On Air」では別の一面も。

さらにCOCALEROで乾杯＋「Glass」というこの日らしいシーンを経て、「梅田ナイトフィーバー’19」と「いつかまた」でスパートへ。高速ラップ、中毒性の高いフレーズ、晴れやかなユニゾンと、まさに大団円の様相。観客の手も天に伸び、達成感も十分で彼らは2022年のライブを収めた。……が、急きょアンコール投入というラッキーなハプニングが。オーラスは最初にサビを鳴らした「マジでハイ」をフルで披露して全員が完全燃焼した。

取材・文＝服田昌子